SAPH400の成分、引張強さ、降伏点、伸び、板厚、曲げ性

2013年2月1日更新

SAPH400は高張力鋼板(ハイテン材)の一つで、4種類あるSAPH材の中では2番目に引張強度に優れた鋼種となります。最低値として指定された引張強さが400N/mm2以上となっており、他材料と同じく、厚みによって伸びの値が異なります。引張強さだけであれば、構造材の鉄鋼材料であるSS400と下限値が同じであるため、比較対象となることもあります。SAPHはもともとが自動車用として薄くても強度があり軽量化につながる鋼板であるため、SS材よりも価格は高くなります。また、業界によっては入手が難しいことがあり、その辺も大口需要家が購入する価格に比べて割高になってしまう要因の一つとなっています。

なお、自動車業界、自動車部品の鋼材としては割とよく使用される鋼板ではあります。圧延鋼板としては高級、高品質なものといえます。

SAPH400の引張強さ、耐力、降伏点、伸び

SAPH400の機械的性質(引張強さ、耐力、降伏点、伸び)
種類 引張強さ(N/mm2 降伏点もしくは耐力 伸び(%) 引張試験片
厚み(mm) 厚み(mm)
6.0未満 6.0以上8.0未満 8.0以上14以下 1.6以上2.0未満 2.0以上2.5未満 2.5以上3.15未満 3.15以上4.0未満 4.0以上6.3未満 6.3以上14以下
SAPH400 400以上 255以上 235以上 235以上 31以上 32以上 34以上 35以上 36以上 37以上 5号試験片圧延方向

SAPH400の成分

SAPH400の成分規定
鋼板の記号 成分・組成
P(%) S(%)
SAPH400 0.040以下 0.040以下

SAPH400の曲げ性

SAPH400の曲げ性
鋼板の記号 曲げ角度 内側半径 曲げ試験片
厚み(mm)
2.0未満 2.0以上
SAPH400 180° 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍 3号試験片、圧延方向に直角

SAPH400の板厚について

SAPH400の板厚の種類(1.6mm以上14mm以下)
板厚(単位:mm)
1.6
1.8
2.0
2.3
2.5
2.6※
2.8
2.9※
3.2
3.6
4.0
4.5
5.0
5.6
6.0
7.0
8.0
9.0
10.0
11.0
12.0
12.7
13.0
14.0
15.0
16.0

「JIS G 3113 自動車構造用熱間圧延鋼及び鋼帯」に規定のある材料記号

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