表面硬化法の種類

2012年12月12日更新

機械部品や構造物をはじめとする工業製品の多くは、硬度が重要な要素となっていることが多く、所定の硬度不足が時に死活問題となることもあります。

金属の多くは、材料そのものの成分をいじることで元から硬い構成にすると、ねばりや、靭性といった強度を左右するパラメータに悪影響を及ぼす場合があり、表面だけを硬化する技術も発達してきました。

とくに機械、駆動部品、大きな負荷のかかる部分に使う金属などは、表面の硬さと内部の硬さを同じにしておくと具合の悪いものもあります。というのも、想定外の力がかかった際に、力が表面からそのまま内部に伝わり、部材の破断や破壊につながる恐れがあるからです。このため、金属材料には表面だけを硬くし、内部に表面に比べて軟らかくねばり強い状態を残すことで、大きな力を吸収する役割を持たせることがあります。

硬さと耐磨耗性はおおむね正比例の関係にあるため、摺動(しゅうどう)部品などとして使う場合にも表面硬化は必須といえます。

このため、目的に応じてさまざまな表面硬化処理が行われます。金属材料の硬度を上げる効果を持つ主な技術は以下の表の通りです。

金属材料の表面硬化技術は、大別すると、以下のようなわけ方ができます。

表面硬化処理の種類
表面硬化法 硬化の原理 メリット、特徴
高周波焼入れ、炎焼入れ、レーザー焼入れ、溶融表面硬化処理、電子ビーム焼入れ、浸炭処理、浸炭焼入れ、真空浸炭、プラズマ浸炭、塩浴浸炭 組織そのものを変えてしまう技術。金属の組織が変わる温度である「変態点」以上に加熱して、焼入れを行う。 必要部分だけ硬度を高めることが可能
窒化処理、軟窒化、ガス窒化、ガス軟窒化、浸硫窒化、プラズマ窒化、酸窒化、塩浴軟窒化 変態点以下の加熱にとどめておき、金属組織を変態させずに冷却させる。金属の表面から窒素(N)や窒素と炭素(C)を同時に浸透拡散させ、金属の表面に炭窒化物や窒化物の「層」をつくることで硬度をあげる。 表面に窒化物の層をつくる処理は耐食性も向上させることができる。

また、上記のほかにも表面に非常に硬度に優れた材料で作った薄い膜を付着させることで硬度をあげる技術もあり、こちらは表面改質技術と称呼されることもあります。具体的には、溶射によるセラミックスコーティングや、切削工具の先端部分の硬度向上に多用されるPVDコーティングなどです。どちらも金属材料の組織そのものを変えることで硬度をあげるのではなく、薄膜、被膜、コーティングのもつ硬度によって材料を保護するというタイプの強化手法です。

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