ゴムの収縮率について

2022年2月28日更新

ゴム製品は金型から取り出すと収縮することが知られており、収縮率の計算式は、(金型寸法−製品寸法)÷金型寸法となります。このため、金型寸法に比べて加硫ゴムは収縮して出来上がります。以下にゴムが収縮するメカニズムや温度、硬度との関係を見ていきます。収縮する量は練りゴムの列理程度や加硫温度等の複雑な因子の影響を受けることが知られています。

収縮原理には温度の影響大

ゴム製品は配合ゴムを金型に押し込むか圧力をかけて流し込んでから加温することで加硫を進めて形作っていく製法が取られています。

このため、まずゴムを金型に充填して加圧加熱する必要があります。例えば、圧力5MPaで温度100℃でゴムを金型に充填し、それを加硫を進めるために20MPaで温度180℃まであげていくと、形状が固まり、押すと戻るというゴムとしての性質が出てきます。そのときには製品自体は熱膨張を起こして体積が大きくなります。

これを金型から製品を取り出し、圧力をかけず通常の大気圧で常温まで冷ますと今度は100℃で加熱していた時よりも小さくなります。この180℃で20MPaの圧力から、常温常圧に落とした時に生じる収縮を成形収縮と呼びます。つまり、金型にゴムを充填したときも仕上がった製品は小さくなるということです。

この収縮率は条件にもよりますが、ゴムの場合は約1.5%〜3%前後と言われています。金型温度が高いほどに収縮率が大きくなります。この収縮が他の材料によりも大きいため、ゴム金型の設計は収縮を見越した経験的なデータに基づいて実施する必要があります。

成形方法による収縮の違い

ゴム製品の成形方法によっても収縮に影響する要素は異なります。ただ射出成形のほうが圧縮成形よりも加硫温度が高くなる傾向にあるので、収縮は射出成形のほうが大きくなりがちです。影響大となるのは金型温度ですが、それ以外にもゴムの種類、ゴム配合(添加剤の量や種類)、形状、成形条件や成形法といった要素が収縮に関係しています。また、成形圧力が高くなるほどに収縮率は大きくなります。

成形方法での収縮の出方
コンプレッション(圧縮成形) インジェクション(射出成形)
バウエル成形で型に挟み込むゴム材料の形を作ってから型に投入。熱収縮主体で、ほとんどが金型からの温度による影響で収縮する。ゲートがないので、そこからの距離によって生じる収縮は考慮する必要がない。 金型温度だけでなく、ゴムを金型に注入する際の流動距離や流れ方向によって収縮率が変わる。ゴムが出てくるゲートから遠いほど収縮率は大きくなる。ゲートからみて円周方向よりも直線での拡がり方向のほうが収縮が大きくなる。

ゴムの硬度別の収縮率一覧

上記のほか、充填剤を増やしてゴム硬度が高くなるほどに収縮率も高くなります。下表に、ゴム硬度による収縮率の一覧を掲載します。

この表におけるゴムの種類は、NR、SBR、NBR、CRとなります。実際には上述した通り、硬度だけでなく温度や成形方法、配合や製品形状などが複雑に関係してきますが、硬度のみを指標としてみた場合、このように、硬度が高いほどに収縮率は低くなります。逆に、やわらかいゴムほど収縮が大きいということになります。

ゴムの硬度別の収縮率一覧
ゴム硬度(Hs) 収縮率(%)
40 2.2
50
60 1.9
70 1.8
80 1.7
90 1.6

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