釘の種類と規格|JIS規格にある釘の長さ・太さ等のサイズ、寸法の一覧

2014年8月23日更新

釘は住居や家具などの木工をはじめ、建築物、工作物に幅広く使われる部品のひとつです。主として物と物を接合させるため、打ち込んで使われます。金槌を使って打ち込むイメージが強いですが、建築用途では釘打ち機を使った施工が主流です。

釘は締結具の代表格であるネジとちがって、回転させて締結させるわけではありませんが、抜けにくくするためにクギの胴部にスクリュー状・リング状の凹凸や、バーブとよばれる枝のような突起が表面に作られているものもあります。繊維板などに使う規格釘は、抜けにくくするためにこうした凹凸が設けられています。

日本は木造家屋や、建築物に木材を使う木の文化を持ち、さまざまな建造物に木材を接合させるために釘を使います。このため、釘の長さや太さの選び方ひとつで、建物の強度や耐震性といった面にも影響が出てきます。釘の選び方を間違えにくくするよう、JISにおける規格も改定されています。

釘の接合が主に木材に使われるため、他の高強度構造材の締結に使われるネジと違い、破断や破壊に起因する事故については表面化しづらくなっていますが、釘が壊れれば構造物の死命に関わります。

釘の寿命は地震や自然災害などで負荷がかかって破断しなければ、「錆」にどれだけ耐えられるのかが寿命と密接に関係してきます。寒冷地では低温脆性の問題も出てきますが、釘は木材の中にめり込んでいるため、木に包まれた状態にあり、木材は通常乾燥していることもあり、鋼板のような曝露状態にはなりにくいという点も釘の寿命にはプラスに働きます。使用される環境(湿度、塩等)によりますが、一般には数十年の寿命を持ちます。法隆寺のような歴史的な建造物の釘についても原形はとどめていますが、実用上の寿命はもっと短いと考えるべきでしょう。

耐食性を向上させて耐用年数を高くする必要があるような環境・状況では、ステンレス釘やメッキ釘もあわせて検討されます。

JIS規格に規定された10種類の釘

JIS規格では釘のサイズや寸法、形が定められており、ここには10種類の釘が規格化されています。すなわち、鉄丸くぎ、めっき鉄丸くぎ、太め鉄丸くぎ、めっき太め鉄丸くぎ、溶融亜鉛めっき太め鉄丸くぎ、細め鉄丸くぎ、ステンレス鋼くぎ、せっこうボード用くぎ、シージングボード用くぎ、PNくぎの10種です。釘イコール鉄というイメージがありますが、ステンレス鋼を用いたものの他、亜鉛めっきを施すことにより、防錆機能を持たせたものまであります。

市販されている釘の中には規格外の釘も多いですが、建築物や建物といった構造物には本来適さないものもあり、用途にあわせて事前に確認が必要です。

JIS規格に定められた釘の種類と規格

釘の材質は鉄もしくはステンレス

規格上は、釘の素材となる材質部分は鉄線か、ステンレス鋼線となります。釘にはそれぞれ記号がつけられており、種類を示す記号、釘の頭部形状を示す記号、胴部形状を示す記号、胴部の直径、長さで構成されています。

釘の種類、長さ、太さを示す記号の例

釘には種類があることは前述したとおりですが、その種類ごとにもさらに長さや太さなどのバリエーションがあります。それらひとつずつに固有の「記号」がつけられており、これを見れば釘のサイズからその寸法許容差まで特定することができます。

記号は、「釘の種類、頭部形状、胴部形状、胴部径、長さ」から成り立っており、このうち、どの釘に対しても表示しなければならないものは、釘の種類と長さとなります。頭部形状は、ステンレス鋼くぎ、せっこうボード用くぎ、PNくぎ以外は省略可能です。また、胴部形状はスムース(SM)の場合や、シージングボード用くぎ、PNくぎのケーシング頭くぎの場合は省略できます。胴部径については、PNくぎ以外は省略してもよいことになっています。

石膏ボード用釘(鉄)の記号表示例

釘の記号

鉄丸くぎの例

胴部形状がスムースの場合、「N50」といった表記になります。Nが鉄丸くぎの種類を示し、50は長さ(呼び)を示しています。

JIS規格に定められた10種類の釘の名称

釘には種類があり、それぞれに固有の名前がつけられています。より専門的には、「呼び」と呼称される記号の羅列から、釘の種類から長さ、頭部の直径、胴部の直径などが特定できるようになっています。上記で述べた「釘の種類」の部分の記号は下表の中から割り当てられています。

下表の釘の種類の部分にある名称をクリックすると、それぞれの釘のサイズ、長さ、直径、頭部形状、

釘の種類と記号
釘の種類 材質 釘の記号
鉄丸くぎ N
めっき鉄丸くぎ NZ
太め鉄丸くぎ CN
めっき太め鉄丸くぎ CNZ
溶融亜鉛めっき太め鉄丸くぎ ZN
細め鉄丸くぎ BN
ステンレス鋼くぎ ステンレス鋼 S
せっこうボード用くぎ GN
ステンレス鋼 GNS
シージングボード用くぎ SN
PNくぎ PN
ステンレス鋼 PNS

釘の頭部形状

釘の頭にはいくつかのパターンがあり、それぞれのパターンに固有の記号がつけられています。釘に表示されている記号のうち、2番目の部分にある「頭部形状」は下表の記号から割り当てられています。

釘の頭部形状と表記記号の一覧
釘の頭部形状 頭部の記号 形状図
平頭フラット F 平頭フラット釘
平頭網目付き FC 平頭網目付き釘
丸頭 O 丸頭釘
皿頭網目付き dc 皿頭網目付き釘
半丸頭 H 半丸頭釘
変形頭 M 変形頭釘
ケーシング頭 K ケーシング頭釘
カップ頭 C カップ頭釘

釘の胴部形状

ほとんどの釘はストレートの胴部、つまり引っ掛かりのない真っ直ぐな形状をしています。形状はこうしたスムースと呼ばれるストレートのほかにも、規格では計4種類の形状について下表の記号を使い分けています。

釘の形状
釘の胴部形状 胴部形状の記号 形状図
スムース SM スムース形状の釘
スクリュー SR スクリュー形状の釘
リング R リング形状の釘
バーブ B バーブ形状の釘

釘の太さ(胴部径)

釘の胴部部分の直径となります。胴部径はそれぞれの釘の種類ごとに寸法違いの多様なバリエーションがあります。詳細はそれぞれの釘の種類ごとの表を参照ください。

釘の長さ

釘の長さは、頭部から先端までの全長のことです。釘の名称に数字がひとつしかついていない場合、その数字が釘の長さを示していることが多いです。ただし、釘の種類によっては実際の寸法と表記される「呼び」の寸法とは違いますので、下記の釘の種類ごとのサイズ表を参照ください。

釘の部位ごとの名称

釘には、いくつかのタイプがありますが、一般的なものは下図のように「頭部」、「首部」、「胴部」、「先端部」から成り立っています。規格では頭部の直径(D)、先端部の長さ(S)、胴部の直径(釘の太さ、d)、釘の長さ(L)が規定されており、参考値として頭部角度も掲載されています。

釘には「頭部の形状」と「胴部と先端部の形状」が複数存在するため、さまざまなバリエーションを持ったものがあります。

釘の部位ごとの名称

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