SS400の規格|SS400(一般構造用圧延鋼材)の機械的性質、耐力、硬度、降伏点、引張強さ、成分について

2015年5月1日更新
SS400

SS400は鉄鋼材料の一つであり、一般構造用の鉄鋼材であるSS材(エスエスざい)のうち、最も使用頻度の高い材料です。この為、SS材といった場合、SS400のことを意味していることもあります。昔はSS41と呼ばれていました。安くて市場にもよく出回っている材料であり、形も板材・棒材ともに入手しやすいため、構造用に限らず、機械設備用途をはじめ、多くの分野で使われています。形鋼の形でもよく流通しており、鉄鋼の代表的な規格材料といえます。日常でも、鉄といえばSS400が使われていることが多いため、目にしない日はないといっても過言ではないでしょう。

SSというのはSteel Structureの頭文字からきたもので、構造用の鋼であることを意味しますが、前述の通り用途はこれに限定されていません。SSのあとにつく400というのはこの材料で保証されなくてはならない最低の引張り強さをMPa(N/mm2)で表記したものです。規格としては、引張強さが400〜510N/mm2のものを言いますが、材料記号の数字部分はSS材の場合、下限の引張強さを示しています。常温から中温域(350℃)まで安定しているため、この温度帯域でよく使用されます。鉄鋼系の中で耐熱性の高いほうではありませんが、一般的な産業・工業用途では問題のない耐熱性ともいえます。

製法としてはほとんどの場合、キルド鋼から作られ、熱間圧延鋼板に分類されます。このため、比重や密度についても熱間圧延鋼板の7.85から7.87が一般的に使われます。

SS400の性質と特徴

以下に、機械的性質や成分をはじめ、SS400の特徴を見ていきます。

SS400の炭素量

鉄鋼材料にとって、炭素は強度や硬度を決める最も重要な成分の一つです。SS400の炭素含有量については、JIS規格には規定がありませんが、おおむね0.15から0.2%前後のものが多く、低炭素鋼(軟鋼)といえます。低炭素のため、硬度が高くないかわりに加工性が優れている材料でもあります。購入するSS400は成分を保証したものではなく、強度(最低の引張強さ)を保証したものであるため、炭素が一定の量だけ含有していると言えない材料でもあります。

SS400の熱処理|焼入れ焼き戻しはできるか

鉄鋼材料は熱処理をすることで硬度や強度を高めることができますが、これは炭素量が一定以上の場合だけです(おおむね炭素量が0.3%以上の鉄鋼)。前述の通り、炭素量が0.2%以下のものが多いため、焼入れ等の熱処理で強度向上を行うことができません。強度が必要な部品などで機械構造用炭素鋼などの炭素量の多いSC材が使われるのはこのためです。ただし、熱処理がされていない材料であるため、加工性や強度についてはどのSS材についてもグレードが同じであればほぼ同じと考えることができます。状況によっては熱処理による材料強度の変化を考慮する必要がないため、使い勝手がよいこともあります。

熱処理としては、内部に残っている応力を取り除く目的で、焼鈍しをすることはあります。

SS400の硬度|SS400はどれくらい硬いのか

鉄鋼材料の硬度は、耐摩耗性とほぼ比例関係にもありますが、SS400の硬度についても規格には記載がなく、かなりのばらつき(上限、下限の差が大きい)があるため、一概にはいえませんが、軟鋼に相当するため、実測で概ねビッカース硬度換算で120Hv〜140Hv前後ではないかとされます。鉄鋼材料の中ではやわらかいほうです。【参考】金属の硬度一覧

鋼材の硬さは含有される炭素量と深い関係がありますが、SS400の場合、炭素量に関する規格値が設定されておらず、成分についてもかなり緩い規格になっているため、硬度や耐摩耗性が要求されるような摺動部位には適しません。

SS400の溶接性

板厚が50mmを超えないのであれば溶接性についても特に問題のないレベルを持つ鋼材規格ですが、これ以上の厚みのある場合は、溶接に影響する成分がより詳細に規定されている溶接構造用圧延鋼材(SM材)が用いられます。高い負荷が圧力がかかるような用途をはじめ、高いレベルでの溶接性が要求される場合は、個別に検討が必要ですが、通常の溶接では問題はないとされます。

SS400の成分

本表のとおり、低温で強度を劣化させたり、高温での強度を弱める有害成分との位置づけになるP(リン)とS(硫黄)のみ上限値が設定されています。【参考】鋼の五元素とは何か

SS400の化学成分
材料記号 C Mn P S
SS400 - - 0.050以下 0.050以下
必要に応じてこの表以外の合金元素を添加することもできます。

SS400の機械的性質、降伏点、耐力、引張強さ

設計上は、破壊限度を示す引張強さではなく、それ以上の力を加えると変形して元に戻らなくなる力の境界である「降伏点」(耐力)のほうが重視されます。板厚16ミリ以下の鋼板で、245N/mm2以上が降伏点となります。板の厚みが厚くなるほどに降伏点が低下する、つまり、より弱い力で変形してしまうようになるため、強度計算を行う際には注意を要します。

SS400の機械的性質、降伏点、耐力、引張強さ、曲げ性
材料記号 降伏点または耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
鋼材の厚さ(mm) 引張試験片 伸び(%) 曲げ性
鋼材の厚さ(mm) 曲げ角度 内側半径 試験片
16以下 16を超え40以下 40を超え100以下 100を超えるもの
SS400 245以上 235以上 215以上 205以上 400〜510 鋼板、鋼帯、平鋼の厚さ5以下 5号 21以上 180° 厚さの1.5倍 1号
鋼板、鋼帯、平鋼の厚さ5を超え16以下 1A号 17以上
鋼板、鋼帯、平鋼の厚さ16を超え50以下 1A号 21以上
鋼板、鋼帯、平鋼の厚さ40を超えるもの 4号 23以上
棒鋼の径、辺又は対辺距離25以下 2号 20以上 180° 径、辺又は対辺距離の1.5倍 2号
棒鋼の径、辺又は対辺距離25を超えるもの 14A号 22以上

SS400の板厚

SS400は規格上、熱間圧延鋼板となるため、その標準寸法・サイズについてもJISでは熱延鋼板に共通の値が使われます。

SS400の板厚
板厚(標準の厚さ)【単位:ミリ】
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.3
2.5
2.6(非推奨)
2.8
2.9(非推奨)
3.2
3.6
4.0
4.5
5.0
5.6
6.0
6.3
7.0
8.0
9.0
10.0
11.0
12.0
12.7
13.0
14.0
15.0
16.0
17.0(非推奨)
18.0
19.0
20.0
22.0
25.0
25.4
28.0
30.0(非推奨)
32.0
36.0
38.0
40.0
45.0
50.0

SS400の幅

規格で標準として定められた鋼板の幅のバリエーションは、SS400についても熱間圧延鋼板に準じたものとなります。

SS400の標準幅(熱間圧延鋼板)
板の幅(単位:ミリ)
600
630
670
710
750
800
850
900
914
950
1000
1060
1100
1120
1180
1200
1219
1250
1300
1320
1400
1500
1524
1600
1700
1800
1829
1900
2000
2100
2134
2438
2500
2600
2800
3000
3048

SS400の長さ

長さについても熱間圧延鋼板となるため、以下の規定が適用されます。これは標準となる長さの例です。

SS400の標準長さ
板の長さ(単位:ミリ)
1829
2438
3048
6000
6096
7000
8000
9000
9144
10000
12000
12192

SS材の種類と材料記号

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