冷たい金属のランキングと一覧

2021年7月5日更新

冷たい金属とは、熱が伝わりやすい金属のことです。熱が伝わりやすい、つまり熱伝導率が高いということは人が触った部分から急速に金属のほうへ熱が移動するためです。これにより冷たく感じるわけですが、逆に熱が加わると、熱くなりやすいという性質もあわせ持っています。

同じ理屈で、冷たくない金属は熱が伝わりにくい金属となります。金属に限らず冷たい材質の熱伝導率の高さを比較することでより冷たく感じる金属を探すことができます。

熱を遮断する目的で使われる住宅や建物の断熱材はこの性質を逆手にとって、熱伝導率のきわめて低いものが使われています。例えば代表的な構造材料である鉄鋼やステンレスの15から50に比べ、断熱材として使われるグラスウールはわずか0.04です。

なお、冷たい金属、例えば氷点下に冷やされている金属に触れると指がくっつくことがあります。これは金属と指の間にある水分が瞬時に凍ってしまうことが原因です。

金属表面にも目に見えない水分が少し付着している、手の表面も汗などで目に見えない湿り気がある、といったものが急速に凍結すると細かな凹凸、指や手のしわにも水分が入り込んでいますので、これらが凍って楔(くさび)のような役割を果たして接着してしまいます。

実用金属では銀が冷たい金属トップで、2位に銅、3位に金、4位にアルミニウムと続きます。宝飾品でシルバーのアクセサリーが冷たく感じるのはこの熱伝導率の高さも影響しています。ただし合金の形になると、添加されている別の元素の影響も受けるため、冷たさを感じる度合いというのは変わってきます。

最近ではアイスクリームを食べるためのスプーンとしてアルミ製のスプーンが作られたりしていますが、これはより冷たく感じるためのアイデアを盛り込んだ商品といえます。

以下の金属の熱伝導率の単位は、W・m-1・K-1となります。この数字が大きいものほど熱が伝わりやすいので、冷たく感じやすいものとなります。周囲の温度が変わると熱の伝わり方は変わります。便宜上、0℃の部分を見るとわかりやすいです。

冷たい金属の一覧|以下の熱伝導率の数字の高いものが冷たく感じるもの
金属名 温度(t/℃)
-100 0 100 300 700
432 428 422 407 377
420 403 395 381 354
324 319 313 299 272
アルミニウム 241 236 240 233 92
マグネシウム 160 157 154 150 -
タングステン 188 177 163 139 119
イリジウム 156 147 145 139 -
亜鉛 117 117 112 104 66
インジウム 92 84 76 42 -
黄銅(Cu70%、Zn 30%の七三黄銅) 89 106 128 146 -
カドミウム 100 97 95 89 45
カリウム 105 104 53 45 32
クロム 120 96.5 92 82 66
鉄鋼(炭素鋼、C:0.8、Mn:0.3) 48 50 48.5 41.5 -
鉄鋼(ニッケルクロム鋼:Ni 3.6、Cr 0.8、Mn 0.6、C 0.4) 31 33 36 37.5 -
鉄鋼(Si:2, Mn:0.9, Cu:0.6, C:0.5) - 25 28.5 31 -
鉄鋼(18-8ステンレス) 12 15 16.5 19 -
アンチモン 33 25.5 22 19 27
コバルト 130 105 89 69 53
コンスタンタン 19 22 24 27 -
水銀(液体) 29.5 7.8 9.4 11.7 -
スズ(錫) 76 68 63 32 40
タリウム 51 47 44 - -
タンタル 58 57 58 58.5 60
チタン 26 22 21 19 21
99 83.5 72 56 34
ナトリウム 141 142 88 78 60
37 36 34 32 21
ニクロム(Ni:77, Cr:21) 11 13 14 17 -
ニッケル 113 94 83 67 71
白金 73 72 72 73 78
白金イリジウム(Pt:90, Ir:10) - 31 - - -
白金ロジウム(Pt:60, Rh:40) - 46 51 58 -
パラジウム 72 72 73 79 93
ビスマス 11 8.2 7.2 13 17
ベリリウム 367 218 168 129 93
青銅(Cu:90, Sn:10) - 53 60 80 -
マンガン 7 8 - - -
モネルメタル(Ni:67, Cu:29) 19 21 24 30 -
モリブデン 145 139 135 127 113

金属以外の物質の熱伝導率|ゴム、ダイヤモンド、コンクリート、セラミックス、プラスチック、木材、繊維、鉱石、紙など

金属は一般に冷たいという感触がある物質ですが、その中でもよりひんやりと感じるかどうかという点は上表の熱伝導率の高い金属ほどその傾向がみられるといえます。それでは、他のぬくもりがあるような素材、例えば木材、布、紙、繊維などの熱伝導率はどのくらいなのでしょうか。金属との比較をするとその違いの大きさが見て取れます。なぜ金属が他の素材に比べて冷たく感じるのかというのもこれで説明することもできます。また金属を超える冷たく感じる物質はあるのでしょうか。

以下の熱伝導率の単位は、上表で紹介した金属と同じW・m-1・K-1となります。この数字が大きいものほど熱が伝わりやすいので、冷たく感じやすいものとなります。

ダイヤモンドがダントツで1位、金属をはるかに超える熱伝導率があることがわかります。逆に、冷たく感じない素材の多くは、1未満のものが多いことがわかりいます。

熱伝導率の一覧|熱伝導率の数字が高いものほど冷たく感じる
物質名 温度(℃) 熱伝導率(W・m-1・K-1
ダイヤモンド 室温 1800から2000前後
アクリル 室温 0.17から0.25
ポリエチレン 室温 0.25から0.34
ポリスチレン 室温 0.08から0.12
ナイロン 室温 0.27
木材 18から25 0.14から0.18
グラスウール 室温 0.04
コンクリート 室温 1
磁器 室温 1.5
漆喰 室温 0.8
ガラス(ソーダガラス) 常温 0.55から0.75
ガラス(鉛) 15 0.6
耐熱ガラス(パイレックス) 30から75 1.1
石英ガラス 0 1.4
石綿(綿) 室温 0.06
石膏 室温 0.13
耐火レンガ 600 1.1
室温 0.06
コルク 室温 0.04から0.05
ゴム(硬質 0 0.2
ゴム(軟質) 室温 0.1から0.2
羊毛 室温 0.04
綿 室温 0.03
絹布 40 0.05
0 2.2
ケイ素 0 168
アルミナ 室温 21
ホタル石 0 10.3
20 0.14
20 0.03

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