DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングの特徴と物性|硬度、色、熱膨張係数、融点、密度、比重

2013年5月2日更新

DLCは一言で言えば、ダイヤモンドの薄膜で、ダイヤモンドライクカーボンの名を冠するだけあり、工具コーティングとしては最高の硬度をもちます。

残念ながら本家の合成ダイヤモンドほどの硬度は持ちませんが、成膜手法により物性はかなり変わるものの、膜の硬さは1000から5000HVの範囲とされ、数ある高硬度コーティングの中でも最高の硬さを持つ膜が作成可能な物質です。

DLCコーティングの真骨頂は、この優れた硬度のほか、摩擦係数が他の膜種より小さく、耐摩耗性にも優れていることから、低い摩擦係数をいかした摺動部品にも使える点です。また、何より、高い寸法精度を要求される局面でも使用可能な特徴を持つため、硬度以外でも着目されている材料です。

ダイヤモンドの弱点と同様に、耐熱性については他のセラミックスコーティングから見ると低めになっており、耐酸化性は400℃前後とされるため、最高使用温度は450℃前後と考えられます。

コーティングは黒色もしくは黒光りした膜面を得られます。

DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の物性

DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の密度、比重、融点、熱膨張係数、熱伝導率、摩擦係数、ヤング率、曲げ強さ、引張り強さ、圧縮強さ、クリープ、硬度、衝撃強さなどの物性の参考値です。

DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の性質
組成、化学成分 C
比重、密度(g/cm3 2前後
融点(融点分解点)
熱膨張係数
x10-6/℃
熱伝導率
cal/cm・s・℃
摩擦係数 0.02〜0.2
ヤング率
x104kgf/mm2
ポアソン比
曲げ強さ
kgf/mm2
引張強さ
kgf/mm2
圧縮強さ
kgf/mm2
クリープ
ε(%)
硬度、硬さ
(Hv)
1000から5000
衝撃強さ
kgf・cm/cm2
臨界熱衝撃温度差(ΔTc
特徴 低摩擦係数と、セラミックスコーティングの中でも最高の硬度を持つ。ダイヤモンド同様炭素ゆえ、高温や火にはあまり強くない。

スポンサーリンク

>「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)」についての先頭へ

DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の関連記事

工具コーティングのメーカーの一覧
受託成膜や成膜サービスを行っている企業の一覧
蒸着材料のメーカー一覧
スパッタリングターゲットのメーカー一覧
CVD材料のメーカー一覧
溶射材料のメーカー一覧

薄膜の材料特性

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集