スライド納入とは

2016年5月25日更新

自動車メーカーからの発注に基づき、各部品メーカーから量産品は指定された期日までに納品されることが求められます。この辺は他の業界と何ら変わるところはありませんが、自動車業界が特異な点があるとすれば、納入間隔が毎日(一日のうち指定された時間に複数回)であったり、指定された時間が定められていることです。自動車は多量、かつ多種類の部品を用いて作られる為、それらの多くを自動車メーカー側で在庫しておくと、工場にスペースが無くなり、在庫金額が膨大なものとなります。基本的に自動車メーカーの仕入先は、必要な部品を必要なだけタイムリーに納入することが求められるため、納入の頻度が他の業界に比べて多いかもしれません。また一旦量産品として採用されると、流動する「量」が非常に多いのも特徴です。

こうした指定された期日に指定された場所へ正確に納入することでまわっている自動車工場側でも、設備トラブルや種々の原因で生産が一時的に止まることがあります。この場合、指定された時間ごとに部品が納入されてくるにも関わらず、ラインが止まっているため、部品が流れていかず、滞留し、いわば渋滞のような状態になってしまいます。大量の部品が定期的に納入されてくるため、生産ラインが流れていないとあっという間に部品自体を受け入れる場所自体もなくなってしまいます。

こうしたケースで納入日を順延する指示が出ることがあります。これを「スライド」、あるいは「スライド納入」と称呼します。スライド納入は納入日がずれる(スライドする)だけであるため、数量変更などは行われません。これは自動車メーカー側で生産する台数が計画で決められているためで、稼働時間が減った分は残業や公出などと呼ばれる休日出勤(通常、土日には稼動していませんが、これらを稼働日として工場を動かす、等)などで挽回していくことになります。

大規模なスライド納入が起きるケースとしては、気象異常や天災等で一部の部品が供給できずに工場を非稼動にせざるを得なかったような場合です。自動車は数多くの部品で成り立っており、特定の部品がある地域でしか作られていない、ということはよくあることです。基本的に部品メーカーもコストを下げるために生産拠点を集約してきているので、余計にこのようなことがおきやすくなります。

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