棚卸に必要な英語表現|実地棚卸立会から棚卸票、英語での在庫用語
棚卸しは英語は、stocktakeやstocktakingと表現されます。棚卸とは、一言でいえば自社の倉庫や工場に在庫品がどれだけあるかを確認する作業です。これには大きく二つの目的があり、ひとつは日々の業務で必要な在庫数を正確に把握すること、二つめは会計上、決算などの前に実際の在庫数と帳簿上の在庫数の差異がないか確認を行うものです。
生産活動、生産管理、販売管理においては「在庫」がきちんと管理できているかどうかは死活問題です。在庫が1万個あると思っていたのに、客先からいざ受注したら在庫がなかったとなると、事業運営自体が困難になります。在庫数の管理については帳簿の上で理論上の値を計算して使うことがほとんどですが、それでも期末などには棚卸をしっかり行う必要があります。
製造業であれば業種を問わず、棚卸しは必須の業務となりますが、これは日本に限った話ではありません。海外の企業であっても当然棚卸しは実施しており、その手法についても日本と大きく異なることは稀で、基本的なことは同じと考えて差し支えありません。このため、棚卸し経験者同士であれば、正確な英語表現がわからなくともある程度は通じ合えてしまうこともあります。ここでは棚卸しの説明や実地棚卸しを計画したり実施したりする場合に役立ちそうな英語表現をまとめてみました。
まず、棚卸し実施の際に重要となる概念に「カット・オフ」(cutoff time)があります。会社によってはこうした表現を使わないことはありますが、この考え方抜きに棚卸しを実施している会社はないといえます。これは棚卸しの対象外の範囲を決めることを意味します。
というのも、日々の事業活動、生産活動で材料や仕掛品、完成品はつねに出たり入ったりしており、棚卸しとはこれらをある時点で切り取るようにしてカウントすることになります。どこからどこまでのものを棚卸しの除外品とするか決めておかねば、棚卸しの現場は大混乱し、結局数字があわなくなります。棚卸しの当日はオペレーションを一時的に止めていっせいに行うことが多いですが、すべてを完全停止させることができないこともあり、その場合は動いているものをどのように扱うかをあらかじめ線引きしておかねばなりません。
inventory report stocktaking sheet (stocktaking card)棚卸しの流れ
多少の違いはありますが、棚卸作業は以下のように進みます。
- 現物にタグ(棚卸票, count tags)をつけ、入数・個数等を記入する
- 倉庫内の地図を作り、どこに何があるかわかるようにする
- 在庫一覧表である棚卸明細票(inventory list)を持ち、二人一組でタグのついている箇所をまわり、棚卸明細票と、タグの内容が一致したらそれぞれにチェックしていく。
- 棚卸明細表を集計する
棚卸しに必要なもの
極論すれば、ペン、棚卸票(タグ)、棚卸明細票(在庫表)があれば実施は可能です。
日本語 | 英語 | 内容 |
---|---|---|
棚卸票 | count tags, stocktaking card | これは現物にはるもので、日付、品名、数量、伝票番号が最低でも必要です。 現物貼付用と集計用の2枚がセットになっているものが一般的ですが、タグ自体は1枚で、明細票を対置させて使うこともあります。伝票番号は重複のない番号を付けていきます。 |
コントロールシート | control sheet | 上記の棚卸票を配布した部門名、配布した伝票番号、それに回収チェックの欄を設けます。 |
棚卸明細実施図 | warehouse map for stocktaking | これは棚卸を実施する在庫場所の地図です。場所ごとに担当者を決めます。 |
棚卸明細票 | inventory list | 棚卸直前の在庫データの明細票です。これと実棚数との差異を調べます。この明細票をペアで組んだ二人組みの片方が持ち、現物に貼られている棚卸票との違いを調べていきます。調べたものはチェックしておきます。品物を示す製番などと個数が分かれば事足りますが、棚卸しの目的によっては、以下のような内容を備えた棚卸明細票もあります。 連番、コード、製品名、単価、数量、金額、償却金額 連番、品番、製番、台帳数量、棚卸数、過不足数、備考 |
棚卸実施マニュアル | stocktaking manual | 上記の帳票を使っていかに棚卸をするかを決めます。例えば預り品の扱い、不良品の処理、棚卸票の貼付方法と回収方法などを決めます。 |
ハンドスキャナー | Hand held scanners | バーコードリーダーを使って在庫管理を行っている場合は、あわせて使うことがあります。 |
在庫や棚卸、会計に関する英語
在庫と一口に言ってもさまざまな切り口で見た「在庫」があります。会計上のものから日々の管理上のものについても見方を変えれば在庫の意味も変わってきます。棚卸だけでなく、日々の在庫管理の上でもよく使う英単語かもしれません。
日本語 | 英語 |
---|---|
棚卸資産 | 単にinventory、もしくはinventory assets |
期末棚卸 | end of year stocktake |
期首(商品)棚卸高 | Beginning Inventory |
期末(商品)棚卸高 | Ending Inventory |
期末 | Ending of Year |
棚卸表(棚卸票) | Inventory List, Stock List |
棚卸品 | stock inventory |
棚卸資産として計上された商品 | merchandise reported as inventory |
棚卸方法 | stocktaking method |
実地棚卸 | physical stocktaking |
実在庫明細表 | physical inventory listing |
適正在庫 | proper stock |
緩衝在庫 | buffer stock |
在庫期間 | stock period |
在庫年齢、在庫年数 | stock age |
在庫積み増し | stock building |
在庫管理 | stock control |
在庫変動 | stock fluctuation |
在庫予測 | stock forecast |
在庫不足 | stock shortage |
在庫棚 | stock shelf |
製品有効期限、保存可能期間 | shelf life |
引当在庫 | allocated stock |
在庫回転率、棚卸資産回転率 | stock turnover rate |
カットオフ | cutoff time |
在庫管理台帳 | inventory book |
在庫残高 | balance of stock |
在庫数 | quantity of stock, quantity of inventory |
実在庫 | actual inventory, physical inventory |
理論在庫、帳簿在庫、机上在庫 | book inventory |
理論在庫数 | theoretical stock number |
在庫保管コスト | inventory cost |
平均在庫 | average stock |
予備在庫 | backup stock |
均衡在庫 | balanced stock |
期末在庫 | final inventory, stock on hand, year-end stock |
固定資産 | fixed asset, fixed property |
滞留在庫 | retained stock, slow moving inventory |
陳腐化在庫 | obsolete stock |
死蔵 | dead storage |
安全在庫 | safety stock |
基準在庫 | basic stock |
在庫水準 | stock level |
流通在庫 | distribution stock |
不良在庫 | bad inventory, bad stock, dead stock |
不良在庫品 | condemned inventory |
少額資産 | low-value assets |
耐用年数 | estimated life |
固定資産管理 | asset accounting |
取得(資産の) | acquisition |
振替(資産の) | allocation |
簿価 | book value |
償却 | depreciation |
無形資産 | intangible asset |
経過耐用年数 | previous usage |
残存簿価 | remaining book value |
定期棚卸 | periodic stocktaking |
会計監査 | accounting audit, auditing, financial audit |
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