パレタイズコードとは

2021年4月25日更新

パレタイズコードとは別名Pコードともいい、自動車分野で使われた場合、納入時の受注形態の一手法を意味し、パレタイズのルール、つまりパレットを作る時の取り決めを注文頻度によって変える手法のことになります。自動車メーカーと部品メーカーの間での納入や、部品メーカー同士での納入で使われます。もともとはトヨタで使われている技法です。

パレタイズコードは名称は違えど複数の業界や会社ごとにいくつかのパターンがあり、例えば同じパレットに載せてよいのは同じ製品だけ、パレットの段積みは5段まで、1パレットに異なる製品がある場合は段ごとにかためてパレタイズする、といったものはいずれもパレタイズにおけるルールの一種です。以下に自動車業界の中でもトヨタ圏で使用されるパレタイズコードについて述べていきます。

パレタイズコードでパレットの積載効率、作業効率アップ

大量の部材の発送や納入を行う場合、パレット単位で行うことが基本ですが、簡単に言えばパレタイズコードを決めることで、輸送時の積載率を上げ、出荷する側はパレタイズにかかる手掛け工数を下げることができます。つまりより少ないパレタイズ作業ですむ、ということになります。

通常、何の取り決めもなければ、その日に出荷する品物はまずは納入場所ごとに出荷時間・納入時間別に分けて積みつけていきますので、ある時間帯の注文数が少ないと1つのパレットにかなり空きがあっても出荷することになります。少ない荷量でもバランスを考えてパレットにのせ製品の箱を積みつけていき、シュリンク梱包と言われる巨大なビニールラップをまいたり、紐掛けをしてパレットを固定する「パレタイズ」と呼ばれる作業を行います。

結果として1日が終わってみると、出荷・納入されたパレット枚数と、そこに載っている箱数とが非常に悪いバランスになっていることがあります。例えば1パレット45箱積載可能なものであれば、10パレットで450箱納入していれば、積載効率は最大です。ところが10パレット出荷しているのに、納入した箱数が300箱となると、150箱分の隙間があったということになります。

また自動車業界の固有の特徴としては、同じ工場内でも納入場所が異なるオーダーが1日に複数回飛んでくるという事情があり、何もコントロールしないと、荷量に関係なくパレット枚数が増えていくことになります。1日の納入が多回で例えば24回となっていても、必ずしもその時間でなくてもよいオーダーもあり、こうした場合、オーダーあたりの荷量が平準化するよう発注回数の調整を行えば、1日あたりのパレットの枚数を減らすことができます。

パレットの枚数を最小化できれば、パレット当たりに積載される箱数は最大化され、積載効率MAXとなります。平準化生産を行う工場の場合、発注数も平準化して行うため、例えば朝に1回240個入っていればよいものでも、前日から10個 x 24回に分けて発注が飛んでしまいます。こうした製品はパレットコードを指定し、発注回数を1日24回ではなく、6回や4回、あるいは1回にして他の同じ発注回数の製番と同じ括りのコードにしておくと、パレット上の積載効率を上げることができます。これは実務上、発注側が出荷側にあらかじめ、まとめることができる製品がどれかを確認し、それに基づいて発注するということで実現可能になります。

納入先が同じ工場でも受入や納場、レーン、コースといった形で、納入指定の場所が複数に分かれているような場合、同一のサプライヤーから多品種の納入が複数回あると、1つのパレットの積み付けを気にせずに発注すると、積載効率の無駄が発生してしまいます。多回納入のメリットは「在庫を持たない」ことにありますが、これと輸送コスト低減を両立させる手法の一つと言えます。

物流コストのうち輸送費を低減するには

輸送コストを下げるには、単に輸送便の価格を下げるということの他(ミルクラン等がその手法の一つです)、1箱あたりに入る製品個数を増やす、荷材に使う費用を下げる、パレットの積載効率(1パレットに積載する箱を満載にする)を上げる、トラックの積載率を上げる(トラック自体をパレットで満載にする)といった方法を並行して実施していく必要があります。平たく言うと「輸送費を下げる」と「輸送積載効率を上げる」の両面から実施することで最大のコスト低減の効果が享受できます。

話を戻すと、一度パレタイズして1パレット作ってしまうと、トラックやコンテナの中では上から別のパレットを積むことしかできなくなるため、パレットが満載になっていないと積載スペースに隙間ができて効率が悪くなってしまいます。 輸送費を1箱あたりで契約しているか、トラック1台あたりで契約しているかにもよるのですが、パレット内の積載を最大化するとトラック1台あたりに載る製品の数が増えますので、後者の場合、1個当たりの製品にのることになる輸送費が下がる計算になります。

多品種で大量の製品を多回納入(1時間に1回等、1日に何回も納入)する場合は、ある時間帯にトラックやパレットの隙間が多くなったりといった偏りがあると輸送効率が悪くなっていることがあります。これを改善するためには、発注側と出荷側の双方の協力が必要ですが、それを行うための一つの手法がこのパレタイズコードを発注時に指定する技法です。

自動車メーカー(が指定した納入先)が部品メーカーへ発注する際に、特定のパレタイズコードを納場ごとに注文書(かんばん)に記載しておくと、同じコードを持つ品物は同じパレットに載せてよい、ということになります。パレタイズコードは納入回数(納入量)ごとに何種類か作っておき、日当たりの荷量によって、製品ごとに発注回数を変えることで積載効率にばらつきが無くなります。つまり発注時にはオーダー当たりの荷量が同じになるように発注を出します。出荷する側はパレットの枚数が減るので、パレタイズ(荷山)を作る数が減り出荷対応の工数が減ります。輸送時は、パレット積載率が上がっているので輸送効率が上がります。パレットが減ることで輸送会社やデポでの取り回し効率も上がり、発注側でも構内での供給するための回数が減ります。平準化などを取り入れている工場だと特に効果が出てくる手法と言えます。

パレタイズコードを使った事例

1日12回の発注=納入も12回の納入場所(工場)の例で見ると、日当たりの荷量が以下のようにばらついている場合、1回の納入あたりの荷量もばらつきがあります。とはいえ、4つの納入場所それぞれから1日12回オーダーが飛ぶため、合計48パレット/日必要となる計算です。

パレタイズコード無しの場合
納入場所 A B C D
発注回数(納入回数) 12 12 12 12
日当たりの荷量(m3 12 6 4 2
1回の注文(納入)当たりの荷量(m3 1 0.5 0.3 0.16

一方、発注回数をすべて1日12回固定ではなく、以下のように荷量に合わせて層別し、最適化した場合、日当たりの荷量は各納入場所で上記と変わらないのですが、必要となるパレット枚数は、納入回数の合計とイコールとなり、合計24パレット/日となります。この例では、パレットの枚数が半減していることになります。

パレタイズコードを設定して注文回数を最適化した場合
納入場所 A B C D
発注回数(納入回数) 12 6 4 2
日当たりの荷量(m3 12 6 4 2
1回の注文(納入)当たりの荷量(m3 1 1 1 1

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