朝積みと宵積み

2022年5月2日更新

朝積みと宵積みはいずれもトラックへの荷物の積み込みをいつ行うかを意味する用語で、前者は普段いつ積み込んでいるかを基準にした言い回しという違いがあります。

宵積みは、朝一や朝早い段階で出発するトラック便に前日の夜に荷物を積み込んでおくことを意味しています。

朝積みは、普段は前日の夜に積み込んでおくべきもの(宵積みしておくべきもの)が何らかの事情で積み込むことができず、その日の朝に積むというイレギュラー対応のことを意味します。

荷役や附帯作業(荷物を運ぶということだけにとどまらない輸送に付随するさまざまな支援作業)の関係で、特に荷物に客先指定のラベルや伝票・納品書等を貼り付けたり、そろえたりする必要のある付帯業務を行う場合、朝一の納入便には前日の準備が必須で、当日行うのはどうしても当日にしか入ってこない情報に基づく作業のみに限定しないと輸送が間に合わない、当日繁忙すぎて不測の事態に対応できないといった状況に陥ることから組まれているスケジュールになります。

こうしないとトラック便のドライバーや倉庫内で附帯作業を行う人たちは夜明け前からの勤務となってしまい、勤務時間があわなくなったり、超過勤務で夕方の業務に支障が出たり、シフトや倉庫の稼働時間をそもそも変更しないといけないという非効率な事態になってしまいます。

倉庫や輸送便はダイヤだけを見ると24時間稼働しているように見えることもありますが、実際に24時間稼働していないところも多く、シフトをうまく組んでコストが上がらないように調整しています。極端な例でいえば、たった1便のために、倉庫の附帯作業を行う人員を出させると採算があわないということになります。

宵積みをすることができなかったので朝積みを行う場合、この手の作業は手順が決まっていますが、荷量に対して実施にかかる時間というのは短縮が物理的に困難になりますので、対応できる時間・荷量には自ずと制限がかかります。

通常の納入で宵積みを行っている便に対して、朝積みを依頼するとエクストラな特別費用が発生するのはこうした事情が関係しています。

基本、宵積みをベースに輸送便のスケジュールであるタイムチャートが組まれている場合、その倉庫への納入が遅れても非常時は朝積みで挽回できるという余力があることになりますが、宵積みと同じリードタイムではないため、倉庫側の負担になり、場合によっては輸送便の出発が遅れることになります。

デポの運用方法にもよりますが、一日に何回も客先への納入がある場合、客先の工場や倉庫に近い場所にあるデポに製品を運び込み、そこで最終的に客先の注文データを受けて製品を指定時間に客先納入するというやり方が効率面から多いですが、この場合、客先へ朝一に出荷する分は前日までに着荷させるスケジュールでダイヤを組むことが多いといえます(特に長距離であればあるほど)。納入品によってはあえて1日前に入るようにしておき、在庫不足や欠品に気づくようにしているケースもあります。

いずれにせよ、朝積みが常態化してしまうのは異常事態であるため、これはあくまで最後の砦であり、頻繁に発生してしまうのであれば再発防止策を講じる必要があるといえます。

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