内外作区分の意味とは

2021年12月3日更新

内外作区分は内外製区分ともいいますが、これは自社製造である内作にするか、仕入先から購入となる外注にするかを決める活動のことを意味し、英語ではシンプルに「make or buy」と表現されます。この意味から分かる通り、製造や加工する機能を持つメーカーに固有の用語です。後述する通り、内作と外作の使い分けは利益だけでなく戦略的な意味合いもあり、その会社の事業方針が色濃く表れる部分でもあります。

製造業、メーカーの多くは規模が大きくなったり、業態が拡がっていくほどに、自社で製造している物品だけでは賄えなくなり、自社工場で作るものは付加価値の大きなものに絞り、それ以外の比較的利益が低いものや難度の高くないものなどは外注先や下請先に完全に製造を委託し、それを仕入れて転売するという方法がよくとられます。協力工場で作っている、と言われるものは大半はこうした理屈のものです。

基本的に自社の固定費・変動費を考えると、下請先に委託したほうが安くなるケースが多いためです。図面や製法を提供し、材料や部品も支給するといった形態をとる場合が多いといえます。つまり、外注先は指示通りに製造し納入するという賃加工の形態になります。

この内外作区分の決定には、原価計算が必要となるため、それを所管する部署が中心となって関係者で集まり合議で決めることもあれば、担当部門の職制が判断するケース、あるいは担当者自身が判断するケースがあります。

内作か外作にするかの決定にはコスト以外の要素が絡む場合もあります。例えば自動車部品の業界等では重要保安部品などの品質上特別な管理が必要なものは自社工場のみで製造すると決めているケースもあります。やはり品質管理の面でいえば、自社工場にまさるものはなく、外注先や協力工場はいかに製法や図面、材料を提供していたとしても、自社と完全に同じようにというわけにはいかないためです。

あるいは戦略的な理由、例えばこの技術は秘密保持契約を結んだところで他社には絶対に開示したくないというようなもの、ノウハウのコアとなる部分が絡む製品は自社の内作で対応するという方針をとるケースもあります。

取引先によっては自社工場を動かすよりもフットワークが軽いという例もありますが、基本的には資本関係もない完全な他社であるため、調達できなくなるリスクや廃業となるリスクとも無縁ではなく、品質管理上の問題が突発的に発生することもあります。また、多くが下請法対象事業者、いわゆる法対メーカーとなるため、その取引のコストやリスクも鑑みる必要があります。

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