不飽和ポリエステル樹脂(UP)の物性と用途、特性について

2011年6月17日更新

不飽和ポリエステル(UP)の常用できる耐熱温度は130〜150℃、比重は1.1から1.4。強化プラスチック(FRP)用に使用されることの多い樹脂です。というのも不飽和ポリエステル樹脂(UP)は電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性に優れ、引張強さや曲げ強さ、耐衝撃性などにも優れている材料です。ガラス繊維で補強したものは特に強くなります。また耐腐食性、難燃性といった特長も持ちます。一般の塗料と同じような粘度を持ち、強い臭気があります。用具の洗浄にはアセトンが適合します。

FRPとして使われる場合は、浴槽、波板、ヘルメット、釣り竿、塗料、浄化槽、漁船、コンテナ、船舶全般、スノーボード、カヌー、クーリングタワーなど住宅、建材、輸送機器と日常で目にするほとんどのものに使われることになります。また、非FRP用としても注型、塗料、化粧板、パテ、防水ライニング、人造大理石などにも使われます。

不飽和ポリエステル樹脂(UP)の特性
フィラー(充填材)、タイプ 注型、硬質 プリミックス、グラスファイバー(GF) SMC(板状成形材料)
物理的性質 密度(g・cm^-3) 1.10から1.46 1.65から2.30 1.65から2.60
融点(℃) 結晶性 熱硬化 熱硬化 熱硬化
非晶性 - - -
透明度 透明〜半透明 不透明 不透明
吸水率(%)3mm、24h 0.15から0.60 0.06から0.28 0.10から0.15
成形特性 成形温度範囲(℃) - 圧縮、156から195 圧縮、150から194
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) - 35.2から141 21.1から84.8
成形収縮率(%) - 0.1から1.2 0.1から0.4
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 4.2から9.1 2.1から7.0 5.6から14.1
最大伸び率(%) <5.0 0.5
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 9.1から21.1 14.1から21.1 10.5から21.1
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 5.9から16.2 4.9から14.1 7.0から25.3
引張弾性率(kgf・mm^-2) 211から450 703から1760 -
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) - - -
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) - 703から1408 703から1550
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) 8.1から87 38から120
硬度(硬さ) ロックウェル M70から115 50から80(バーコール) 50から70(バーコール)
ショア - - -
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 4.0 10.0から16.0 -
比熱(cal・K^-1g^-1) 0.25
線熱膨張率(10^-5K^-1) 5.5から10.0 2.0から3.3 2.0
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
60から204 >222 208から278
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) 1015 1012から1015 1014から1015
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 15から16.5 13.5から19.6 14.9から17.7
比誘電率(εγ 60Hz 3.0から4.3 5.3から7.3 4.4から6.3
MHz 2.8から4.1 5.2から6.4 4.2から5.8
誘電正接(tanδ) 60Hz 0.003から0.028 0.01から0.04 0.007から0.02
MHz 0.006から0.026 0.008から0.02 0.016から0.02
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1
日光の影響 わずかに黄色化 着色依存 わずか
弱酸の影響 -
強酸の影響 -
弱アルカリの影響 -
強アルカリの影響 -
有機溶剤の影響 -

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