プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合い

2013年7月1日更新

プラスチックの難燃性を見る指標として代表的なものに、UL94規格と、JISの酸素指数(OI)があります。プラスチックは電子部品、電気機器内の部品としても多用されるため、難燃性は材料の安全面を見る重要なパラメータの一つでもあります。種類によっても燃えやすさはかなり異なり、フィラーの添加によっても難燃化をはかったり、自己消化性の特性を付与したりすることも可能です。

JISで言う酸素指数とは、プラスチックに火をつけた状態で、その燃焼が持続するのに必要な最低酸素濃度をパーセンテージで示した指標です。一般的な空気の組成が酸素指数OIで見ると、20となるため、これを境目にこれよりも小さいものは可燃性でよく燃えるという見方ができます。

酸素指数の可燃性の目安
酸素指数 燃えるか燃えないか
22以下 可燃性。燃える。
23から27 燃えるが、自己消火性。
27以上 難燃性

一方、UL94規格もとてもポピュラーなプラスチックの難燃性を見るための指標です。燃焼試験のやり方に、水平燃焼試験と、垂直燃焼試験があり、以下のような燃えにくさについては以下のような目安となっています。

UL94規格のグレードの目安(水平燃焼試験)
UL94 目安
HB 自己消火性はないが、遅燃性であることを示す。3mm以上の厚さの試験片なら、燃焼速度が40mm/min以下であることが求められる。
UL94規格のグレードの目安(垂直燃焼試験)
UL94 目安
5VA もっとも難燃性が高い。5回目に火を接触させた際に燃焼時間が60秒以下
5VB もっとも難燃性が高い。5回目に火を接触させた際に燃焼時間が60秒以下
V-0 2回(各10秒間)、炎に接触させても、燃焼時間が10秒以下
V-1 2回(各10秒間)、炎に接触させても、燃焼時間が30秒以下
V-2 2回(各10秒間)、炎に接触させても、燃焼時間が30秒以下
プラスチックの難燃性|UL94規格グレード、酸素指数
プラスチックの種類 酸素指数 UL94
ポリアセタール 15から16 HB
メタクリル樹脂(アクリル樹脂) 17から18 HB
ポリエチレン 18から19 HB
ポリプロピレン 18から19 HB
ポリエステル 18から19 HB
ポリスチレン 18から19 HB
ポリアミド(ナイロン66) 24から25 V−2
ポリカーボネート 24から25 V−2
ポリ塩化ビニル 28から38 V−0
ポリフェニレンオキサイド 27から29 V−1
難燃EPゴム 24から28 V−1
架橋ポリエチレン 34から36 V−0
難燃クロロプレンゴム 30から35 V−0
ポリビニリデンフロライド 40から44 V−0
シリコーンゴム(RTV)※室温硬化型 26から32 V−0
テトラフロロエチレン(重合するとテフロン) 95

スポンサーリンク

>このページ「プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合い」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
「プラスチックの種類と用途、物性について」へ戻る

プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合いの関連記事とリンク

プラスチックの難燃剤の種類と一覧
プラスチック(樹脂)の種類と記号一覧表
プラスチックリサイクルマークの数字の意味と種類
4大プラスチックとは
バイオプラスチックの種類と原料|デメリットや課題はどこにあるか
PFOAの使用と含有製品はいつから規制か|フライパンから繊維、撥水剤、泡消火剤まで
プラスチックの人体への影響|プラスチックは安全なのか
プラスチックの比重、密度の一覧表
プラスチックの融点、耐熱温度の一覧表
プラスチックの熱変形温度の一覧表
プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合い
プラスチックの引張強さの一覧表
プラスチックの比熱の一覧表
プラスチックの熱膨張係数、熱膨張率の一覧
プラスチックの熱伝導率の一覧
アロイ化とは
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い
フェノール樹脂(PF)
ユリア樹脂(UF)
メラミン樹脂(MF)
不飽和ポリエステル樹脂(UP)
ポリウレタン(PU)
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、アリル樹脂
シリコン樹脂(SI)
アルキド樹脂
エポキシ樹脂(EP)
フラン樹脂
ナイロン6(PA6):ポリアミド(PA)の一種
ナイロン66(PA66):ポリアミド(PA)の一種
ナイロン12(PA12):ポリアミド(PA)の一種
ポリアミドイミド
ポリアセタール(POM)
ポリカーボネート(PC)
変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)
ポリブチレンテレフタラート(PBT)
GF強化ポリエチレンテレフタラート(GF-PET)
超高分子量ポリエチレン(UHPE)
ポリフェニレンスルフィド(PPS)
ポリイミド(PI)
ポリエーテルイミド(PEI)
ポリアリレート(PAR)
ポリスルホン(PSF)
ポリエーテルスルホン(PES)
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
液晶ポリマー(LCP)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、いわゆるフッ素樹脂
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、いわゆるフッ素樹脂
ポリエチレン(PE)
ポリプロピレン(PP)
ポリスチレン(PS)
アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)
ポリ塩化ビニル(PVC)
メタクリル樹脂(PMMA)
ポリエチレンテレフタラート(PET)
ポリビニルアルコール(PVA)
酢酸セルロース(CA)
プロピオン酸セルロース(CP)
硝酸セルロース(CN)
ポリ乳酸(PLA)
フラン-ホルムアルデヒド樹脂(FF)
エチルセルロース(EC)
フェノール-ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)(PF)
ポリスルホン、ポリスルフォン(PSU)
ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
アイオノマー樹脂
FRP(繊維強化プラスチック)
炭素繊維メーカーの一覧
プラスチックの黄ばみ除去について

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集