自動車部品や工場でいわれるストアとは何か

2018年9月16日更新

工場でストアと言った場合、出荷を待つ製品を保管しておくスペースといった意味合いとなります。自動車部品の工場内は生産の設備や作業者の動線などを考慮のうえレイアウトが決められていますが、この中に、ストアと呼ばれる一角をつくり、そこに出荷を待つばかりになった製品をためておき、トラックが到着するとともにそこから出荷していくという形をとっていることが多いです。

生産から出荷までの流れを効率化するという活動の中では、工場のレイアウト検討時にこのストアの配置や運用方法についても大きく影響するため、あわせて検討が行われます。

設備や作業者の動線、部品や材料の配送ルートなどは生産効率に直結することは容易に理解できますが、この出荷場となるストアがなぜ効率に影響するのでしょうか。

自動車部品の出荷というのは取り扱う部位や取引先の自動車メーカーにもよるのですが、原則、納入時間が決まっているため、出荷が頻繁に、しかも多品種、大量に行われます。加えて、品質管理上の問題から古いものから出荷していくという先出し先入れが徹底される必要があり、仕上がった製品を出荷される列の一番最後に入れる必要があります。

このストアで待機している製品がうまく流れていかないと前工程がつかえ、各工程に置いておける中間在庫はスペースがごく限られているため、結果としてラインの停滞を招くことにもなります。

このため、ストアからトラックへの積み込み、出荷という工場内の最後の動線も生産効率に大きく影響するわけです。

またこのストアは、製品を間違って出荷してしまったり、個数を間違えるといったいわゆる物流品質上の問題を防ぐ最後の砦でもあります。

製品の製造途中である仕掛の状態では、工場内だけで使う「工程内かんばん」と呼ばれる表示が、各通い箱につけられて、次工程へ流れていきます。最終的に完成品はストアに入り、そこで客先へ納入するための本来の「かんばん」を取り付けることになります。

この際、多くの部品メーカーでは、バーコードリーダーなどを使いながら、誤品照合と呼ばれる照合作業を実施して、客先からのクレーム発生を未然に防ぐ努力をしています。もちろん、最終的にストアに到達するのは完成品のわけですから、その前工程、さらにその前工程など各工程での誤品混入防止や個数間違いである員数違い防止などの策を講じる必要もあります。

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