プラスチックの熱膨張係数、熱膨張率の一覧

2017年8月6日更新

下表にプラスチックの熱膨張係数、熱膨張率を一覧にまとめています。温度を上げたときに物がどれくらい膨らむかを示すパラメータが熱膨張係数や熱膨張率になります。このとき、温度上昇とともに長さの変化を示したものが「線膨張係数(線膨張率)」、体積の変化を示したものが「体積膨張率」と呼ばれます。線膨張率を3倍したものが体積膨張率となります。

プラスチックの熱膨張率は、金属に比べると一桁大きく、セラミックスに比べると二桁違います。それくらい熱によって長さや体積が変わってしまう材料です。元来、高温環境での使用にはあまり適さない材料ではありますが、それでも汎用プラスチックでも100℃前後の耐熱性は持ち合わせているものもあるので、部品として組み込んだりする場合はこの熱膨張を念頭において設計する必要があります。

プラスチックの熱膨張係数、熱膨張率
プラスチック種類 プラスチック記号 熱膨張係数
【x10-5/K】
ポリエチレン(低密度) PE-LD 18から20
ポリエチレン(中密度) PE-MD 14から15
ポリエチレン(高密度) PE-HD 11から13
ポリプロピレン PP 5.8から10.2
ポリスチレン PS 6から8
アクリロニトリルスチレン(AS樹脂) SAN(スチレン-アクリロニトリルプラスチック) 2.9
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック(ABS樹脂) ABS 6から13
ポリアクリロニトリル PAN 10(<Tg【ガラス転移点】)、
16(>Tg
ポリ塩化ビニル PVC 5から7.3(>Tg)、
17.0(>Tg
ポリ塩化ビニリデン PVDC 19
ポリフッ化ビニリデン PVDF 12
ポリ三フッ化塩化エチレン PCTFE 4.7から5.3
ポリ四フッ化エチレン PTFE 10
ポリカーボネート PC 5.6
ポリメチルメタクリレート(アクリル樹脂) PMMA 4.5から7
ポリアミド6(ナイロン6) PA6 5.9から10
ポリアミド66(ナイロン66) PA66 8から10
ポリアミド610(ナイロン610) PA610 9
ポリオキシメチレン POM 8.1から8.5
ポリエチレンテレフタレート PET 17.1(<Tg)、
39.4(>Tg)

線膨張率:
6.5(×10-5/℃)
ポリスルホン(ポリスルフォン) PSU 5.2から5.6
ポリフェニレンオキシド PPO 2.7から3.1
セルロースアセテート CA 11から17
セルロースアセテートブチレート CAB 10から15
フェノール樹脂 PF 2.5から6.8
エポキシ樹脂 EP 4.5から6.5
不飽和ポリエステル樹脂 UP 5から10
ポリウレタン樹脂 PUR 10から20
ユリア樹脂 UF 2.7
メラミン樹脂 MF 4.0

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ナイロン6(PA6):ポリアミド(PA)の一種
ナイロン66(PA66):ポリアミド(PA)の一種
ナイロン12(PA12):ポリアミド(PA)の一種
ポリアミドイミド
ポリアセタール(POM)
ポリカーボネート(PC)
変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)
ポリブチレンテレフタラート(PBT)
GF強化ポリエチレンテレフタラート(GF-PET)
超高分子量ポリエチレン(UHPE)
ポリフェニレンスルフィド(PPS)
ポリイミド(PI)
ポリエーテルイミド(PEI)
ポリアリレート(PAR)
ポリスルホン(PSF)
ポリエーテルスルホン(PES)
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
液晶ポリマー(LCP)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、いわゆるフッ素樹脂
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、いわゆるフッ素樹脂
ポリエチレン(PE)
ポリプロピレン(PP)
ポリスチレン(PS)
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アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)
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