鋳鉄と鋳物の違い

2022年6月26日更新

鋳物(読み方:いもの)とはアルミ、銅、鉄などの金属材料を溶かして型に流しいれて作る製品のことで、鋳鉄(読み方:鋳鉄)とは鋳物材料のうち「鉄」を材質としたものという違いがあります。

つまり、鋳物には鋳鉄で作ったものもあれば、鋳鉄以外の金属材料で作ったものもあるということになります。鋳鉄以外にも鋳鋼、アルミ、銅、チタン、マグネシウム、金、銀、パラジウム、鉛、スズなどの様々な性質の違いを持つ金属材料が使い分けられています。

素材と製法の違い

冒頭で述べた通り、鋳物は製品製法のひとつで、鋳鉄はその材料のひとつですが、これらをまとめると下表の通りとなります。

鋳物と鋳鉄、鋳鋼の意味の違い
用語 内容
鋳物 アルミ、銅、鉄など金属材料を溶かして型に流しいれて作る製法を採用した部品や製品のこと。使っている材質によってアルミ鋳物、鋳鉄品、鋳鋼品、アルミダイカスト、銅鋳物、チタン鋳物、マグネシウム合金鋳物など様々なものがある。
鋳鉄 鋳物の材料のひとつで鉄を原料にしたもの。強度や成分の違いによって、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛化鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)、可鍛鋳鉄等の種類がある。
鋳鋼 鋳物の材料のひとつで鋼を原料にしたもの。特に強度が必要な場合や、鋼を鋳造法で用いたい場合に使われる。
鋳鉄と鋳物の違い

鋳物のメリット、デメリット

  

メリット

最大のメリットは複雑な形状をもつ金属製品であっても、型を作ってそこに溶かした金属を流しいれる製法になるので、繰り返し作ることができる、という点です。一から削り出しで作るとなった場合は、複雑な形状であればあるほど今は高性能な工作機械が多種あるとしても、様々な工具を駆使した複数の加工工程になり、生産個数によっては割高になります。また製品形状によっては1個当たりの生産にかかる時間も長くなります。

これはコストにもそのまま跳ね返ってきますので、鋳物のほうが安く大量に作れるという製品形状・材質が多々あります。もっとも、鋳物にする場合は、その後の加工をなるべく無くすことがコストダウンの秘訣にはなりますが、鋳物+切削工程を持つ製品も少なくありません。

鋳鉄の場合、炭素量が多い材料となりますので振動を吸収したり、耐摩耗性の面で強みがあります。これは黒鉛を多量に含むことと関係しています。

デメリット

寸法精度や表面粗さについては、切削品や鍛造品に比べてよくありません。精度の高い部品との組み付けが必要な場合は組付け箇所の精度には注意が要ります。

また鋳物生産に使う金型である鋳型の製作コスト・納期・保管コストといった点もデメリットになります。ある程度の数がまとまらないとコスト面では割に合わないという点です。

また、鋳鉄の場合、どうしても炭素量が多くなるため、脆さと粘りのある強さである靭性や耐衝撃性能に弱さがあります。炭素が多いことから、溶接や塑性加工(プレスなど)にも向きません。複合的な加工が必要な場合は材料選定の段階でよくよく検討が必要になります。

溶かして金型に流し込んで固めるという製法上、どうしても叩いて鍛えていく鍛造や圧力をかけて引き延ばしていく圧延品には身の締まりの面で劣ります。

ただ強度面でいえば、鋳鉄にも様々な材料が開発されており、普通鋳鉄であるねずみ鋳鉄ではたしかに強度や靭性の弱さが見えますが、球状黒鉛鋳鉄、オーステンパ球状黒鉛鋳鉄、白心可鍛鋳鉄、黒心可鍛鋳鉄、パーライト可鍛鋳鉄といった強度を改良した材料も出てきており、格上の鋳物材を選定すると一概に鋳造品が弱いということは言えなくなっています。

鋳鉄と鋳鋼

日本の鋳鉄の歴史はかなり古くからあり、西暦540年頃にはすでに製造されていたとされます。かの有名な大仏も鋳造法により作られたもので、れっきとした鋳物です。

鋳造の技法を使って、鉄ではなく鋼を材料としたものもあります。これらは鋳鋼(読み方:ちゅうこう)と呼ばれ、鋳鉄とは区別されています。

鋳鋼は鋳鉄よりも強度に優れるという違いがありますが、反面、融点が鉄よりも高く、収縮も大きいため鋳物を作る際に内部にできてしまう空洞(ひけ巣)が発生することがあり、鋳造性は悪くなります。

鋳物はその溶かして固めるという製法から、融点が低いものほど湯流れがよく、材料がうまく金型の隅々にまで入り鋳造がしやすいため、融点が高いものや冷やした時の収縮の大きいものは素材の内部に鋳巣が発生してしまうリスクが常にあります。

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