鉄鋼材料の種類についておしえてください。

2009年9月14日更新

JISによれば、鉄鋼材料の分類は下記の表のようになっています。二文字もしくは三文字のアルファベットで表される材料記号がつき、数字とアルファベットを組み合わせて鋼種を表記します。

鋼の場合、炭素が含まれており、この量を調節することでさまざまな性質を持つ鋼種を作ることができ、用途に応じて使い分けられています。炭素の量によって、引っ張り強さ、硬さ、衝撃値、耐磨耗性などの性質が変わってきます。以下に主要な鉄鋼材料について見ていきます。

大分類 中分類 小分類 JIS材料記号
普通鋼 圧延鋼材 SS, SB, SM
特殊鋼 構造用合金鋼鋼材 S--C, SCr, SMn, SMnC, SCM, SNC, SNCM, SACM, SGV, SBV, SQV
工具鋼鋼材 SK, SKS, SKD, SKT, SKH
特殊用途鋼鋼材 SUS, SUH, SUJ, SUP, SUM
鋳鋼 炭素鋼鋳鋼品 SC, SCW
構造用合金鋼鋳鋼品 SCC, SCMn, SCSiMn, SCMnCr, SCMnM, SCCrM, SCMnCrM, SCNCrM
特殊用途鋼鋳鋼品 SCS, SCH, SCMnH
鍛鋼 炭素鋼鍛鋼品 SF
構造用合金鋼鍛鋼品 SFV, SFVV, SFCM, SFNCM
鋳鉄 ねずみ鋳鉄品 FC
球状黒鉛鋳鉄品 FCD
可鍛鋳鉄品 FCMB, FCMW, FCMP

炭素鋼

鉄と炭素の合金ですが、製造工程でSi(シリコン),Mn(マンガン),P(りん),S(硫黄)が含まれ、鉄鋼材料の分類では、普通鋼ともいいます。鋼塊は製造方法の違いによって、キルド鋼塊、セミキルド鋼塊、リムド鋼塊の三種類が知られています。脱酸剤の添加具合や気泡や展延性、溶接性に違いが出てきます。加工する場合、ダイヤモンド砥石は不向きで、CBN砥石が向いています。

SS材(一般構造用圧延鋼)

もっとも多く使われる鋼材の一つです。SS300、SS400、SS490、SS540の4種類が知られています。炭素量ではなく、引っ張り強さで規程されている素材で、数字はSSのあとに続く数字は引っ張り強さ(N/mm2)を示しています。一般にSS400で炭素量は0.2%程度です。

SM材(溶接構造用圧延鋼)

もともとは船舶用の鋼材として多用されてきた材料で、溶接性に優れています。大気中での耐腐食性をあげるため、CrやCuを添加したタイプ(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)もあります。

SB材(ボイラ用圧延鋼)

主に溶接して使いますが、SM材との違いとして常温以上の高温の圧力容器(ボイラー)に使われることを想定されており、高温下での黒鉛化防止処理が施されています。

S■■C材(機械構造用炭素鋼、■には数字が入ります)

S45Cをはじめ、数字が炭素量をあらわしている材料で、機械部品をはじ多用途で実用化されており、研削をすることも非常に多い材料かと思います。炭素量に応じて、規程ではS10CからS58Cまで20種類あります。0.6%以上の炭素を含むものはSK材(工具鋼)の分類に入ります。炭素量の増減や熱処理(焼き入れ、焼き戻しなど)で様々な性質を持つ鋼に仕上げることができます。末尾にKがついているS09CK,S15CK、S20CKは浸炭はだ焼専用鋼のことです。

合金鋼

前述の炭素鋼は主として鉄と炭素による鉄鋼材料ですが、この合金鋼はこれにNi,Mn,Cr,Mo,V,Wなどの合金元素を添加したもので、靭性や耐熱性などを付与したいわゆる「強じん鋼」です。付加価値が高いほどに加工にくくなる材料の典型例です。この鉄鋼材料もダイヤモンド砥石ではなく、CBN砥石での加工が向いています。

SCr材(クロム鋼)

炭素鋼にCrを添加したもので、焼き入れ性に優れ、焼き戻しをすることで炭化物が析出して、じん性の高い材料になります。低炭素にクロムを添加したものは、はだ焼用として使われます。JISの規程では、添加するCr量は0.9〜1.2%となっています。

SCM材(クロムモリブデン鋼)

上述のクロム鋼に、Mo(モリブデン)さらに少量添加もので、熱処理が容易にしてあります。高温でも硬さを維持できる耐熱性に優れます。添加するMoの量は、0.15〜0.3%程度です。通称、クロモリと呼ばれている材料です。

SNC材(ニッケルクロム鋼)

Ni(ニッケル)をクロム鋼に添加したタイプです。一般にはSCM材のほうがよく使われていますが、強靭な性質を持つ鋼です。Ni量はおおむね1〜3.5%程度です。

SNCM材(ニッケルクロムモリブデン鋼)

上記の鋼種で添加されている素材をまとめて入れたような鋼で、高級な強じん鋼とされます。JIS規程上は、例えばSNCM630ではNi(2.5〜3.5%)、Cr(2.5〜3.5%)、Mo(0.5〜0.7%)、引っ張り強さが1080N/mm2以上、降伏点885N/mm2以上、硬さHBS302〜352となっています。

SMn材(マンガン鋼) | SMnC材(マンガンクロム鋼)

機械構造用炭素鋼のうち、Mnの含有量が1.2〜1.65%としたのがSMn材で、伸びや絞りを低下させること無く、引っ張り強さ及び降伏点を高くした材料です。 このうち、Crを0.35〜0.7%添加したのがSMnC材で、さらに引っ張り強さと降伏点を高めてあります。炭素鋼にもMnは種類によって0.3〜0.9%含まれています。

H鋼材(焼入性を保証した構造用鋼)

構造用の炭素鋼や合金鋼は、焼入れや焼き戻しを行なって目的とする性質に調整してから用いますが、ここで鋼自体が持つ焼入性が問題となります。焼入れ端からの指定された距離での最低と最高の硬さを保証している材料がこのH鋼材です。SCM435Hのように材料記号の末尾にHがつきます。

工具鋼

ドリルやタップ、刃物など工具全般をはじめ、金型にも使われる汎用性の高い鉄鋼材料の一つで、研削や研磨では特に扱う機会が多い材料の一つです。

SK材(炭素工具鋼)

上述のS■■C材と近い性質持ち、炭素量は0.6〜1.5%、焼き入れ硬さはあまり変わりませんが、耐衝撃性、耐磨耗性が向上します。このSK材は工具鋼のなかでも価格が安く、特に多く出回っている鉄鋼材料の一つです。 ただ他の工具鋼と違い、高温下では軟化する傾向があり、こうした環境下での使用にはあまり適していません。

合金工具鋼

SK材にW,Cr,Mo,Vなどの元素を添加して、それぞれ用途に応じて付加価値をつけたタイプの鉄鋼材料です。SKD材(ダイス鋼)、SKS材、SKT材があります。加工はダイヤモンド砥石よりはCBN砥石が多用されていますが、炭素の含有量が多くなってくると、ダイヤモンドでも加工できる場合もあります。特にSKD材に関してはダイヤモンドホイールで研削されている例もあります。

主に、下記のような用途が知られています。

  • 1.刃物用
  • 2.ポンチ、スナップ、冷間鍛造工具としての耐衝撃用
  • 3.ゲージ、抜き型、ねじ転造ロールなどに用いられる冷間金型用
  • 4.加熱、冷却の熱衝撃に強く、熱間ダイス、熱間鍛造用金型、ダイブロックに用いられる熱間金型用

SKH材(高速度工具鋼)

SK材の持っている耐熱性という弱点を克服した材料で、切削速度を大幅に改善できたことからハイスピードスチール、すなわちハイス鋼と呼ばれるようになりました。標準的には、W18%,Cr4%,V1%を含む18-4-1型が知られています。

耐磨耗性と硬さに優れるW系と、粘り強いMo系があります。 Coを含むものもあり、これは耐熱性、耐磨耗性に優れている材料でコバルトハイスとも言われます。Vを多量に含有するタイプは、さらに性能が高くなります。

特殊用途鋼

SU材(Special Use、特殊用途の頭文字から)と呼ばれ、下記のものが知られています。

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