異材とは何か

2022年6月26日更新

製造業でいうところの異材(読み方:いざい)とは、異なる材料のことで、それらをどうするかによってこの用語の意味は変わってきます。多くは現場で後に続く言葉を省略して異材と呼ばれることが多いため、一体異なる材料がどうしたのかという点をクリアにする必要があります。

製造上、本来入れるべき材料と異なる材料を間違えて入れてしまった

これは異材混入のことで、製造業においては不良・欠陥のポピュラーな事例です。外観上は区別がつかない材料を取り違えて使ってしまい、欠陥や不良の要因になるケースです。

多くの素材は袋や張り紙なしでは何かが分かりません。金属材料ひとつとっても、多様な規格材を使っている場合、それらが何かを表示するものが取れてしまえば、材料に刻印が打ってあるわけでもなく、違いを識別するのは不可能になります。

仮に磁石につく材料とつかない材料の二種しか扱っていなければ判別の方法もありますが、多くは成分が若干違うといったもので見ただけでは色からも判別できないというものが工業材料では数多くあります。

異材混入による不具合は、混入現場での流出を抑えられなかった場合、かなり後の工程、場合によっては最終検査の段階で様子がおかしいということに気が付くことや最悪の場合は市場に出回って何らかの欠陥が出てきて発見されるということになると、被害甚大となります。

このため異材防止のためには、発生源と流出源の双方を抑える必要があります。

今日の複雑なサプライチェーンの中では材料からそれを使う加工先との間の一社対一社のなかで完結することは稀で、様々な工程ごとに多数の企業が関わりますので、それらのどこでも異材のリスクがあることになります。

元から入らない仕組みにしつつ、万が一の場合も流出しない防波堤が必要です。

異なる材料を接合すること

もう一つの意味としては、異材接合や異材溶接の事例で使われます。異なる材料というのは、例えば、異なる金属同士という場合もあれば、合金とプラスチックのような異材の組み合わせもあります。

鉄鋼やアルミなども一見するとすぐにつきそうに思えますが、溶接部がきわめて剥がれやすくなることで知られます。

異材同士の間に何か別素材を挟み込んで接合する方法もありますが、接合自体が難しく、確実な方法をとるのであれば締結をはじめとした機械的な接合がポピュラーですが、接合としては弱く、材料の組織レベルので結合には及びません。

また加工の自由度にも影響しますので、特に軽量化や密閉度を追求するのであれば、機械的な接合では限度があります。こうしたことからも異材を接合する技術というのは各社で開発・研究が進められています。

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