S10C(機械構造用炭素鋼)の機械的性質や成分の一覧

2010年8月14日更新

機械構造用炭素鋼のなかでも、いわゆる低炭素鋼にあたる鋼材で、その低い炭素の量からあまり高い硬度が得ることができません。主としてボルトやピンなどの材料として検討されます。炭素量は0.08〜0.13の幅と規定されています。硬度が必要な場合には別の鋼材の使用を検討したほうがよいかもしれません。特に炭素含有率の低いものは極軟鋼とも言われますが、用途は自動車や家電製品の薄板、ブリキ板やトタン板など割りと身近に目にする素材ではあります。ただこの場合、炭素鋼が選択されないケースもあります。

S10Cの化学成分(代表値)
材料記号 C Si Mn P S
S10C 0.08〜0.13 0.15〜0.35 0.30〜0.60 0.030以下 0.035以下
S10Cの熱処理温度(焼ならし、焼なまし、焼入れ、焼戻し)
種類 変態温度
(℃)
熱処理温度
(℃)
Ac Ar 焼ならし 焼なまし 焼入れ 焼戻し
S10C 720〜880 850〜780 900〜950空冷 約900炉冷 - -
S10Cの機械的性質(降伏点、引張強さ、伸び、絞り、硬度)
種類 機械的性質
熱処理 降伏点
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び
%
絞り
%
衝撃値
(シャルピー)
J/cm2
硬度
HBW
S10C 焼ならし 205以上 310以上 33以上 - - 109〜156
焼なまし - - - - - 109〜149

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