鉄線の規格|SWM材、普通鉄線、釘用鉄線、なまし鉄線、コンクリート用鉄線の強度、引張強さ、線径、番手、重量
鉄線の規格では普通鉄線、くぎ用鉄線、なまし鉄線、コンクリート用鉄線について、機械的強度、引張強さ、降伏点、0.2%耐力、伸び、絞り、ねじり特性、標準線径、許容寸法公差、外観、表示方法等が規定されています。これら4つの分類に、合計で8種類の鉄線について規格化されています。流通量が多く、入手しやすい鋼材の一つであり、価格も廉価な部類です。
いずれの鉄線についても原料となる鋼材には、軟鋼線材(SWRM材)を使っています。軟鋼線材には、成分の規定がありますが、機械的性質については規定がありません。逆に鉄線の規格には、成分規定がありません。
鉄線の規格にある8種類の規格線
| 鉄線の種類 | 鉄線の記号 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 普通鉄線 | SWM-B | 一般用 |
| 普通鉄線 | SWM-F | めっき用、溶接用 |
| 釘用鉄線 | SWM-N | くぎ用 |
| なまし鉄線 | SWM-A | 一般用、金網用、 |
| コンクリート用鉄線 | SWM-P | 溶接金網用 |
| コンクリート用鉄線 | SWM-C | コンクリート補強用 |
| コンクリート用鉄線(リブ線) | SWM-R | コンクリート補強用 |
| コンクリート用鉄線(インデント線) | SWM-I | コンクリート補強用 |
鉄線の用途
普通鉄線は主にコンクリート管やヒューム管、U字溝、コンクリートパイルといったコンクリート二次製品の補強用や、機械部品、釘等に使われる鉄線で、軟鋼線材をダイスによる冷間引抜加工することで得られる素材となります。
なまし鉄線は主としてロープのように結束線として使われる鉄線で、古紙回収業者の古紙梱包用、建築現場で資材や丸太などで足場を組む際の結束線、ビニール皮膜線として使われます。
くぎ用鉄線は、その名称の通り、釘の材料となりますが、これには普通鉄線が使われることもあります。
コンクリート鉄線は、補強用としてコンクリートの内部に用いられる鉄線で、断面が円形となる通常の丸鉄線のほか、表面から突起が出ているリブ線と、表面に凹みがあるインデント線があります。コンクリートは圧縮強度に極めて優れますが、引張強度には難があるため、鉄線を内部に用いることでこうした点を補強する狙いがあります。
鉄線の線径
鉄線の線径、つまり直径の寸法については線材の断面が丸くて表面が滑らかな「丸鉄線」と、断面が円形ではなく、表面に突起かくぼみがある「異形鉄線」とでそれぞれ規格寸法に違いがあります。異形鉄線については、実測の値ではなく、公称線径が用いられます。
丸鉄線の標準となる線径
| 丸鉄線の線径(単位:ミリ) |
|---|
| 0.10 |
| 0.12 |
| 0.14 |
| 0.16 |
| 0.18 |
| 0.20 |
| 0.22 |
| 0.24 |
| 0.26 |
| 0.28 |
| 0.30 |
| 0.32 |
| 0.35 |
| 0.40 |
| 0.45 |
| 0.50 |
| 0.55 |
| 0.62 |
| 0.70 |
| 0.80 |
| 0.90 |
| 1.00 |
| 1.20 |
| 1.40 |
| 1.60 |
| 1.80 |
| 2.00 |
| 2.30 |
| 2.60 |
| 2.90 |
| 3.20 |
| 3.50 |
| 4.00 |
| 4.50 |
| 5.00 |
| 5.50 |
| 6.00 |
| 6.50 |
| 7.00 |
| 7.50 |
| 8.00 |
| 8.50 |
| 9.00 |
| 10.0 |
| 11.0 |
| 12.0 |
| 13.0 |
| 14.0 |
| 15.0 |
| 16.0 |
| 17.0 |
| 18.0 |
丸鉄線の線径の許容公差
| 対応する線径の範囲 | SWM-B、SWM-F | SWM-A | SWM-P、SWM-C |
|---|---|---|---|
| 0.35ミリ以下 | ±0.01 | ±0.01 | − |
| 0.35ミリを超え0.80ミリ以下 | ±0.02 | ±0.02 | − |
| 0.80ミリを超え2.00ミリ以下 | ±0.03 | ±0.04 | − |
| 2.00ミリを超え2.90ミリ以下 | ±0.04 | ±0.06 | ±0.06 |
| 2.90ミリを超え3.20ミリ以下 | ±0.04 | ±0.06 | ±0.08 |
| 3.20ミリを超え4.00ミリ以下 | ±0.05 | ±0.08 | ±0.08 |
| 4.00ミリを超え6.00ミリ以下 | ±0.05 | ±0.08 | ±0.10 |
| 6.00ミリを超えるもの | ±0.06 | ±0.10 | ±0.13 |
異形鉄線の線径と断面積、質量、許容公差
| 線径(公称線径) (単位:mm) |
公称断面積 (単位:mm2) |
単位長さ当たりの質量 kg/m |
単位長さ当たりの質量の許容差 |
|---|---|---|---|
| 4 | 12.6 | 0.099 | ±9% |
| 5 | 19.6 | 0.154 | ±9% |
| 6 | 28.3 | 0.222 | ±8% |
| 7 | 38.5 | 0.302 | ±8% |
| 8 | 50.3 | 0.395 | ±8% |
| 9 | 63.6 | 0.499 | ±5% |
| 10 | 78.5 | 0.617 | ±5% |
| 11 | 95.0 | 0.746 | ±5% |
| 12 | 113.1 | 0.888 | ±5% |
| 13 | 132.7 | 1.042 | ±5% |
| 14 | 153.9 | 1.208 | ±5% |
| 15 | 176.7 | 1.387 | ±5% |
| 16 | 201.1 | 1.579 | ±5% |
鉄線の番手と線径|規格線の番手について
鉄線の寸法は、線径をミリで表記したり、伝えたりすることで明確になりますが、慣習上、規格線として番手での表記も使われます。例えば、普通鉄線#8といったような書き方をされているようなケースです。
番手と線径の対応関係については規格で定めがあるわけではないのですが、#30までであれば、概ね、以下のような寸法となります。
ただし、線の種類や業界によって示す寸法が微妙に異なることがありますので、基本は線径を「ミリ」で表記することになります。「SWM-B、4.00」とあった場合は、普通鉄線の線径4mmの製品であることを示します。
| 番手 | 線径(おおよその直径) |
|---|---|
| #1 | 7.5mm |
| #2 | 7.0mm |
| #3 | 6.5mm |
| #4 | 6.0mm |
| #5 | 5.5mm |
| #6 | 5.0mm |
| #7 | 4.5mm |
| #8 | 4.0mm |
| #9 | 3.5mm |
| #10 | 3.2mm |
| #11 | 3.0mm |
| #12 | 2.6mm |
| #13 | 2.3mm |
| #14 | 2.0mm |
| #15 | 1.8mm |
| #16 | 1.6mm |
| #17 | 1.4mm |
| #18 | 1.2mm |
| #19 | 1.0mm |
| #20 | 0.9mm |
| #21 | 0.8mm |
| #22 | 0.7mm |
| #23 | 0.6mm |
| #24 | 0.55mm |
| #25 | 0.5mm |
| #26 | 0.45mm |
| #27 | 0.4mm |
| #28 | 0.35mm |
| #29 | 0.32mm |
| #30 | 0.3mm |
「JIS G 3532 鉄線」に規定のある材料記号
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- 軟鋼線材の規格|SWRM材の成分・材質、特性について
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