SPV450の成分、材質、比重、引張強さ、降伏点などのJIS規格|工業材料として見たSPV鋼材

2014年5月21日更新

SPV450はシリコンマンガン鋼の一種で、圧力容器用の鋼材です。圧力容器として使う上ではずせないパラメータが設定されているため使いやすい鋼種ですが、もちろんそれ以外の用途にも使えます。他の鋼材と若干異なり、材料記号のSPV450の数字部分の450は引っ張り強さではなく、降伏点(耐力)の最低値をMPaで示した値です。

炭素量の多さは溶接性には悪影響を及ぼすものの、強度に影響してくるため、合金元素で補う形となります。

強度やねばりといった点に大きな特徴がある鋼材です。

SPV450の比重

比重については熱延鋼板と同様の7.85がベースとなりますが、構成成分によって厳密には変わってきます。

SPV450の成分、材質

SPV450の成分、材質
SPV材の種類 C Si Mn P S
SPV450 0.18以下 0.75以下 1.60以下 0.030以下 0.030以下

SPV450の機械的性質

SPV450の引張強さ、耐力、降伏点、曲げ性
SPV鋼材の種類 降伏点、耐力(N/mm2 引張強さ
(N/mm2
伸び 曲げ性
厚さ6ミリ以上50ミリ以下 50ミリを超え100ミリ以下 100ミリを超え200ミリ以下 厚さ(ミリ) 試験片 曲げ角度 内径半径 試験片
SPV450 450以上 430以上 410以上 570から700 16以下 5号 19以上 180° 厚さの1.5倍 1号
16を超えるもの 5号 26以上
20を超えるもの 4号 20以上

SPV450のシャルピー吸収エネルギー

低温にし、耐衝撃性を見るための指標となります。試験片はVノッチ、圧延方向のものになります。

SPV450の耐衝撃性|シャルピー吸収エネルギー
SPV鋼材の種類 試験温度(℃) シャルピー吸収エネルギー
3個の試験片の平均値 個々の試験片の値
SPV450 −10℃ 47以上 27以上

SPV450の炭素当量|焼入れ焼戻しを行う

炭素当量(Ceq)の計算式は下記が適用されます。

SPV450の炭素当量
SPV鋼板 厚さ
50ミリ以下 50ミリを超え75ミリ以下 75ミリを超え100ミリ以下 100ミリを超え125ミリ以下 125ミリを超え150ミリ以下
SPV450 0.44以下 0.46以下 0.49以下 0.52以下 0.54以下

SPV450の溶接割れ感受性組成|焼入焼戻しを行う

溶接割れ感受性組成(Pcm)の計算式は下記が適用されます。

SPV450の溶接割れ感受性組成(単位:%)
SPV鋼材の種類 厚さ
50ミリ以下 50ミリを超え150ミリ以下
SPV450 0.28以下 0.30以下

「JIS G 3115 圧力容器用鋼板」に規定のある材料記号

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