FCV300の機械的性質、引張強さ、耐力、伸び、硬度、ポアソン比、熱伝導率、熱膨張率|CV黒鉛鋳鉄品の規格
FCV300は、CV黒鉛鋳鉄品のうち、高い熱伝導率をもち、弾性係数が低いグレードです。こうした特性により、受けた熱が内部に滞留しないため、熱応力の蓄積を最小限にすることができます。規格に規定される5種は、どれも熱膨張係数は変わりませんが、熱伝導率についてはこのFCV300が最も高くなります。
用途としては、エキゾーストマニホールド、船舶用シリンダヘッドや、定置式エンジン用シリンダヘッドなどが知られます。
CV黒鉛鋳鉄そのものは、ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄の中間的な性能・物性を持つ材料となります。金属組織は主としてフェライトです。
FCV300の機械的性質
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|
FCV300/S | 300以上 | 210以上 | 2.0以上 | 140から210 |
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 厚み t(対象となる肉厚) mm |
引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|---|
FCV300/U | t≦12.5 | 300以上 | 210以上 | 2.0以上 | 140から210 |
12.5<t≦30 | 300以上 | 210以上 | 2.0以上 | 140から210 | |
30<t≦60 | 275以上 | 195以上 | 2.0以上 | 140から210 | |
60<t≦200 | 250以上 | 175以上 | 2.0以上 | 140から210 |
温度によるFCV300の機械的性質、物理的性質の変化
物理特性・熱的特性 | 単位 | 温度 | FCV300 |
---|---|---|---|
引張強度 | N/mm2 | 23℃ | 300から375 |
100℃ | 275から350 | ||
400℃ | 225から300 | ||
0.2%耐力 | N/mm2 | 23℃ | 210から260 |
100℃ | 190から240 | ||
400℃ | 170から220 | ||
伸び | % | 23℃ | 2.0から5.0 |
100℃ | 1.5から4.5 | ||
400℃ | 1.0から4.0 | ||
弾性係数 | kN/mm2 | 23℃ | 130から145 |
100℃ | 125から140 | ||
400℃ | 120から135 | ||
疲労限度比、回転曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.50から0.55 |
疲労限度比、引張圧縮疲労試験 | − | 23℃ | 0.30から0.40 |
疲労限度比、3点曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.65から0.75 |
ポアソン比 | - | - | 0.26 |
密度、比重 | g/cm3(密度) | − | 7.0 |
熱伝導率 | W/(m・K) | 23℃ | 47 |
100℃ | 45 | ||
400℃ | 42 | ||
熱膨張係数 | μm/(m・K) | 100℃ | 11 |
400℃ | 12.5 | ||
比熱 | J/(g・K) | 100℃ | 0.475 |
「JIS G 5505 CV黒鉛鋳鉄品」に規定のある材料記号
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