成膜の方法、種類

2011年5月7日更新

基板や何らかの物体の表面に薄膜をつけることを「成膜」といいますが、こうした薄膜をつけることで元々の物質にはなかった性質や機能を付与することが出来ます。こうした成膜の手法にはいくつか分類があり、どのような膜が必要なのかによって使い分けられています。実際には、特定の産業・業界にはある特定の成膜手法しか使われることがないケースが多く、例えばレンズやプリズムなどの表面に積層する光学膜(主として光の透過率、反射や吸収をコントロールする目的で成膜)が必要とされる光学業界では、蒸着とスパッタが大半を占めます。また航空機のタービン等に用いられる耐熱用途の膜には溶射による膜が施される、あるいは半導体の世界ではCVDによる高純度で極薄の膜が成膜されるといった具合です。

こうした使い分けは、例えば薄膜をつける対象の大きさや物性、チャンバーなどの装置に入れることが出来るかどうか、量産性はどうか、薄膜の厚さ、膜に求めている性質などによって決められます。

成膜といった場合、ほとんどは膜厚がnm(ナノメートル)の厚みを持つ金属の膜か、酸化物、あるいはフッ化物の膜であることが多いですが、中には溶射のようにμm(マイクロメートル)の厚みを持つ膜もあります。薄膜とそうではない膜との線引きは、薄膜が使われる分野を横断的に捉える習慣がないため、あまりされていないのが現状で、成膜も広くは「表面処理」の一つともいえます。

薄膜が必要な場合、自社で成膜装置やその技術者を擁していない場合は特に、外部に受託成膜という形で加工を依頼することが一般的です。また試作開発や研究発表、あるいは量産用途での受託成膜もあります。成膜サービスを実施している会社へ依頼する場合、目的とする膜厚や、その膜厚の公差、成膜手法について事前によく調べておく必要があります。保有している成膜装置によってできる薄膜が決まりますので、そうしたことも確認するとよいでしょう。

成膜の方法例
液相成膜法(ウェット) めっき
塗布
ゾルゲル
スピンコート
気相成膜法(ドライ) PVD(物理的気相法) 蒸着
スパッタ
CVD(化学的気相法) 熱CVD
MOCVD
プラズマ

薄膜を作製する方法は多様な方法が知られていますが、大別すると液相成膜法と気相成膜法に分類できます。

液相法は、メッキやゾルゲル法など化学反応を利用した成膜法で、サイズの大きい基板や形状の入り組んだものであっても成膜ができます。反面、膜厚の制御や、環境に及ぼす影響などで難があるとされます。比較的厚い膜に向いていますが、方法によってはかなり薄い膜も可能です。

PVDとCVD

気相法は、ガスを薄膜の材料として用いるCVDと、固体材料に何らかの方法で熱や電気をかけ、気化させて膜にするPVDとに大別されます。高真空中で成膜を行うため、純度の高い膜が得られます。特に純度を求めるのであればCVDが最も優れていますが、成膜することができる物質が限られていたり、膜をつける対象を入れるチャンバー内で反応させるため、こうした手法には向かない材料も存在します。PVDの代表格は蒸着とスパッタですが、この手法は作ることが出来る薄膜にほとんど違いがないため(厳密には特性や生産性で違いは出てきますが、他の成膜手法ほどの違いは出ません)、二つの手法が時と場合によって使い分けられています。

薄膜の特性【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

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