ゴムのウエルドラインとは|ゴムや樹脂成形における不具合の原因

2021年3月8日更新

ゴムや樹脂でウェルド(ウエルド)もしくはウェルドラインと呼ばれる成形不良が発生することがあります。これは、金型内部で流動するゴムや樹脂同士がぶつかった際に空隙が製品に残ることがあり、これが原因で表面に「き裂」や「キズ」ができているように見える不具合です。

特に流し込んだ配合ゴムや樹脂の合流点でよくみられます。ゴム製品の多くは、金型に注入孔を通じてゴムを送り込んで熱をかけてプレスし加硫成形していきますが、このとき、金型内部のゴムの通り道である流路に、何らかの障害物があると流れが分断され、分断されたものが再度合流する際にこのウェルドが発生することがあります。

川の流れをイメージするとわかりやすいですが、二つの支流が合流する際、片方が一時的にせき止められて流れが悪くなったあと一気に放流されると合流点の水量は大幅にあがって、決壊してしまう、というようなイメージです。

こうしたゴム製品の裂けやすさや割れやすさは、配合ゴムに添加された配合物がゴムと一体化しないことも一つの原因といわれています。練りの工程で十分に配合薬品は分散されているはずですが、完全に混ざり合っているわけではなく、これらが流路における流動性を何らかの事情で阻害している場合も考えられます。

また加硫が意図せずに進んでしまうスコーチも原因となることがあります。ゴムの通り道に障害物があり、流れが止まることで部分的に加熱されて温度上昇し加硫が進んでゴム同士が融合しない状況が発生すると考えられています。

金型の要因で起きる場合は、ガス抜きのための孔であるエアーベントの位置が悪い、ゴムを流し込むための注入バランスが悪い、カミキリが弱い等が考えられます。

スポンサーリンク

>このページ「ゴムのウエルドラインとは|ゴムや樹脂成形における不具合の原因」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
「ゴムの種類と特性、物性について」へ戻る

ゴムのウエルドラインとは|ゴムや樹脂成形における不具合の原因の関連記事とリンク

外観不良の種類を英語で一覧にすると|樹脂やプラスチックの外観不良の一覧
ゴムにおけるスコーチとは何を意味しているか
ゴムにおける列理の意味とは
ゴムのバウエル成形とは
ゴムの公差|JISやドイツ(VDE)、ISOでのゴム公差規格
A練りとB練りとは何か
ゴムにおける分出しとは何か
ゴム配合におけるphrとは何の単位か
ゴムの収縮率について
ゴムの素練りはなぜ必要か
混練と混錬の違い
バンバリーとニーダーの違い

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集