ビニロン繊維の特徴|ビニロンの製法、融点、比重、用途について

2016年1月3日更新

ビニロンはポリビニルアルコールの繊維のことで、1950年に日本で開発されたものです。化学繊維の中で、ナイロンに続き世界では二番目に工業生産に成功した合成繊維ですが、特質としては吸湿性に優れている点があげられます。合成繊維は、吸湿性を持つ性質を持つものがほぼないため、そうした意味で際立った性質を持っていますが、風合いも綿に近いものがあります。

ただし、現在は衣料品として使われることは稀で、この繊維が使われている衣服はあまり見ることがありません。水溶性ビニロンと呼ばれる、水に溶ける珍しい性質を持った繊維も一時は新素材として出回ったこともあります。これは他の繊維と一緒に用いて、水溶性ビニロンを溶かして他の繊維にからめることで、新しい風合いを持った生地を作り出す効果がありました。

アルカリへの強い耐性をもつ繊維のため、コンクリート補強用としての利用や、魚網、ロープ、ろ過布等で使われます。雨風に強いため、土木建築や耐候性が求められる用途に使われることがあります。

ビニロンの原料と製法

石油と天然ガスから作られたアセチレンから酢酸ビニルとなり、これが重合されることでポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールが作られます。ここから紡糸原液がつくられ、乾式紡糸(フィラメント)、湿式紡糸(ステープル)のいずれかで糸が作られていきます。

ビニロンの性質と特徴

ビニロンは摩擦に強く、合成繊維のなかでは最も吸湿性に優れます。薬品にも強く、保湿性がよいことから作業着にも使われますが、現在は衣類というよりは産業用途が主流です。

ビニロン繊維の長さ、太さを表す単位

化学繊維であるため、dtex(デシテックス)で繊維の太さや重量を表記することが多いです。テックスは標準長1000メートルで、標準重量1グラムあるものを1texと表記します。10dtexが1texとなります。

コンクリート補強用に使われる|ビニロン繊維の用途

コンクリートは圧縮される力には無類の強さを持ちますが、元来、引張りに対する力はあまり強くないという材料です。このため、セメントには種々の補強用の材料が添加されます。中でも、ビニロンは、アルカリへの耐性とセメントとの親和性が高く、コストも安いため、セメントに添加する材料としてはよく検討される材料となります。

産業用が中心となっている繊維のため、魚網やロープ、シート、ホース、ベルト類、タイヤコード、畳糸、各種ネット、スレート、不織布等として使われます。

ビニロンのメリット、デメリット

ビニロンは衣料品として使われることは稀となっているため、他の繊維と比較される場合、コンクリートの補強用や網等の産業用途となります。

ビニロン繊維のメリット

高い摩擦強度をもちます。また吸湿性については化学繊維の中で最も高くなります。アルカリへの耐性に優れています。

ビニロン繊維のデメリット

湿った状態でアイロンをかけると黄変をおこすことがあります。またアルカリには強い性質を持つものの、酸にはあまり強くありません。

ビニロンの性能

次にビニロン繊維の物理的性質や、化学的性質について見ていきます。

ビニロン繊維の比重

ビニロンの比重は1.26から1.30、繊維としては平均的な比重となります。

ビニロンの公定水分率

繊維は、プラスチック等の塊と異なり、きわめて細長い特殊な形状をしていることから表面積も多く、取引の段階で重量をはかる際、すでに水分を吸ってしまっています。このため、繊維によってどのくらいを水分量として見るか繊維ごとに定められています。

衣服、布、ロープ等の吸水性は繊維が糸に加工され、糸が布やロープ等に加工されるため、形状なども深くかかわりがありますが、公定水分率も繊維自体のもつ吸水性能を見るひとつのパラメータということもできます。

吸湿性が高いという特性を持つ繊維ですが、公定水分率は5%と定められています。

ビニロンの耐熱性

軟化する温度は220℃前後とされますが、溶融点については不明瞭となっています。

ビニロンの持つ耐熱温度、どのくらいまでの熱に溶けないか、軟化しないか、外気に野ざらしにした場合の耐候性について下表にまとめました。

ビニロンの耐熱温度
耐熱性、耐熱温度 軟化点 220から230℃
溶融点 不明瞭
耐候性 外気曝露しても強度はほとんど変わらない

ビニロンの引張強度

どのくらいの力まで引っ張っても千切れることがないかを示す引張強度については、繊維の場合、乾燥した状態と湿った状態とでは性能が異なります。

濡れると強度が低下します。

ビニロンの引張強さ|湿強度、乾強度、伸び率
繊維の種類 引張強さ(cN/dtex) 伸び率(%)
乾燥 湿潤 乾燥
ビニロン 3.5から5.7 2.8から4.6 12から26

ビニロンの化学薬品への耐性|耐薬品性と特殊溶剤

特殊溶剤は、この繊維を溶解させる特殊な溶剤が何かを示しています。

繊維自体を溶かす作用をもつ薬品が何かを下表にまとめました。苛性ソーダは水酸化ナトリウムであり、強アルカリの代表的なものとなります。塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸などいずれも酸性となります。

ビニロンの耐薬品性
苛性ソーダ(5%、煮沸) 溶けない
塩酸(20%、室温) 溶ける(部分的に溶ける)
硫酸(70%、室温) 溶ける(部分的に溶ける)
ギ酸(80%、室温) 溶ける(部分的に溶ける)
氷酢酸(煮沸) 溶けない
特殊溶剤 フェノール、熱ピリジン、クレゾール

繊維の種類と特徴

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