ヘリテージ部品とは

2024年5月27日更新

ヘリテージ部品とはヘリテージパーツともいいますが、通常の量産終了後の補用品の供給基準からはすでに製造廃止となる部品にもかかわらず、供給継続となる部品あるいは復活生産を行っている部品のことを言います。補用品・補給品としては特別な扱いとなっている部品です。ヘリテージは価値のある遺産や伝統、継承物を意味する英語です。

ヘリテージ部品とは|目次
  1. 部品の素性
  2. ヘリテージパーツの供給課題

部品の素性

自動車メーカーによってヘリテージパーツは意味する内容が少々異なります。大きくは以下の系統があります。

復刻生産品

一旦は自動車メーカーから部品メーカーに対して製造廃止指示がでて供給年限を迎えているものですが、部品メーカーに対して再度復刻生産指示のあるもの。金型などは廃棄している為、自動車メーカー側が再度金型費用等を負担しての依頼となるケース。旧車をはじめ、長期間ユーザーがいる車の場合や何らかの事情で生産が必要となる補用品に対し、自動車メーカー側では再生産制度というものがあり、それらを活用した復活生産のことです。

製造廃止となって部品メーカーに対して製造終了の通知がなされた後に、再度生産指示が出るものです。

代替生産品

オリジナルの部品メーカーでは生産不能となっている為、別のメーカーで同等の部品を生産する場合と、オリジナル部品メーカーで互換性のある同等品を生産する場合とがあります。

継続生産品

自動車メーカー各社が持つ生産年限制度が適用されずに、生産継続指示のあるもの。例えば自動車メーカーで供給年限のルールが「量産から15年が経過し、直近の3年平均の年平均注文数が5個以下」に適合する場合、その部品は製造廃止となるというものを適用していて、その条件に合致する場合でも例外的にルールを適用せず、生産継続指示となるケースがこれに相当します。

ヘリテージパーツの供給課題

ヘリテージ品に指定されると、旧車やクラシックカーをはじめとする希少価値の高い車のオーナー目線では部品の供給が継続となるので、修理して乗り続けることができるというメリットがありますが、こうした部品の供給に影響する課題としては以下のようなものがあります。

材料供給不安または高騰

材料や使用している部品のサプライヤーが在庫対応していた場合、新たに生産が必要になった時点で供給困難となることがあります。あるいは年数が経過しているほど価格が過去のものとは変わっており、製法を変えないといけない状況であったり、価格が数十倍から数百倍に跳ね上がっているということすらあります。

材料ロット

量産打ち切りからの年数が経つほどに供給数量は落ちてきますが、材料は一定のロットでしか購入できないものが大半です。材料を最小単位で買ったものが10年で在庫が尽き、新たに発注が必要となったタイミングで調達できないことがわかった、というのはよくある話です。

生産ロット

部品の種類にもよりますが、多くはロットでの生産が必要になります。ヘリテージパーツとして月に1個といわれた場合、最小のロットが100個になってしまうと、それだけで8年分になってしまいます。その間の製品劣化や在庫保管費等のコストがかかります。

ノウハウの継承

熟練の製造人員の退職に伴い、今まで管理ポイントとしてみていなかった部分にノウハウが必要ということが後からわかり、生産における再現ができなくなってしまう問題です。製造指示書通りに作っても、ベテランが行っていたカンコツに依存する工程が入っていると同じ品質での供給が困難になります。古い部品ほどこうした管理項目が不透明なものが多いです。

設備・金型・治工具の老朽化

設備が故障してもその交換部品が入手できない、金型が古すぎて適合する機械がもうない、金型の修正・再現が困難、特殊な治工具で生産できる先が限られているといった問題があります。

製造条件変更等のトラブル時の継続生産

昔から使っていた古い設備が破損する等して設備を更新した場合に、図面で指定されていたスペックを実現できなくなることがあります。この際、製造条件の見直しを行っても、図面規格を満足できなったり、そもそも客先と取り交わした仕様を満足できなくなっているケースがあります。

部品販売価格への転嫁不能による赤字累積

大量生産と供給を前提にビジネスが成立している部品メーカーが事業として採算が合うレベルにまで価格を上げることはとうてい不可能で、自動車メーカーに了承得ることができませんので、少なからず持ち出しが発生します。特に専用設備や専用の金型、材料等の場合、生産場所も圧迫しますので、こうした部品が増えるほど採算が悪化し、新しい部品を生産する工場や場所の確保にも難が出てきます。

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