砥石の選び方:研削する対象から選ぶ

2009年8月24日更新

ダイヤモンド砥石やCBN砥石の場合、ダイヤモンドとCBNを砥粒として使いますので、ここではワークを主に「鉄系」と「非鉄系」に分けて考えます。

一般に、ダイヤモンドもCBNも砥粒は非常に硬いものですが、ダイヤモンドは鉄と相性が悪く、鉄を含む素材の研削には向かないとされます。理由として、ダイヤモンドは炭素からできていますが、この「炭素(C)」が研削中の熱によって、素材である鉄のほうへ引っ張られてしまうことがあげられます。

したがって、これらの砥石を選ぶ際には、研削する対象に「鉄」が含まれているかどうかも一つの選択基準となります。

非鉄系のワークには「ダイヤモンド砥石」

超硬工具、超硬合金、硝子、光学ガラス、セラミックス、石英、水晶、陶磁器、宝石、フェライト、タイル、シリコン、サーメット、ダイヤモンド焼結体など

鉄系のワークには「CBN砥石」

鉄、ハイス鋼やダイス鋼などの工具鋼(SKD SKH SKS SK)、 耐熱鋼、 軸受鋼、 合金鋼、 インコネル、 ステライト、ベアリング鋼、合金鋼(SCM)など

ダイヤモンドが鉄系のワークに適合しないのは主として次の二つの理由からです。

ダイヤモンドは熱に弱い。(鉄系のワークは特に塑性変形して削れていくため、研削時に高温が発生しがちです)
鉄系のワークは加工中に発熱すると、鉄とダイヤモンドの炭素が反応して、ダイヤモンドが侵食されていきます。

ダイヤモンド砥粒の硬さは、実用上最も硬く、多用途で使われますが、上記のような弱点を持つため、鉄系のワークの研削にはあまり用いられることがありません。CBN砥粒は硬さはダイヤモンドより劣りますが、高温下ではダイヤモンドよりも硬いという特徴があります。

なお、各金属、非鉄金属の材料別の研削砥石の選び方についてはJIS規格に指針がありますので、ご参考までに。

スポンサーリンク

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集