廃却証明書のフォーマットと英語テンプレート|廃却証明書はなぜ必要か

2021年8月5日更新

廃却証明書は英語ではCoD(Certificate of Destruction/Disposal)といい、必要となるケースは分野によっていくつかのパターンに分けられ、そのフォーマットやテンプレートには大きな違いはないものの、証明書で求められる内容は微妙に異なることがあり、適宜目的にあったものを作成または依頼する必要があります。

廃却証明書がなぜ必要なのかを考えると、記載すべき項目も自ずとクリアになります。このページでは日本語と英語それぞれの廃却証明書のフォーマット例を紹介します。

廃却証明書はなぜ必要か

まず廃却証明が必要となるケースを目的別にみると以下となります。

  • 固定資産を廃却したことを証明し転売などしていないことを税務上証明する為。固定資産台帳の廃棄の証明根拠。
  • 産業廃棄物として確かに廃棄したことを証明し不法投棄等されていないことを証明する為(日本ではマニフェストの写しが使われます)
  • 取引先からの急な発注キャンセルや内示キャンセル等でその製品・部材の補償を受ける際、たしかに補償対象となったものを廃却したか証明する為(損害賠償金を受け取っているのに転用などしていないか)廃却証明書を事前に提出することが補償支払いの条件となることが多い。
  • 保険求償などで損害を受けた製品について補償金を得た際、対象となった製品を廃棄したかを証明する為(転用や転売をしていないことを証明する為)
  • 機密文書やデータをたしかに破壊したことを証明する為(第三者に情報が漏れないように)
  • 取引先の資産である金型などを使って製品を作っている場合、承認を得たうえで廃却する際、固定資産として帳簿から抹消できる状態になっているか証明する為

いずれも証明を要求されている相手に対して、廃却したことを証明する為のものですので、発行者は自社か第三者となります。いずれの場合も、廃却・滅失したことのエビデンスとして使い、再利用されていないことを相手に知らしめる意図があります。特に法令上問題がないことを示すために使うことも多々あります。提出先によっては廃却を実際に行った業者の証明書発行を求めることもあります。

補償を行うようなケースでは、相手方の損害に対してその製品分の代金を支払っているにもかかわらず、その製品が再び使われていたというような場合、払ったほうが損をしてしまいますので補償をする以上はその製品については再利用せず廃棄していることが前提となります。保険などの支払いもこうした目的での廃却証明となります。

固定資産であれば、帳簿の中で存在しないことになっているのに実際には使っていた、ということになると状況によっては一種の脱税行為にもなります。上場企業であれば、棚卸資産が正しく計上されなくなってしまうことで大問題となります。

対象となるのは機械や機器、部品、製品、材料といった形のあるものだけでなくデジタルデータ、機密情報が記載されたもの、ソフトウェアといった無形資産、無形固定資産もその対象となります。

自動車部品の場合、急なキャンセルや内示の急減などにより準備していた製品がまったく販売できなくなり廃却せざるを得ないような状況になった場合、補償申請により損害を補填する仕組みがあります。

取引先となるカーメーカーやTier 1が必ずしも全額補償してくれるわけではありませんが、内容に整合性があり各社の運用基準に適合している場合、補償支払いが行われます。多いケースとしては、当月10000個の部品内示が入っており、それらを生産・出荷できるよう材料も購入し必要な安全在庫も確保していたような場合で、いきなりこの10000個の内示が不要になった、というような場合です。補償申請によりこの10000個の部品が補償されるとなった場合、支払を受ける側はそのエビデンスとして廃却証明書を提出することが一般的です。

また金型などの高価な固定資産を廃却する場合も、廃却証明書が求められることが多々あります。

廃却証明書の要件とテンプレート|何を記載すべきか

廃却証明書に求められる内容、つまり記載が必要な事項は下記となります。

発行日

書面を発行した日付です。提出先によっては指定される場合もあります。廃却証明を行った日でもあります。廃却日との前後関係には注意がいります。

廃却日

実際に記載された対象物を廃却した日のことです。発行日よりも未来の日付にはできないので注意が必要です。こちらも補償申請の時期が決まっているような場合、いつからいつまでの日付にしないといけないといった決まり事がある場合はそれに従います。

宛先

相手方の社名や要求のある部署名・担当者名などを記載しますが、多くの場合は社名のみ、あるいは宛先記名しないこともあります。念の為廃却証明提出先に確認するとよいでしょう。

廃却したことを証明する書類であることの明記

このフォーマットの例では「下記該当部品について廃棄したことを証明いたします」との記載になっています。「下記製品は〇〇年〇月〇日に弊社にて廃棄処分したことを証明します」といった書き方もあります。

廃却物の内容

製品名、部品番号や型式など廃却したものが何かを特定できる情報を記載します。また廃却したものの個数や重量なども状況によって記載が必要となります。

廃却理由は記載の指定がある場合は、依頼元に確認しながら記載します。廃却したことを証明する為の一般的なフォーマットの場合は、理由の記載はそもそも不要なことが多いです。

廃却物の写真

形のある現物が対象の場合、廃却前の状態の製品写真を付けるケースもよくあります。一般的には、定規等を並べてサイズがわかるように撮影した製品単品の写真、製品を一箱に入れて箱の中身が見えるように撮影した写真、製品が入っている箱すべての全体像が写るように撮影した写真の3パターンを並べて掲載します。

例えば廃却対象品が10000個あるような場合で、1箱に10個入りというような場合、製品単品を取り出して定規と並べてサイズ感がわかるようにして1枚撮影し、10個入った状態の箱の上部から中身が見えるように1枚撮影、最後に1000箱ある状態の箱(パレット状態)の全体像を1枚撮影の合計3枚の写真を廃却証明書に添付します。

写真撮影の際は製品の部品番号や型番、型式など廃却証明書に記載する製品特定のための情報もあわせて撮影します。箱に納入用のラベルなどがついておりその記載内容と証明書の内容が同じなら、ラベルが写るように撮影します。

設備や機械、治具、金型などの写真では型番や型式などを刻印した金属製の銘板と一緒に撮影することもよく行われます。こうすることで写っているものと書類上のものが違うというようなことを防ぐ狙いがあります。

証明発行者の社名・住所・氏名・連絡先・押印(社印など)

廃却証明書の発行者が誰であるかを示す部分です。廃却業者の署名・押印が必要というケースもありますが、産業廃棄物業者が発行する場合、個々の製品名についての発行は通常困難です。自社が廃却証明の発行依頼を受けた場合、自社名義での発行でもよいか依頼元へ確認・交渉が必要となります。

廃却証明書_日本語_テンプレートとフォーマット

英語での廃却証明書のフォーマットとテンプレート例

日本語の場合と記載すべき内容に大きな違いはありませんが、押印などをするかわりに、証明書を発行している主体がサインを行うことが一般的です。

内容物をどこまで細かく書くか(型番や製造番号など)というのも業界や目的によりけりですが、何が対象かは特定できる必要があります。また状況によっては廃却対象品を受け取った相手方の情報を記載することもあります。

提出相手によって適宜文案をアレンジしますが、冒頭に"This is to certify that all items listed below were destroyed and disposed."といった「下記品目を廃却したことを証明します」という意味の文章をもってきます。

以下のサンプルのフォーマット例では、項目名も記載していますが、適宜省略しても構わないかと思います。

英文廃却証明書の記載事項テンプレート
項目名 記載内容
To: 証明書の提出先、相手先名称。状況により省略
Item name: 製品名や対象品名を記載。下記の型番や型式でだけで特定できるなら省略も。
Part number/model: 製品番号や型式番号、モデルなど
Destroyed on: 廃却を実施した日
Destroyed amount: 廃却した数量
Destroyed weight (kg): 廃却した重量
Method of destruction: 廃却方法
Destruction certified by この以下に廃却証明書の発行者情報を記載
Company name: 会社名
Address: 住所
Email: メール
Phone/Fax: 電話・ファックス
Division/ person in charge / title: 部署、担当窓口、役職
Signature: 署名
Issued on: 証明書の発行日
廃却証明書_英語_テンプレートとフォーマット

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