金属の靱性、ねばり強さ(靭り強さ、粘り強さ)

2012年12月3日更新

金属材料の難しい概念の一つで、硬さとはまた違うパラメータです。例えば、強力な衝撃を受けた際に、金属に粘りがあると壊れずにすみます。逆に硬さに優れた金属でも、粘りがなく脆いと破壊されてしまいます。こうしたねばりを靭性とも言いますが、この反義語が脆性(ぜいせい)です。字のごとく、脆い(もろい)性質の度合いを意味します。鋼の場合は、硬度の高いものは靱性が低くなります。

ねばり(靭性)の計測は、引張試験を行ったときの「伸び」と「絞り」でわかります。材料の物性を見るとき、伸びや絞りの値が大きいもので、引張強度も同時に高い値を示している鉄鋼材料を、靱性(じん性)に優れた材料、あるいは粘り強い材料であるということがいえます。

また引張試験のほかに、衝撃試験を行うことでもこのパラメータを調べることが出来ます。衝撃試験としてよく知られる方法がシャルピー試験です。V形もしくはU形の切り込みを片側だけに入れた試験片を用意します。ここに荷重の大きいハンマーで衝撃を与え、試験片を破断させます。このときに破断させるのに要した破断エネルギーもしくは吸収エネルギーを計測することで、その材料の「ねばさ」を衝撃値としてみることが出来ます。

粘り強い材料ほど、吸収エネルギーの値が大きく出るという仕組みです。

金属の「強度」を見るための重要な考え方の一つです。

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