みがき棒鋼の規格|SGD材の寸法公差、サイズ、機械的性質、成分

2014年3月5日更新

みがき棒鋼とは、鋼材の表面を所定の方法で削ったり、引き伸ばしたりして加工したもので、元となる出発材料の違いにより「炭素鋼みがき棒鋼」と「合金鋼みがき棒鋼」とがあります。このうち、みがき棒鋼用の一般鋼材とは、炭素鋼みがき棒鋼の材料面から見た規格となります。

炭素鋼でみがき棒鋼として加工される鋼材には、SGDA、SGDB、SGD1、SGD2、SGD3、SGD4といった一般鋼材の他、S45CやS35Cといった機械構造用炭素鋼、SUM21やSUM25、SUM31といった快削鋼等があります。いずれも自動車部品、部材をはじめ多くの用途に使われています。

みがき棒鋼の性質と特徴

熱間圧延による鋼材は、高温で加工するため、少ない力で加工できるというメリットや金属組織を熱で変えることが出来るため機械的性質面での改善が期待できる反面、表面に黒皮(くろかわ)やスケールと呼ばれる酸化皮膜ができるため、見た目が黒っぽくなり、美観がよろしくありません。また、高温で加工するため、温度の分布や各部位の熱履歴が一定しないことから、形状や寸法精度をあまり高いレベルで出すことができません。表面に微細な欠陥、ピンホールやピットなどがあってはまずい場合などでもどうしても限界が出てきます。

こうした熱間圧延鋼材のもつ欠点やデメリットを後工程による冷間加工で改善した鋼材の一つが、みがき棒鋼となります。具体的には、引抜、ピーリング、研磨の3つのいずれかの手法やこれらの組み合わせによって、熱間圧延された鋼材の表面を削ったり、塑性加工します。これによって精度が高く、表面粗さに悪影響を与える酸化皮膜を取り除いた鋼材となります。

製法は「冷間引抜き」「研削(研磨)」「切削(ピーリング)」の三種

凡そ9割近くのみがき棒鋼が引き抜き加工によるものですが、ピーリングはバイト等の切削工具で表面を削り、剥がす加工であるため、コスト高となりがちですが、ダイスをつくるまでもない少量等のときには臨機応変な加工が可能です。削る深さについても状況に応じて深く削っていくこともできます。

冷間引抜による場合、大量生産を前提とすると切削加工に比べてコスト面で有利となります。引き抜きはダイスと呼ばれる穴のあいた工具に、鋼材を通し、塑性加工によって形状を変える為(所定寸法の穴に通すことで、削らずに素材を引き伸ばすようにして形状を変える加工)、鋼材の強度に影響する「繊維」とも呼べる鍛流線を切断する必要がなく、強度低下の心配がありません。精度も高いレベルで出すことができます。

研磨や研削の場合、表面の仕上がりは精度よくあげられますが取り代(削り代:どれくらいの深さまで削ることができるか)に限度があるため、表面欠陥の深度が一定以上にまで及んでいる場合、効果は薄くなります。

みがき棒鋼の溶接性については、他の鋼材と同様に、低炭素のものであれば比較的溶接しやすく、反対に高炭素鋼と難しくなってきます。

みがき棒鋼の記号

炭素鋼を加工した「みがき棒鋼」のうち、一般鋼材を素材としたものは、SGDからはじまる記号がつきますが、あとは皆もともとの材料記号がそのまま使われ、みがき棒鋼であることを示すのは、その材料記号のあとにハイフンでつながれた部分となります。これは、加工方法、熱処理、公差の三つを示しています。公差等級はIT6、IT7、IT8、IT9、IT10、IT11、IT12、IT13とあり、材料記号につく場合はITが省略されて数字だけになっています。

みがき棒鋼でも、S45CやS35Cを用いた場合は表記がS45C-D9など、鋼材の種類を示す材料記号そのものは変わりません。サフィックス(枝番)で、鋼材の公差と出自(どのような加工でみがき棒鋼となったのか)を示しています。

なお、みがき棒鋼の材料を示す場合で、キルド鋼での製造を指定する場合は、末尾にKをつけるため、SGD1K、SGD2Kといった表記になります。

みがき棒鋼の材料記号の振り方
加工方法を示す記号 熱処理を示す記号 公差等級を示す記号
D:冷間引抜き
G:研削
T:切削
N:焼きならし
Q:焼入れ焼き戻し
A:焼きなまし
AS:球状化焼きなまし
丸材:研削(6,7,8,9)、引抜き(8,9,10)、切削(11,12,13)

角材(10,11)、六角(11,12)、平材(12,13)

みがき棒鋼の記号表示例

みがき棒鋼の材料記号の意味
みがき棒鋼の記号の例 意味
SGD1-T12 SGD1の炭素鋼みがき棒鋼で、切削により製造したもののうち、公差等級がIT12のもの
SGD400-D9 一般炭素鋼鋼材であるSGD400を冷間引抜き加工で製造したみがき棒鋼で、公差等級がIT9のもの
S45C-DQ7 機械構造用炭素鋼であるS45Cを冷間引抜して製造したみがき棒鋼のうち、焼入れ焼き戻しの熱処理をしたもので、公差等級がIT7のもの

みがき棒鋼のサイズ、寸法

一度熱間圧延で作られたものを冷間加工するだけあって、形状やサイズが豊富なのもみがき棒鋼の特徴です。丸材、角材、六角材は径と対辺距離で見ます。平材は厚みと幅で見ていきます。

みがき棒鋼(丸、六角、角)のサイズ、寸法
形状 径・対辺距離(mm)
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、28、30、32、35、36、38、40、42、45、48、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100
六角 5.5、6、7、8、9、10、11、13、14、17、19、21、22、24、26、27、30、32、36、41、46、50、55、60、65、70、75、80
5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、19、20、22、25、28、30、32、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80
みがき棒鋼(平)のサイズ、寸法
厚さ(ミリ) 幅(ミリ)
9、12、16、19、22、25、32、38、50
9、12、16、19、22、25、32、38、50
4.5 9、12、16、19、22、25、32、38、50
9、12、16、19、22、25、32、38、50
9、12、16、19、22、25、32、38、50、65、75、100、125、150
12、16、19、22、25、32、38、50、65、75、100、125、150
12 19、22、25、32、38、50、65、75、100、125、150
16 22、25、32、38、50、65、75、100、125、150
19 25、32、38、50、65、75、100、125、150
22 32、38、50、65、75、100、125、150
25 32、38、50、65、75、100、125、150

みがき棒鋼の公差

みがき棒鋼を使うということは、熱間圧延鋼板の精度や表面粗さでは満足できないというケースであるため、寸法公差の持つ意味は大きく、前述にとおり材料記号そのものに公差記号もついています。許容公差は鋼材のサイズ・寸法によっても変わります。

またこの公差は、軸h(+0, −数値)に対する公差等級となりますが、軸g(−数値、−数値)や軸j(+数値、−数値)についても取り決めによっては使うことができます。

なお、認められる偏差については許容差の30%以下となっています。

ITはInternational Toleranceのことで、国際規格にあわせた表記となります。

みがき棒鋼の公差等級(軸hに対する公差等級)
径・対辺距離・厚さ、幅 IT6 IT7 IT8 IT9 IT10 IT11 IT12 IT13
3mm以下 +0, -0.006 +0, -0.010 +0, -0.014 +0, -0.025 +0, -0.040 +0, -0.060 +0, -0.10 +0, -0.14
3mmを超え6mm以下 +0, -0.008 +0, -0.012 +0, -0.018 +0, -0.030 +0, -0.048 +0, -0.075 +0, -0.12 +0, -0.18
6mmを超え10mm以下 - +0, -0.015 +0, -0.022 +0, -0.036 +0, -0.058 +0, -0.090 +0, -0.15 +0, -0.22
10mmを超え18mm以下 - +0, -0.018 +0, -0.027 +0, -0.043 +0, -0.070 +0, -0.11 +0, -0.18 +0, -0.27
18mmを超え30mm以下 - +0, -0.021 +0, -0.033 +0, -0.052 +0, -0.084 +0, -0.13 +0, -0.21 +0, -0.33
30mmを超え50mm以下 - +0, -0.025 +0, -0.039 +0, -0.062 +0, -0.100 +0, -0.16 +0, -0.25 +0, -0.39
50mmを超え80mm以下 - +0, -0.030 +0, -0.046 +0, -0.074 +0, -0.12 +0, -0.19 +0, -0.30 +0, -0.46
80mmを超え120mm以下 - +0, -0.035 +0, -0.054 +0, -0.087 +0, -0.14 +0, -0.22 +0, -0.35 +0, -0.54
120mmを超え180mm以下 - - - - - - +0, -0.40 +0, -0.63

加工される形状や製法別に、この公差等級の範囲も以下のように定められています。

みがき棒鋼の形状別の公差等級、許容公差
研削:IT6、IT7、IT8、IT9
引抜き:IT8、IT9、IT10
切削:IT11、IT12、IT13
IT10、IT11
六角 IT11、IT12
IT12、IT13

「JIS G 3132 みがき棒鋼」に規定のある材料記号

「JIS G 3108 みがき棒鋼用一般鋼材」に規定のある材料記号

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