FCV350の機械的性質、引張強さ、耐力、伸び、硬度、ポアソン比、熱伝導率、熱膨張率|CV黒鉛鋳鉄品の規格
FCV350は優れた延性をもち、ねずみ鋳鉄品よりも強度が強い点に特徴があります。一方で、球状黒鉛鋳鉄品ほどの強度はないものの、鋳造性や鋳造歩留まり、被切削性はこのグレードのほうが優れているため、両者の中間的な特性を持ちます。CV黒鉛鋳鉄の5種類の中では、熱伝導率が2番目に高く、耐力、引張強さは2番目に弱い種類となります。
用途としては、エキゾーストマニホールド、定置式や船舶ディーゼルエンジン用シリンダヘッドやシリンダブロック、台板、ブラケット、連結器、インゴット用鋳型として使われます。
金属組織は、フェライト組織がベースとなりますが、一部パーライトを含みます。
FCV350の機械的性質
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|
FCV350/S | 350以上 | 245以上 | 1.5以上 | 150から220 |
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 厚み t(対象となる肉厚) mm |
引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|---|
FCV350/U | t≦12.5 | 350以上 | 245以上 | 1.5以上 | 150から220 |
12.5<t≦30 | 350以上 | 245以上 | 1.5以上 | 150から220 | |
30<t≦60 | 325以上 | 230以上 | 1.5以上 | 150から220 | |
60<t≦200 | 300以上 | 210以上 | 1.5以上 | 150から220 |
温度によるFCV350の機械的性質、物理的性質の変化
物理特性・熱的特性 | 単位 | 温度 | FCV350 |
---|---|---|---|
引張強度 | N/mm2 | 23℃ | 350から425 |
100℃ | 325から400 | ||
400℃ | 275から350 | ||
0.2%耐力 | N/mm2 | 23℃ | 245から295 |
100℃ | 220から270 | ||
400℃ | 195から245 | ||
伸び | % | 23℃ | 1.5から4.0 |
100℃ | 1.5から3.5 | ||
400℃ | 1.0から3.0 | ||
弾性係数 | kN/mm2 | 23℃ | 135から150 |
100℃ | 130から145 | ||
400℃ | 125から140 | ||
疲労限度比、回転曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.47から0.52 |
疲労限度比、引張圧縮疲労試験 | − | 23℃ | 0.27から0.37 |
疲労限度比、3点曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.62から0.72 |
ポアソン比 | - | - | 0.26 |
密度、比重 | g/cm3(密度) | − | 7.0 |
熱伝導率 | W/(m・K) | 23℃ | 43 |
100℃ | 42 | ||
400℃ | 40 | ||
熱膨張係数 | μm/(m・K) | 100℃ | 11 |
400℃ | 12.5 | ||
比熱 | J/(g・K) | 100℃ | 0.475 |
「JIS G 5505 CV黒鉛鋳鉄品」に規定のある材料記号
スポンサーリンク
>このページ「FCV350の機械的性質、引張強さ、耐力、伸び、硬度、ポアソン比、熱伝導率、熱膨張率|CV黒鉛鋳鉄品の規格」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- 鋳鉄とは
- ねずみ鋳鉄品(FC材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 球状黒鉛鋳鉄品(FCD材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 可鍛鋳鉄の種類、用途、特性、記号|白心可鍛鋳鉄、黒心可鍛鋳鉄、パーライト可鍛鋳鉄の特徴と性質
- 耐熱鋼鋳鋼品、SCHの種類と用途、成分、耐熱温度など
- 金属の低温脆性
- 高温高圧用鋳鋼品|SCPH材の特性、成分、材質、比重、機械的性質の規格
- SCS(ステンレス鋳鋼品)の種類と材質、成分、規格
- アルミニウム合金鋳物の種類の一覧
- アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴|材質、比重、機械的性質など
- 銅合金鋳物、鋳造品の用途、成分、種類、記号について
- 炭素鋼鋳鋼品(SC材)
- 溶接構造用鋳鋼品(SCW材)
- 構造用合金鋼鋳鋼品(SCC, SCMn, SCMnCr, SCCrM等)
- 高マンガン鋼鋳鋼品(SCMnH材)
- 鋳鉄の比重について
- 鋳鉄の耐熱温度はどれくらいか
- ニクロシラルとは
- ニレジストとは
- 耐食鋳鉄とは
- 耐熱鋳鉄とは
- チルド鋳鉄とは
- ミーハナイト鋳鉄とは
- 可鍛鋳鉄とは
- フェライト
- パーライト
- オーステナイト
- 鍛造と鋳造の違い
- 鋳造と鍛造の使い分け
- 炭素鋼鋳鋼品(SC材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 鋼、鉄、鋳鉄はそれぞれ何が違うか
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
- 鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
- 金属単体の比重、密度の一覧表
- 金属の融点、沸点の一覧表
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 金属材料の硬度の一覧と比較
- 鉄鋼材料の種類
- 炭素鋼と合金鋼の違いと使い分け
- 合金元素の果たす役割
- 鉄鋼、炭素鋼、合金鋼の焼入れ深さ
- 焼入れ性とは