棚卸における出量、欠量とは何か

2022年1月16日更新

決算時等に行う棚卸の際、出量や欠量、あるいは出欠という用語が使われますが、これらの意味するところについてまとめてみます。

棚卸における出量、欠量とは何か|目次
  1. 出欠とは出量と欠量のこと
  2. 出量や欠量はなぜ起きるのか

出欠とは出量と欠量のこと

棚卸の出欠(しゅっけつ)とは、実際に現物を倉庫でカウントする実地棚卸と、在庫表や帳簿に記録されている在庫の数量があわないことや、在庫の金額が違っていることを意味する実務用語の一種です。出欠は出量(読み方:でりょう)と欠量(読み方:けつりょう)をあわせた略称表現で両者の意味を持ちます。

出量と欠量の意味の違い
出量 実地棚卸でカウントした在庫が、帳簿上の在庫の数量や金額よりも多い。つまり存在しないはずの在庫が倉庫にあったり、単価や何らかの帳簿上の処理がおかしい
欠量 実地棚卸でカウントした在庫が、帳簿上の在庫の数量や金額よりも少ない。つまり実在庫が欠損していたり、単価や何らかの帳簿上の処理がおかしい

製品や商品、あるいはそれらの製造に使う部材を扱うすべての業種において、在庫を持っている以上、実地棚卸は多くの場合必須の業務となり、現物と帳簿の差がないか確認し、企業規模によっては会計士の立ち会いも経て、在庫=棚卸資産が決算書に正しく計上されるかを確認する重要な業務となります。

したがって、実地棚卸と帳簿上の在庫が合わないということは、企業の決算書が正しく作ることができないという由々しき事態となりますので、会計の信頼性が損なわれ、税務上も問題となります。またありもしない在庫を期末に架空計上して利益を水増しする粉飾の手口がありますが、在庫が本来存在するよりも多く棚卸時に計上されてしまうのであれば、はからずも利益の水増しを行っていることにもなりかねません。

出量や欠量はなぜ起きるのか

出量や欠量は在庫数量があわないということのほか、金額が合わないことも意味する為、そもそも実地棚卸=実棚(じったな)と帳簿在庫が合わない場合、何が合わないのか突き詰めて調査していく必要があります。何が原因がわからないとまたいつなんどき出欠が起きてもおかしくないという状況を放置することになってしまいます。

企業によっては毎年数千万、あるいは億単位の差異が発生することがあり、こうした場合棚卸責任者が厳しく追及されることになります。この是正にはとにかく発生原因を特定しないことには始まりません。

まずは、以下のうち単独あるいは複数の組み合わせなのか、発生している出欠をとにかく洗い出してみる必要があります。

  • 数量だけがあわないのか
  • 品番や型番の過多や過少があるのか
  • 金額があわないのか

在庫数量が合わないケース

これは棚卸に限った話ではないのですが、在庫差異がなぜ起きるのかは必ず理由があります。再発防止策にあたっては、以下のどれに分類されるかをよく考えて真因を突き止めてから検討する必要があります。

  • ルールがないことで起きたことなのか
  • ルールがあったが守られなかったからなのか
  • ルールがあって守ろうとしたが何らかの判断や行動にミスがあったからなのか

具体例を紹介すると以下のようなことで在庫数量が合わなくなることが散見されます。

  • 伝票に基づき在庫表への更新・入力を行っていたが伝票に抜けがあった。あるいは伝票がなくなっていることに気が付いていなかった。
  • 出荷または入荷タイミングと在庫表への反映タイミングがずれている。
  • 在庫表やそのもとになるデータ入力の転記ミス。
  • 不良として在庫から除外されている差し引かれるべき在庫が引かれていなかった。
  • 入荷品がもとから数量不足または数量過多だった。
  • 廃却されているはずのものが廃却されていなかった
  • 中身が分からない正体不明の在庫が着荷したがそのまま放置されていた
  • 同一品または同一倉庫内でのカウントのタイミングがずれていた。
  • 良品かどうか不明なため、いったん凍結扱いになったが在庫表にはそのまま良品として数量に計上されていた。
  • 同一品が複数の置き場にあるがカウントから漏れていた。
  • 出荷済みの扱いになっている現物在庫がカウントされていた。
  • 在庫を普段とは異なる別の倉庫や場所へ移動したが移動記録から漏れていた。
  • 在庫移動の連絡が在庫表集計を行っている担当や現物管理担当者に伝わっていなかった。
  • 在庫を紛失したが処理がなされていなかった。
  • 廃却予定品が現物廃棄されておらず良品在庫とカウントされていた。

品番や型番の過多や過少があるのか

これはその倉庫で普段扱っていない在庫の入出庫や在庫の押し込みに起因して起きることが多い現象です。また、取り扱いのなくなるタイミングで、在庫を一掃したはずが残ってしまっていたというような場合もあります。

また単純なヒューマンエラーですが、製品番号や型番などの一文字を打ち間違えたり、一文字をテレコに入力するなどして、存在する別の製品や型番扱いで計上されてしまうというようなことも珍しくありません。

金額があわない

数量や品番・型番があわなければ金額も当然あいませんが、中には数量に差異がないのに金額だけ大きく異なってしまっている品番が見つかることもあります。

棚卸時の出欠は通常棚卸資産となる在庫「金額」の差異として表れてきますので、在庫数が仮にあっていたとしても、単価の登録ミスや漏れといった要因でも大きな差が発生することがあります。

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