モノ情の書き方|トヨタにおける物情とは物と情報の流れ図

2022年1月22日更新

モノ情(ものじょう)とは、トヨタで言われる「物と情報の流れ図」を略した表現で、実際に製品の配送を伴う「物流」のあるビジネスにおいての現状分析・現状把握を行うために使われるツールのひとつです。英語では、これに近いものとしてValue stream mapやValue stream mapping、略してVSM(価値の情報流れ図)があります。

簡単にいえば、モノ情は「物」の流れと、「情報」の流れを一つの図にまとめたものです。シンプルに、どこからどこへ物が動き、情報がどこからどこへ移動していくのか、を可視化したものです。

書き方といえば、物の動きを示す矢印と、情報の動きを示す矢印を分けて記載すること程度でだれでも時間をかけずに作ることができます。

情報の流れとは、例えば注文情報であったり、生産指示であったり、内示情報や配送情報といったものの流れです。物の流れは、実際の形ある「もの」がどこからどこへ動いているか、ということを示すものです。

モノ情の用途、使われ方

モノ情は、乱流状態になっている工程を整流化して、モノと情報の流れを改善するなどの使い方のほか、業務フロー図作成の前につくると全体像が見えやすいことから、関係者での現状認識をあわせたりする際にもよく使われます。またリードタイムや時間に関する情報を書き足していくと、どこで時間がかかっているのか可視化できるため、停滞している箇所を見つけ出してリードタイム短縮のための改善することに使えます。

業務フロー図となると、おおまかなものを作るにしても、実施することの順番を並べて、関係者や工程ごとに時系列で記載していくため、作るほうも読み解くほうも時間がかかりますが、モノ情だけ、というのであれば作るほうも読むほうも全体像を手早く共有することができます。用途にあわせて併用したり使い分けたりするとよいでしょう。

モノ情の書き方の手順例

  • 1.どこからどこまでのモノ情を作りたいのか明確にする(どの部分を切り取ってモノ情にしたいのか。目的に応じて必要な範囲だけを作る)
  • 2.まず実際の物の動きを、出発点となる場所(工場、デポ等)から終着点の場所(客先等)までの線を引く
  • 3.情報の動きを、別の線種で書き加えていく

なお、物が動くとともに情報も物について動くというケースがあります(箱に現品票などのラベルが貼ってあり、それを受け取った側がバーコードで読み取る、あるいは箱と同じ便で納品書などの帳票情報を送る等)。この場合、物の動きを示す実線と情報の動きを示す線をすべて描くと読みづらいものになってしまうので、用途によっては物に付随しているこうした情報線は省略することがあります。ただし逆に物について移動している伝票の改善をする場合はこうした情報も記載必須となります。

物情|物と情報の流れ図の例

下図のモノ情では、自社工場と、外部の物流デポの2か所で製品を在庫し、客先である工場からの注文に応じて、この2か所から製品を出荷している、というものとなります。実線の矢印が製品となる「もの」の動きであり、点線の矢印が「情報」の動き、この場合は注文情報ということになります。

このように簡単かつ簡便に製品や材料、部品といった物の流れと、注文情報や内示情報といった情報の流れを可視化できる点にこの手法の大きなメリットがあります。

物情、物と情報の流れ図の例

トヨタ式における「物と情報の流れ図」

なお、上記で紹介したのは様々な業種でも応用や利用が可能な汎用的でシンプルなものですが、トヨタ生産方式(TPS)で使用される場合は少し用途が違い、計画から仕入れ〜客先納入までのリードタイム短縮改善を主軸にしたツールの一つとなります。

物情は関係者で共有できる内容であれば、どのような記号を使ってもよいのですが、トヨタ方式の場合、記号についてもかなり独特なものが使われ、TPSではお馴染みの引き取りかんばん、仕掛かんばん、かんばんポスト、平準化ポストといったものが独自の記号で表現されます。これはトヨタ内での改善ツールである為、使われる記号も同社の生産方式に適合する内容になっています。

TPSを導入していたり、導入検討したりといった場合はこちらのトヨタ生産方式の「物と情報の流れ図」における記号一覧もご参照ください。

ただしこれは裏を返せば、業種や業界あるいは会社それぞれによって固有の記号を作って、使うことができることを意味します。仕入れから納入まで工場内や倉庫内で自社独自のツール等を使われておりそれを記号で表現してモノ情に使うことができます。

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