ボタンに使われるプラスチック材質の種類

2022年1月11日更新

ボタンの材質はプラスチックが主流ですが、そのほかに真鍮やメッキを活用した金属製、七宝などの工芸デザインのもの、貝、水牛の角、ヤシ、木から削り出したものや革等の天然素材のものもあります。また樹脂に金属メッキを施した意匠性の高いボタンも出回っています。

廉価で使用頻度の高いプラスチック製のボタンにしても様々な種類があり異なる特徴を持ちます。この違いはプラスチックの特性の違いでもあり、特にアイロンや乾燥機に耐えるための耐熱性、クリーニングや洗剤に耐える耐薬品性、衝撃や摩擦に耐える強度、耐摩耗性といった性能面や機能面の違いを理解して使う必要があります。もちろん、デザインや色彩も豊富なものが多いので、ボタンは目立つこともありファッション性やデザイン、光沢などの質感に重点を置いた選び方も重要となります。

プラスチックボタンの種類と特徴

アクリルボタン

アクリルはメタクリル樹脂ともいい、透明度の高さで知られます。光沢もあって美しく、ワンピース、ブラウス、ワイシャツをはじめ多数の衣服に使われます。パールボタンとも呼ばれますが、まさに真珠を模したデザインのものもあります。

ただし耐熱性には難があり、アイロンは直接当てないほうがよい樹脂です。常用での耐熱温度は70〜90℃となります。樹脂の中では耐侯性に優れ、直射日光下でも劣化しないという特性があります。

先染めのものが多いので、色の変わりにくさや色落ちのしにくさを示す堅ろう度(染色の堅牢度)については問題ない材質です。有機溶剤には弱いです。

ユリアボタン

熱硬化性樹脂であるユリア樹脂を素材とするボタンです。不透明で美しい色合いをもちます。先染めで熱にも強いとされますが、常用できる耐熱温度は90℃という点を念頭に置き、アイロンには注意を要します。また熱水にかかると加水分解します。燃えにくい素材ではあります。

原料は石油系の他のプラスチックと違い、ホルムアルデヒドとなります。着色は自由にできます。

硬度もプラスチックでは高いため傷が入りにくいです。強度面においては樹脂製ボタンで最強とも言われますが、耐衝撃には難があり、クラックが入ったり、割れやすいとされます。硬いと割れる、というのはプラスチックに限った話ではありませんが、注意が必要です。

耐薬品性にはあまりすぐれない為、耐酸、耐アルカリともに注意すべきです。塩素漂白では光沢が若干失われる懸念があります。紳士服、婦人服問わず使用されます別名、バイフルボタンとも言います。

カゼインボタン

牛乳を原料とするカゼインを材料とするボタンです。見た目でソフトですが耐摩耗性や強度もイメージほど弱くなく心配いりません。ただし長時間水につけると柔らかくなってしまう性質があります。

製法上、若干のホルマリンを含むため幼児向けの衣服には向かないボタンです。別名、ラクトボタンとも言います。

エポキシボタン

熱硬化性プラスチックであるエポキシ樹脂から作られるボタンです。接着剤の原料としても定評のある通り、接着性がよい素材です。ただし塩素漂白はできません。酸素系漂白剤も使用には注意が要ります。

耐酸性や耐アルカリといった耐薬品性に優れる素材です。常用できる耐熱温度は150〜200℃になり、プラスチックボタンの中では高い耐熱性も持ちます。

ポリボタン

汎用プラスチックの代表格の一つであるポリエステルをもとにしたボタンです。不飽和ポリエステル樹脂が原料となり、常用できる耐熱温度は130〜150℃、耐腐食性、難燃性といった特長も持ちます。

色の自由度が高く、色出しもきれいにできるので天然調のもの(水牛柄、貝など)やパール光沢により多くの服飾品に使われます。アクリルボタンの代用品として拡がり、今ではこちらが主流となっています。丈夫な部類ですが衝撃で割れることがあります。耐薬品性も強いほうです。

ナイロンボタン

耐摩耗性、耐寒冷性、耐衝撃性、耐油性に優れるナイロン素材のボタンで、強度もあるため破損の頻度は低いボタンです。ただし、耐熱性は高くない為、アイロンは直接あてないほうがよい素材です。後染めでもあるため、アイロン熱で変色してしまうことがあります。

ABSボタン

ABS樹脂を素材としたボタンです。硬く機械的強度には特に問題はありませんが、丈夫な部類ではありませんので、衝撃を受ける等の取り扱いには注意が必要です。

メッキしやすいので、樹脂めっきボタンの大半がこのABSとなります。樹脂めっきとは、プラスチックの上に金属で絵やデザインをつけるメッキ技術で、見た目は凝った金属製のボタンに見えますが、金属色の部分はめっきであるため、プラスチックの軽量性を維持したままデザインだけ金属に見せることがあります。樹脂自体も着色しやすい素材です。

塩素漂白ではメッキ部分が錆びることがあるので注意を要します。酸素系漂白剤も同様に注意を要します。

耐熱温度は70〜100℃となります。射日光にはあまり耐性がなく、長時間あてると劣化していきます。

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