DIY向け、ホームセンターで入手できる砥石の種類について

2010年10月15日更新

一般に、研削盤などに取り付けて使うダイヤモンドホイールやCBNホイール、研削砥石はメーカーの標準品だけでなく図面を引いてから製造される受注生産のものが多く、完全にプロ仕様の砥石と言えます。

一方で、研磨や研削は包丁を砥ぐ等の日常生活や趣味の工作、補修作業など多くの場面で必要になります。これに応えるように一昔前に比べてホームセンターでも多種多様な砥石が手に入るようになりました。DIY用とプロ用との境界線は難しくなりつつあり、昨今、ホームセンターで手に入る砥石がすべてDIY向けかといえば、プロに使用されるものも数多く売られています。また、趣味や生活で研磨作業される方の中にもプロ並みの技量や工具を持っている方もいるため、両者を明確に分けることはさらに困難です。

加えて、砥石は使われる業界、厳密には販売される業界やルートによって仕様が特化されていく傾向があり、このサイトで主に取り上げている工作機械用の砥石であるダイヤモンドホイールにしても、ホームセンターで売られている切断用のダイヤモンドホイールは主に建材などの切断を想定した製品で、研削盤用に作られたものと規格・スペックが少々異なる製品です。

各業界で使われる砥石にまつわる用語がありますが、これも全業界共通というものではなく、実はかなり意味が異なるものがあります。砥石業界は伝統的に、各社が得意な分野からはあまり出ることがなく、例えばある産業で市場シェア1位のメーカーが、別の産業では知名度が全くないということも見受けられます。製造している品目に大きな違いがなくともこうしたことがよくあります。

DIY向けの砥石という明確なカテゴリーがあるわけではありませんが、ホームセンターの顧客をターゲットにした製品群という意味で、砥石の種類を見ていきます。

研磨ジスク

主に手持ち式のグラインダーに取り付けて使われるディスクタイプの研磨工具です。鎌などの錆び落とし、刃物の研ぎなおし等にも良く使われ、こうしたものの中には、先端部に角度が設けてあるものもあります。

研磨パッド

ハンドグラインダーもしくはハンドポリッシャーといわれる手持ち式の工具に、円盤状でパッドとなった研磨工具です。マジックテープで取り外しができるものが多いです。
ダイヤモンドパッドの用途や使い方

ブラシ

金属の針金状のものが多数ブラシのようについた工具で、錆び落としや、塗装面の剥離・除去、研磨に使います。針金部分の先端が金属疲労により折れてはねる場合があるので、グラインダーなどの高速回転工具に取り付けて使うときは注意が必要です。

ダイヤモンドカッター

切断を目的にしたホイール形状の工具で、ダイヤモンドカッターは円盤の外周部分に焼結ダイヤモンドのチップが取り付けてあるものです。チップの間隔があいているものはセグメントタイプで、より切れ味に優れます。

切断砥石

ダイヤモンドが入っていない切断ホイールも数多くあります。石材やコンクリートなどにはあまり向きませんが、金属などやわらかい材料にはこれらでも十分です。また高速回転させて切断する場合、ダイヤモンドと鉄鋼材料とはあまり相性がよくありません。
切断砥石とは何ですか?
研削砥石とダイヤモンド砥石、CBN砥石の違いについて

フラップホイール・フラップジスク

軸ものであれば、軸の周囲に風車の羽のように布フラップが付いており、その布の表面に研磨材が接着してあります。このタイプは空気により工具とワークの接触部分が高温になることを防ぐことを狙った製品です。ジスク(ディスク)型は、砥面に砥粒を接着させた布材が等間隔でつけられたものです。

卓上グラインダー用砥石

卓上式のグラインダーなら機械そのものも1万円を切る程度の価格で手に入ります。これに取り付けて使う重量感のある丸い砥石のことです。正式には、研削砥石といって全面が砥石になっているもので、ホームセンターで入手可能なものの大半はビトリファイドボンドのものです。工業用途のものは、スペックのバリエーションが非常に豊富なのと、より厳しい精度で研削盤で使われるものです。
グラインダー砥石の種類について
研削砥石の種類

刃物用砥石

包丁売り場にもよく置いてあるブロック状の人造砥石です。角砥石ともいいます。荒砥、中砥、仕上げ砥など一般には砥石の粗さに応じて三段階あります。

天然砥石

ホームセンターではほとんど見かけません。しかしDIY向けと言うことであれば、ネット通販では盛んに取引されています。日本全国各地に点在する産地固有の砥石で天然の岩石による砥石です。コッパ等は比較的廉価で入手できます。価格は希少価値の度合いのほか、大きさにも比例します。より大きな天然砥石ほど高価になります。
天然砥石の種類

サンドペーパー、研磨布

紙もしくは布を基材とし、その上に接着剤を塗布して砥材がつけられているタイプの研磨工具です。超微粒子を用いた研磨シートもこの部類です。粒度や基材の種類によって、用途が分けられています。スポンジに貼り付けて使うタイプのものもあります。
サンドペーパーの種類について

スポンジ

手で持って使うことを想定した工具で、スポンジのある面に研磨シートが接着してあるものです。

研磨粉、つや粉

水に溶いて使うものや他の研磨工具の補助として適宜用いるものがあります。古くは天然素材のものや、ベンガラ(酸化鉄)、現在はアルミナ(酸化アルミニウム)や、酸化セリウム、酸化クロム、炭化ケイ素などが使われます。

フェルトディスク

フェルトで作られたジスクで、素の状態では研磨材は何もついていません。使うときは青棒や白棒などの研磨粉を適宜こすり付けて使います。仕上げ用で、金属の鏡面を出すのに向いています。

オイルストーン

油に浸して使う砥石で、アルカンサス砥石やインディアンストーンもこれに相当します。油砥石ともいいます。一般に、水をかけながら、あるいは水に浸してから使う水砥よりも硬い構造を持つオイルストーンですが、あたりが硬いため、仕上げに近い部分で使われることが多いです。
オイルストーン(油砥石)
アルカンサス砥石(アーカンサス)

青棒、白棒、赤棒

青棒は酸化クロム、白棒は酸化アルミニウム(アルミナ)、赤棒はベンガラ(酸化鉄)を油脂などで棒状に練りこんだ製品です。バフ研磨、仕上げ研磨で使う製品で、フェルトディスクなど研磨材のついていない工具に擦り付けて対象を研磨します。光沢を出したり、鏡面仕上げで威力を発揮します。

不織布研磨材

ナイロンたわしのように研磨材が入っていないものもありますが、この製品は不織布を構成する繊維に砥材が絡めてあるもので、家庭用の「磨き」用として、汚れ落としなどでも効果を発揮します。反面、砥粒が深く切り込まないため、非常に硬い素材や研削力・研磨力の必要な加工にはあまり向きません。

シャープナー

取っ手以外がヤスリ状になっていて、手に持って使うシャープナーは粗く研磨するときによく使われます。包丁の刃を差し込んで前後に動かすことで刃を満遍なく研ぎなおせるタイプがポピュラーです。これは刃を差し込む隙間の奥に、焼結体の砥石か電着砥石がついています。この砥石にダイヤモンドが使われている場合は、ダイヤモンドシャープナーの名で販売されています。
ダイヤモンドシャープナーの研ぎ方、使い方について

ヤスリ

プラモデル作りなどにも利用される小さいなヤスリから、手すりなどの錆び落としにも使う大型のものまであります。精密加工の世界でも使われます。
ダイヤモンドヤスリ

ベルト

専用のベルトサンダーなどに取り付けて使うもので、エンドレス型のベルトの片側に砥粒が接着されたものです。

ワイヤーソー、バンドソー

大掛かりなものは見ませんが、小型のもので専用機を扱っているホームセンターの場合、バンドソーそのものを扱っていることがあります。
ダイヤモンドワイヤーソー
バンドソー(ダイヤモンドバンドソー)

プロ仕様のほか、DIY向けの研磨製品を扱っているメーカー一覧

いわゆる相手先ブランドでの製造(OEM)や、取扱商社によるブランドがついている製品については製造元について厳密にはわかりませんが、ホームセンターで見かける研磨製品・砥石メーカーの一部をご紹介します。
DIY向け砥石メーカーリンク集

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