チルド鋳鉄とは

2013年7月22日更新

チルド鋳鉄とは、鋳物のうち、外側の硬度が高く、内側は粘りのある(ねばりのある)、つまり靭性(じんせい)のある構造をした鋳鉄のことです。具体的には、チル化といって、表面の冷却速度を早めることで、金属組織的には硬くてもろいセメンタイトの量を増やす処理を行ったものであることを意味します。

材料を硬くすればするほど脆く(もろく)なっていきますが、一方で、表面だけチル化させて、内部についてはねずみ鋳鉄のままにしておけば、内側はある程度の靭性のある組織のままです。これによって、表面の耐磨耗性・硬度を確保しつつも、材料がもろくなりすぎないように工夫がなされています。

過酷な磨耗、摩擦に耐える必要がある自動車用のカムシャフトには、このチルド鋳鉄が用いられています。

チルド鋳鉄は、チル化しやすいようにSi(シリコン)の含有成分の少ないものを用いるのが一般的です。他の合金元素を加えることで、さらに表面硬度を上げることもできます。

なお、金型の関係で意図せずして鋳鉄がチル化してしまうことがありますが、この場合は、本来想定していた硬度よりも表面がさらに硬い状態になっているわけですから、加工性が著しく低下してしまいます。

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