鋳鉄とは

2013年7月14日更新

鋳鉄の定義にはいくつかありますが、一般的なものとしては、炭素量(C量)が2.14%以上含有された鉄を原料としている鋳物のことです。

鉄系の材料は、「成分」とその後の「熱処理」の二つによって最終的に金属組織が決まり、物理的性質が決まってきますが、鋳物についても、成分組成によってまずは初期の物性が決まってきます。

鋳鉄はその成分と組成によっていくつかの種類があります。特に物理的な性質に大きく影響を及ぼす元素が、炭素(C)とシリコン(Si)であり、これらの比率が変わると下記のように鋳鉄の性質も変化していきます。

炭素とシリコンの量からみる鋳鉄の種類
炭素とシリコンの量 鋳鉄の特徴
C、Siともに少ない 炭素がFe3Cとなるため、白鋳鉄となる(破面が白くて硬い)。一般に、引張強さが大きく硬い
C、Siともに多い 白鋳鉄とパーライト鋳鉄の混ざったまだら鋳鉄となる。破面が灰色のねずみ鋳鉄となる。
Cが多い 黒鉛が組織の中に現れてくる。黒鉛の形状によって鋳鉄の性質が変わる。球状黒鉛鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄など。

鋳鉄の持つ特徴というのは、通常の鉄や、鉄鋼材料ともまた異なります。鋳物であるため、複雑な形状のものや圧延品の切削や研削では量産しにくいものでも対応可能ですが、その他にも次のような特徴を持ちます。ただし、鋳鉄にも様々な種類があり、それによってはさらに付加価値を持つものや弱点を補うものもあります。

  • 鋳鉄に含まれている黒鉛が摩擦を減少させる減摩材として作用するため、耐磨耗性に優れている。金属組織の間隙に、潤滑油がたまっていく性質を持つ。
  • 伸びや衝撃値は小さいため、耐衝撃性能は高くない。
  • 溶かした鉄を流し込んでいく際の、湯流れ性がよく、凝固の際の収縮も少なくてすむため、鋳物が作りやすい。
  • 一般的な鋳鉄の耐食性は高くない。
  • 鋳鉄にもよるが、通常の普通鋳鉄は強度面では鉄鋼材料に劣る。
  • 厚みによって機械的性質が大きく上下する。このため、一概に鋳鉄品だからということであてはめることは危険である。
  • 振動を吸収する減衰能が高い。このため、精度の要求される工作機械などでも鋳鉄で筐体やフレーム部分、本体などを作ることで安定化させることがある。

鋳鉄の種類

鋳鉄の種類にはいくつかありますが、列挙していくと以下のようなものがあります。

普通鋳鉄

  • ねずみ鋳鉄
  • まだら鋳鉄
  • 白鋳鉄
   

高級鋳鉄

  • ミーハナイト鋳鉄
  • CV鋳鉄
  • 球状黒鉛鋳鉄
  • オーステナイト鋳鉄
  • マルテンサイト鋳鉄
  • アシキュラー鋳鉄
  • 高ケイ素鋳鉄(高シリコン鋳鉄)
  • 高クロム鋳鉄
  • 黒心可鍛鋳鉄
  • パーライト可鍛鋳鉄
  • 白心可鍛鋳鉄
  • チルド鋳鉄
  • 耐熱鋳鉄
  • 耐食鋳鉄

スポンサーリンク

>このページ「鋳鉄とは」の先頭へ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集