バンバリーとニーダーの違い

2022年3月20日更新

混練機と呼ばれるゴム練り機のうち、バンバリーは大型のもの、ニーダーは小型のものという違いがあります。混練機の機種や製法・方針にもよりますが、一般にバンバリーは1バッチ200キロ前後、ニーダーは70キロ前後のゴムの混練りを行うことができます。正式にはバンバリーミキサーといい、ニーダーは加圧ニーダーと言います。

密閉式混練機と開放式混練機

ゴムには配合表という何を混ぜて狙った特性を出すかを記載したレシピが存在しますが、これに基づいて各種原料(異なる種類のゴム同士を混ぜ合わせる)や薬品、各種フィラーを混ぜ合わせるのに使うのが混練機とも言われるゴム練り機となり、この中でも密閉式混練機と開放式混練機に分類することができます。

バンバリーとニーダーどちらも密閉式混練機(他にインターナルミキサーもあります)になり、開放式混練機にはロール機(2本ロール機、ロールミル、オープンロールともいいます)があります。これら密閉式、開放式はいずれもバッチ式の混練機ですが、連続式混練機としては混練押出機や連続混練機があります。

バッチ式の場合、多品種のゴムの生産にむいており、連続式は単一のゴム配合を大量かつ連続生産に向いていますが、製造するゴム製品によっても適した混練機は異なります。

混練の役割

ゴムは練ることで最終的に狙っている硬さであったり、ばね特性であったりといったスペックを満たすことができますが、逆に言えばこの練り工程に不備があると、配合すべき材料が均一に分散されなかったり、加硫がうまく進まなかったりして不良や仕様として設定している特性に入らないといった問題につながっていきます。このため、加硫する前のゴムを作る工程であるこの混練は非常に重要なプロセスといえます。まさにゴム製造におけるノウハウの塊ともいえます。

液状にして溶かして混ぜていくタイプの材料とは違い、ゴムは粘性はあるものの、例えるなら、複数の噛んだガムをロールやミキサーの間に挟み込んで、混ぜていくというイメージです。ゴムは配合設計とそれを実現する製法が緊密な関係にある分野です。

バンバリーとニーダーはどちらも密閉型

密閉式混練機の歴史は19世紀にさかのぼるため、意外に長い歴史を持ちます。当時産業革命のイギリスでの需要に応えるため開発されたもので、まだローターは2本ありませんでした。

現在の形状に近いものは、19世紀末にイギリスのダンロップによって考案された空気入りタイヤ製造の黎明期の練り機です。こうした潮流の中で1916年の米国のバンバリー氏(F.H.Bunbury)によって特許出願されたのがバンバリーミキサーです。

密閉型の構造

密閉型混練機の構造は、まずチャンバーと呼ばれるゴム材料がある部屋が中心部にあります。この中にローターが2つ入っており、間に入ったゴムをすり潰すように練っていく仕組みになっています。ローターには材料をまんべんなく取りこぼしなく混ぜるためにロール状の金属に羽根のついたもので、材料となるゴムはこのチャンバー内でローターのせん断力を受けながら混ぜられていきます。

ローターとチャンバー内壁のせん断力を使うタイプが接線式(バンバリー、ニーダー)で、ローターとローターがかみ合う時に発生するせん断力を使うタイプが噛みあい式(インターナルミキサー)となります。このときの力が大きいほど発熱の温度も大きくなりますので、バンバリーはニーダーよりも強い力で練っていくため、発熱も大きくなります。接線式に比べると噛みあい式のほうが温度は低く抑えることができます。

バンバリーとニーダーの使い分けのポイント

温度が高くなるとゴムは粘度が上がってきますので、やわらかく、流動性が出てきます。この状態のときにカーボンブラックや薬剤といった配合剤を練り込んで混ぜていくことになります。

バンバリーは、大量生産・高速生産の必要性に応える形で誕生したものですが、加圧の力が強くローターの回転数も高い反面、発熱や異物混入の面ではバンバリーでは難しい場合があります。

また一部の原料ゴムではバンバリーには適さないものがあり、そうしたものはロールで練られたり、少量でまだ発熱のレベルが少し抑えられるニーダーが使われたりします。

ニーダーはバンバリーに比べて小型ですが、動力が小さくなるため、混練工程の時間がかかります。ただし、バンバリーが大型設備である為2階建てにする必要があるのに比べ、1階ですみ、設置費用も安く抑えられます。また清掃やメンテナンスもしやすいというメリットもあります。異物混入を嫌う配合や、少量多品種の場合はニーダー使用のメリットがあります。

混練りは単にゴムと配合剤を混ぜればよいというだけではなく、いかに短時間でゴムに配合剤を均一に混合かつ分散させていくかがポイントになります。

練り予定重量のバッチサイズ、混練機への投入順序と時間、ダンプ温度、冷却水の使い方など原料別に工夫していく必要があります。

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