A5005とは|JIS規格材の特徴と物性

2024年1月6日更新

A5005とはJIS規格に規定される材料で、A3003と同じくらいの強度を持つアルミ合金です。以下に比重、成分、強度をはじめとした特徴を見ていきます。

この材料は耐食性、溶接性とともに加工性にも優れています。5000系の中では比較的マグネシウムの添加量が少ないため、同系の中でもそれほど高い強度を持つ材料ではありません。

強度はさほど強くなくとも加工性が良いものを使いたいという場合に重宝します。アルマイト仕上がりも良好ですのでデザイン性や意匠性が重視される用途にも適しています。他、用途としては建築内外装材(低応力部の構造材料)、車両内装材、装飾用材料などに使われます。銅を微量に添加することで、光輝性が出ることでも知られます。5000番台のアルミ合金の中でFeの許容値としては、最も大きな値を持ちます。比重の高いFeが含有していると、総じて5000系の中では若干ですが重くなります。

比重

A5005の比重は2.70となります。5000系のアルミ合金の中では最も高い比重を持ちます。比重は添加されている合金元素の含有量の影響を受けます。元素としては鉄の影響が大きいです。

成分

5000番台の番号が付いているアルミ合金は、マグネシウムを主要添加物質としたAl-Mg系の合金です。その中ではマグネシウムの含有成分が少なくタイプとなります。かわりに、他の5000系に比べると鉄、銅、マンガンの上限値が若干高くなります。

A5005(アルミニウム)の成分
合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ga, V, Ni, B, Zr等 Ti その他 Al
個々 合計
A5005 0.30以下 0.7以下 0.20以下 0.20以下 0.50から1.1 0.10以下 0.25以下 - - 0.05以下 0.15以下 残部

強度|引張強さ、耐力、伸び、硬さ、縦弾性係数

同じA5005でも調質によってかなりの強度差が出てきます。

材料記号の末尾についている調質記号の意味定義については、アルミニウムの調質、質別記号の一覧をご参照ください。

材料記号・調質記号 引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%) ブリネル硬さ(10/500) せん断強さ(N/mm2 疲れ強さ(N/mm2 縦弾性係数(×1000 (N/mm2))
板(1.6mm厚) 棒(φ12.7mm)
A5005-O 125 40 25 - 28 75 - 70
A5005-H12 140 135 10 - - 100 - 70
A5005-H14 160 155 6 - - 100 - 70
A5005-H16 185 175 5 - - 105 - 70
A5005-H18 205 195 4 - - 110 - 70
A5005-H32 140 120 11 - 36 100 - 70
A5005-H34 160 140 8 - 41 100 - 70
A5005-H36 185 170 6 - 46 105 - 70
A5005-H38 205 190 5 - 51 110 - 70

形状記号

JIS規格ではA5005の形状は、下表の通り、板、条、円板、管と2種類の規定があります。なお、記号の末尾にSがついているものは「特殊級」を意味しています。これは管、棒、線、形材、導体等につく場合があり、普通級に比べて寸法許容差に違いがあります。

A5005の形状記号の一覧
形状記号 意味 英語
A5005P 板、条、円板 Plate
A5005TD 引抜管 Tube(Drawn)
A5005TE 押出菅 Tube(Extruded)

AA、ASTM、EN、ISOの各規格での相当材

JIS規格以外の規格ではA5005Pに相当する材料記号としては下表があります。

A5005の相当材
規格名称 相当する材料記号
AA規格 5005
ASTM規格 5005
EN規格 EN AW-5005
ISO規格 AlMg1

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