砥石の集中度

2009年7月1日更新

集中度は、砥層に含まれている砥粒の「量」をあらわします。言ってみれば「切れ刃」の数がどれだけ入っているかを示す指標です。集中度100ならば、砥粒層部に占めるダイヤモンド(もしくはCBN)の体積比率が25%となることを表します。

砥石の集中度が与える影響

砥粒の数が変わることで、砥粒にかかる力が変わる

集中度は、砥層に含まれる「刃」の数でもあり、切りくずを収納するチップポケットの大きさにも影響します。集中度の違いによって、ひとつの砥粒(刃)にかかる力が変わり、チップポケットの大きさも変化がするため研削性能にも違いが出てきます。

ガラス研削、切断砥石:切れ味をあげるために

ガラスのように、表面をダイヤモンドが滑ってしまう加工物の場合、砥粒の集中を若干下げることで、ダイヤモンドが切り込む深さを確保します。また、ブレードやカッティングホイール、リムソーなどと呼ばれる切断砥石の場合も、砥粒にかかる圧を一定以上にあげるため、集中度は低めに設定されています。反対に、硬い加工物でも砥粒の量が多いほうが研削性能を発揮する場合もあります。

砥石の集中度が切れ味と寿命に及ぼす影響

粒度、ボンドともに集中度は切れ味や寿命に大きく影響する要素です。加工条件やワークによって適切な集中度を選択する必要があります。一般的には、高集中度にすると寿命は延びますが、切れ味が悪くなります(※ただし、集中度は120を以上になると逆に寿命が低下する傾向があります)。反対に、低集中度にすると寿命は短くなるが切れ味は良くなりますが、これも限度があります。

【参考図】集中度と「砥石の切れ味」、「砥石の寿命」の関係

上のグラフではわかりやすくするため、極端に表現したものですが、粒度・集中度の高低によって、寿命と切れ味の関係は変わってきます。集中度が高く、粒度が小さければ、切れ味は落ちますが、寿命は長く持ちます。ワーク、加工条件、ボンド等によって、どのポイントを選ぶのが課題を解決するのに最適か決まります。とはいえ、数ある集中度の中でも、「75〜100」が最も多いというのが実情です。

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集中度の違いによる砥粒の含有率【参考】
砥粒 集中度 含有率(体積、%) 含有量
g/cm3 カラット/cm3
ダイヤモンド 200 50 1.76 8.8
175 43.75 1.54 7.7
150 37.5 1.32 6.6
125 31.25 1.1 5.5
100 25 0.88 4.4
75 18.75 0.66 3.3
50 12.5 0.44 2.2
25 6.25 0.22 1.1
CBN 200 50 1.74 8.7
175 43.75 1.522 7.61
150 37.5 1.306 6.53
125 31.25 1.088 5.44
100 25 0.87 4.35
75 18.75 0.652 3.26
50 12.5 0.436 2.18
25 6.25 0.218 1.09

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