真空蒸着材料とは

2012年4月7日更新

真空蒸着材料は、真空蒸着と呼ばれる成膜手法で使われる固有の材料です。多くは、金属や酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物などのセラミックス材料で、高い純度をもつものがほとんどです。高真空の中で、電子ビームなどが照射されて材料そのものが「分子」となり、それらを基板に付着させる目的で使われます。

蒸着で実現しようとしている薄膜の多くが、高いレベルの光学特性や機能性、誘電率などを得る必要があるため、材料の純度は高いものが求められます。通常は3N(スリーナイングレード)と呼ばれる99.9%がその材料で構成されたものが用いられますが(材料によっては4N以上のものも使われます)、純度以外にも、材料としては溶かしやすさや、スプラッシュ(突沸)が出にくい、アウトガス(出ガス)が少ない等の性能が求められるため、純度が高いというだけの生の原料がそのまま使えるわけではありません。材料に種類によっては激しいスプラッシュを避けられないものもあり、個々の材料物性も使い方に大きく影響します。

真空蒸着材料には、ペレットやタブレットなどの特徴的な形に成型されたものと、顆粒状のものがあります。顆粒状のものには、焼結品と溶融破砕品の別があります。焼結品は、造粒工程を経て焼き物のように窯で焼かれたものです。溶融破砕品は、結晶状の塊を砕いて一定の大きさにふるい分けたものです。

薄膜の特性【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

スポンサーリンク

>「真空蒸着材料とは」の先頭へ

「成膜や薄膜、蒸着、スパッタのFAQ」の目次へ戻る

真空蒸着材料の関連記事

真空蒸着の原理
スパッタとは
受託成膜や成膜サービスを行っている企業の一覧
「めっき」を行っている企業の一覧
「溶射」を行っている企業の一覧
蒸着材料のメーカー一覧
スパッタリングターゲットのメーカー一覧
CVD材料のメーカー一覧

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集