耳栓メーカーの一覧|耳栓の比較と効果

2014年12月8日更新

耳栓を利用する目的は、耳に入ってくる騒音の緩和ですが、音は周波数が異なるため、すべての音を完全に遮断するというようなものは市販されていません。これには安全上の問題もあるかと思います。ヘルメットや安全靴等に比べて軽視されがちですが、安全衛生用具として、重要な製品の一つである耳栓について見ていきます。

遮音効果の高い防音保護具、耳栓

基本的に、耳栓とは音を完全に遮断するのではなく、耳や聴力に害を及ぼすレベルの音が鼓膜に届かないようにし、必要な会話などはある程度聞き取れるようにすることを目的にしています。ただし、身につけるタイプの防音保護具としては、現状、最も遮音効果が高いのが耳栓です。ヘッドホンタイプのイヤーマフは装着が簡単でスピーディにできる反面、耳栓ほどの効果が出づらいですが、こちらのよさもあるので一概にどちらがよいとは言い難いです。

本来は工場現場で聴覚保護を目的とする

耳栓は業務用途として、騒音が激しく、長時間そこにいると難聴になってしまうような工場の作業現場などで用いられる場合が多いため、主要メーカーもその用途に照準をあわせていますが、遮音効果の高い耳栓は勉強や学習などで集中するためや睡眠時の騒音遮断で安眠する目的にも高い効果を発揮します。他にも、突発的な衝撃音が予想される軍事用途の耳栓も開発されています。

工場によっても騒音の内容が異なりますが、たとえば重量のあるトン数で鍛造などを行っている現場であれば、うるさいといった感覚ではなく、「耳が痛い」と感じます。他にも、ジェットエンジン等の関わる職場、航空機発着場、製材、造船、製鉄、鉱山、製缶、工事など爆音とも呼べるような騒音現場は多くあります。これらの職場で、耳栓やイヤーマフなどの防音保護具なしで従事していれば難聴や耳鳴りをはじめ、聴覚になんらかの異常をきたすことが考えられます。

マンション騒音、アパート騒音、近所騒音に耳栓は効くか

また昨今ではマンションの騒音、アパートの騒音、近所の騒音など周辺住民の配慮のなさから発生する音に悩まされている人も増えています。工場などの現場の音と違い、これらの音は人の話声も含め完全に遮断してしまいたい音にも関わらず、「音域が低音域から高音域までまたがっている」「突発的に、いつ発生するのかわからない」といった点から、余計に遮音が難しくなっています。内装面から、音を吸収したり、遮断したりする素材で防護するという方法もありますが、分譲でも内装工事ができる範囲が決められていることもあり、これができる住居も限られていると思います。

マンション住民や近隣住民の出す騒音のせいで、中には耳が聴こえなくなってもよいという悲痛な声さえあります。騒音には、ドスンドスンというような足音(衝撃音)、ものを落とすような落下音、笑い声や話し声(女性と男性でも違うため低音域から高音域)、子供の騒ぐ音、バイクや車などの排気音、犬の吼える音、ピアノやギターなどの楽器音、スピーカーから出る音楽、テレビ音、友人とのパーティや集会などの騒音、ドアや門・窓などを乱暴に閉めると発生するバタンという衝撃音など、多彩な音域にまたがっています。

建物のつくりも音の伝達には強く影響します。遮音性の低い順に並べると、木造、鉄骨、鉄筋の順となりますが、鉄筋コンクリートがよいとはいっても、そのマンションの構造によっては、階下、上階、左右両隣、斜め下、斜め上などから話し声が入ってくることもあります。ある部分、例えば壁だけがすべて厚めの鉄筋であったとしても、ある部分を鉄骨にしていたり、コンクリートが十分に充填されていない、あるいは遮音性の低い建材を使っている箇所があれば、音はそこから入ってきます。また、音は反響する性質があるため、何もない壁一面の正方形の部屋よりは、壁一面に本棚や家具等があり、そのまま音が跳ね返らないような構造のほうが、音の伝達はある程度防げます。

根本的な対策は音源をなくす

一番よいのは「音源を断つ」ということですが、騒音を出している本人には周辺に迷惑をかけているという意識がまったくないケースもあれば、そもそも生活上の音にとやかく言われる筋合いはない、あるいは他人の迷惑など関係ないという思考の持ち主もいるため、現実的に難しいと思われます。

法的に対処する場合は、マンション等であれば建物の構造上の欠陥について、騒音を立てている本人ではなく、不動産の販売元や建築会社を訴えるという方法や、騒音による不眠などで病気になり、心身に著しい害が及んでいるということであれば傷害による告訴、といった方法になりますが、いずれも長期間腰をすえて取り組む必要があります。

一戸建てである特定の家だけが騒音を出して周囲に多大な迷惑を掛けているということであれば、後者の方法になり、実際に逮捕事例も存在します。住民がいなくなることで解決される典型例です。ただし、マンションであれば次の住民も騒音を出すという可能性もあり、難しい問題です。

また、騒音のレベルにもより、一旦うるさいと感じるようになると些細な音にも人の耳は反応しがちです。マンションやアパートなどでの騒音問題が難しいのは、被害を受けている当人が、騒音に悩まされているうちに音に対しても過敏になっていくという点があります。

対処療法ではありますが、当面の騒音を遮音する必要性があるという場合には、耳栓やイヤーマフなどの防音保護具を用いるという方法も一つの選択肢です。

また音を遮音する方向とはまた別ですが、音によるマスキングという方法もあります。これは入ってくる音域や音圧にもよりますが、足音などの衝撃音にはほとんど効果はないものの、話し声が気になって眠れないというような場合には使えることもあります。環境音を意図的に流して、その音でこうした騒音をかき消すという方法です。水の流れる音であったり、草原を風が吹きぬける音、森林の中の音、暖炉の音、雨の音、よせては返す波打ち際の音など、自然環境から採取された音を、エンドレスで流し続けるという方法です。

人の耳、というのは何も聴こえない時間がないと休まらないので、こうした音がずっとしているというのもあまりよくはないのですが、周辺住民や隣人がたてる音を掻き消す必要があるというときには、一つの方法になります。音楽ではなく、環境音の場合は、周辺に音が漏れたとしても何の音かわかりません。

あるいは外にも音を出したくないというのであれば、耳栓をしてヘッドホンでこうした音を聞く、あるいは喫茶店内の音などを再現した音を流す等にすると、周辺からの音はだいぶ緩和されます。

耳栓の効果を測定し、比較するには

遮音のレベルを比較

耳栓の比較をする場合に、よく用いられる指標がNRR(Noise Reduction Rate)と呼ばれる指標です。一般的に入手可能な最高のものはNRR 33のものになりますが、これは例えば周囲に100dBの爆音が鳴り響く環境で使った場合、そこから33dBはカットできるので、耳に届く騒音を(100dB - 33dB)、つまり67dBまで落とせるということです。

ただし、このNRRはどの周波数に対してなのか、という点も考慮する必要があります。高音に対して効果のある耳栓と、低音域に強いものといった違いが出ることもあります。

耳栓のフィット感は似た形状でも違う

耳栓を使う場合、例えば、1〜2時間集中したいからという目的もあれば、睡眠中ずっと装着しておくので6〜8時間はつけっぱなしにしておく、あるいは職場で、作業現場に入っている間中はずっとつける必要がある、といったように目的・用途によって装着している時間も違います。こうしたときに、フィット感というのは重要です。睡眠時に用いる場合は、特に違和感がないか、材質にかぶれたりしないか、痛くならないかといった点を試しながらベストなものを探していくしかありません。

耳栓を睡眠時に常用することについては耳鼻咽喉科医の間でも異なる見解の模様で、寝ている間に耳を防いでしまうのはよくないという考えもあれば、あまり影響はないという考えもあります。ただし、耳栓の常用で耳が痛くなったり、耳周辺がかぶれたり、あるいは耳鳴りがするというような場合は使うのをやめ、耳鼻科に相談にいく必要があります。

自分の耳にあった形状を選ぶ

耳はとても繊細な器官であり、そこに異物である耳栓を入れるわけですから、違和感がないというわけにはいきません。微妙な曲線や形状、材質の密度なども装着感には違いが出てきます。同じメーカーのものでも、このタイプのものはまったくあわない、ということもありますので、実際に何種類も試してみてベストな形状なものを探す必要があります。耳の形状というのは、人によって驚くほど違うもので、このため、同じ耳栓でもあうものとあわないものがあります。

耳栓の形状と大きさ、素材(やわらかさ)、肌との相性というのは人それぞれ違いますので、複数のものを試してみる必要があります。

耳栓の種類

耳栓には、使い捨てのもの、再利用可能なものがあり、材質面ではソフトなウレタンフォームのもの、ゴムタイプのもの、他の樹脂系統のものなど各種あります。

基本的には、ウレタンフォームのやわらかいものは使い捨て、何度も使えるものはプラグ型のものになります。他に、シリコンを耳をふさぐようにつめるタイプのものや、防音効果のある繊維が含まれた綿状のものをちぎって耳につめるタイプなど、製品としての固有形状を持たない耳栓もあります。これらは密閉効果が高い反面、蒸れたり、奥につめすぎると耳から取りづらくなる等の問題もありますが、形のあるタイプだと耳がどうしても痛いというような場合には一考の価値があります

なお、睡眠時に用いる場合には基本的にソフトなウレタンフォームタイプにしたほうが無難です。プラグタイプの耳栓は、寝返りなどをうっているうちに、耳栓が耳孔の奥にはいりすぎて、鼓膜を傷つけてしまうことがあるとされますので注意が必要です。

なお、耳栓でも水の侵入を防ぐようなものは、遮音のためのものとは別物ですので、兼用はできません。

グローブなどをしていたり、手が清潔ではない状況でも耳栓をつめねばならないようなときは、プラグ型やフォーム型でも耳に挿入する部分に触れる必要のないものを選ぶ必要があります。

耳栓の材質

現在はウレタンフォーム(発泡ウレタン)を用いたものが主流となっています。再利用のプラグタイプでないものは、指で細くねじり、耳にそっと入れてから耳孔の中でウレタンが膨らむのをまちます。これによってウレタンで耳の穴がきっちり塞がれた状態になります。

メーカーによってはPVCを使っていないことをアピールしているところもあります。PVCとは、ポリ塩化ビニルのことで、塩素を含んでいるため、焼却時のダイオキシンが一時期問題視されたこともあります。

ウレタンは本格的な防音室の素材としても使われるとおり、吸音性能にきわめて優れた素材で、人体にも影響がないことからさまざまな製品に使われています。ただし、耳に長時間入れることになるため、この素材にアレルギーがある、等の場合は使うことができません。また、ウレタンそのものがよくても、中に添加されている材料と相性が悪い場合も同様です。

耳栓の価格

一般向けのものは1ケースに2ペア入りで、500〜600円程度のものが主流で、薬局で購入できます。耳栓についてはメール便などで気軽に送付できることから、昨今はほとんどがネット販売です。1ペアあたり50円〜80円程度になるため、まとめて購入するパターンが多いです。自分にあったものが見つかるまでは複数メーカーのものを少しずつ試してみるというのもよいかもしれません。

まとめ買いにより単価が下がるケースも多いですが、装着したこともないのにいきなり50ペアや100ペア、500ペアなどの購入をすると、あわなかった場合に使えなくなるので注意が必要です。耳に直接挿入するタイプの衛生製品のため、基本的に中古というのはありません。

耳栓の規格

耳栓は、工業的には防音保護製品となりますが、JISにもこの規格は存在します。ただし、これは耳栓やイヤーマフ(耳覆い)などの防音保護規格そのものというよりは、遮音性能を比較試験する場合の「指標」のようなものです。 1983年に制定された「JIS T 8161 防音保護具」では耳栓の分類にはEP-1(1種)とEP-2(2種)が存在し、1種のほうは低音から高音までを遮音するもの、2種のほうは主として高音を遮音するもので、会話域程度の低音を比較的通すもの、と定義されています。

市販されている耳栓のほとんどは、このJISの基準を記載していません。耳栓メーカーの大半が米国メーカーとなるため、JISではなく、より詳細なANSI S3.19-1974を遮音性能の計測方法を使っているからです。遮音性能を示すNRRも、米国の環境保護庁(EPA)が定めているものです。ANSIでは9段階の周波数について測定します。

おすすめの耳栓は

結局のところ、上記に述べてきたとおり、耳の形状や音の聴こえ方が人によってかなりの違いがあるため、複数のタイプのものを試していくしか自分にあったものを探す方法はありません。ネットで気軽に購入できるようにはなっていますので、耳栓をよく知らないという場合は、お試しのセットなどを購入してどのタイプがよいのか調べることをおすすめします。

同じメーカーの耳栓でも、ここまで違うのかというくらい装着感に違いが出ることもあります。特に、業務や睡眠など長時間使うような場合はなおさらです。

あるいは、いろいろ試してはみたものの耳栓はあわないので、イヤーマフにするという選択肢もあります。

Moldex(モルデックス)
米国の防音保護具メーカー。耳栓、イヤーマフ、マスク等を手がけるメーカー。世界各国に販売する。米国の人気カーレースであるNASCARでの公式採用耳栓モデルも同社のもの。耳栓としては、やわらかいウレタンフォームタイプのもの、ツイストインタイプと呼ばれるねじるようにして耳の形状にあわせて製品が形状を変えていくようなタイプもある。業務用から軍事用までラインナップは豊富。基本、PVCフリー。
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3M(スリーエム)
安全衛生関係の製品を幅広く扱っており、耳栓やイヤーマフを含む防音保護具も同社の取り扱い。つぶさずに挿入が可能なフォームタイプの耳栓であるE-A-R(同社商標)シリーズ等、各種耳栓を手がけている。同社のサイトでは周波数ごとの遮音性能も掲載されているため、比較検討がしやすい。
Howard Leight(ハワードレイト)
米国の耳栓メーカーで、「騒音環境の中で働くこと」について30年以上取り組んできている企業。日本語のサイトはないが、耳栓を取り扱う多くのネットショップで入手は可能。新製品も定期的に発表している。
サイレンシア
DKSHジャパン(旧日本シイベルへグナー)の取り扱う耳栓ブランド。業務用というよりは、一般用としての利用を想定したもの。ポリウレタン素材が主流。以前は、イヤーウィスパーの名称でも知られていたが、サイレンシアにブランド名を統一。
シュアファイア
米国で警察官や消防士、兵士等が用いる装備品(ライト等)を手がけているメーカーでもあることから、耳栓ももともとは銃撃をはじめとする衝撃音をカットするためのものとして開発・販売。同社のSonic Defenderシリーズは、使い捨てタイプではなく、繰り返し利用を前提としたモデル。装着後、話し声が聴こえるようワンタッチで先端部分の開閉を行うこともできる。

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