ねずみ鋳鉄品(FC材)の用途、機械的性質、成分の一覧

2010年8月26日更新

鋳鉄は鉄鋼材料に比べると金属組織の違いにより、機械的性質がかなり異なる材料と言えます。組織は、フェライト、パーライト、グラファイト(黒鉛)等から成り立っています。鋳鉄とは鋳物の一種で、簡単に言えば、型に鉄を流し込んで成形したものが鋳鉄品です。

融点が低ければ低いほど、複雑な形状の型であっても隅々まで溶かした鉄がいきわたるため、意図的に炭素量が多くしてあります。複雑な形状を持つ部材や製品に使われる所以です。

炭素量が多いため、鋳鉄の生地は耐摩耗性にも優れています。また、鋳鉄はその凝固の過程で黒鉛を多量に放出するため、この黒鉛が潤滑剤としても作用するため、耐摩耗性はさらに向上します。またこの黒鉛の働きにより、金属組織としての連続性を寸断するため、切削性・加工性に優れた素材でもあります。

他の特徴として、振動吸収能が高く、熱衝撃にも強いため工作機械用ベッドやテーブル、ディーゼルエンジン用シリンダライナ、ケーシング、クランクケース、油圧機械用羽根車等に使われます。C量が多いため、耐熱性にも優れ、水に対する耐食性も高いとされます。こうした利点のほか、ねずみ鋳鉄にも欠点はあり、その最たるものが黒鉛を多く含有することからくる脆さ、引張強さの弱さです。粘りのある他の鉄鋼材料と比べると数値が低めになっています。またC量が多いため、塑性加工や溶接にも向きません。

ねずみ鋳鉄は、鋳鉄品の中でも普通鋳鉄に分類される材料です。鋳造性に優れますが、他の鋳鉄に比べると脆く、弱いとされます。なお、鋳鉄の加工には、cBNではなくダイヤモンドホイール等のダイヤモンド砥石が使われるケースがあります。これは鋳鉄の組成に多く含まれるフェライトや黒鉛(グラファイト)等と関係があります。CBN、ダイヤモンド等の超砥粒を使わない場合は、C砥粒を用いた研削砥石でも研削、研磨をすることができます。

鋳鉄品の分類

鋳鉄 ねずみ鋳鉄 普通鋳鉄 FC100、FC150、FC200、FC250、FC300、FC350
強靭鋳鉄 FC300、FC350、ミーハナイト鋳鉄
球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄) FCD350-22、FCD350-22L〜

JIS規格では6種類のねずみ鋳鉄品の規定がありますが、化学成分については受渡当事者間の協定によるとされており、機械的性質(引張強さ、硬度等)についてのみ規定されています。

「JIS G 5501-1995 ねずみ鋳鉄品」に規定のある材料記号

ねずみ鋳鉄品(FC材)の材料記号の変遷:JISの新旧対照表

1989年 1956年 1954年
FC100 FC10 FC10
FC150 FC15 FC15
FC200 FC20 FC19
FC250 FC25 FC23
FC300 FC30 FC27
FC350 FC35 -

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