稼働差の意味とは

2022年8月1日更新

稼働差(読み方:かどうさ)とは、取引先と自社等の二社間や二拠点間で操業の日に差があることを意味しています。これは休みの違いでもあります。自社の部署間でも発生することはあります。ある会社は祝日は必ず休み、一方である会社は祝日は必ず営業、という場合にはよく発生します。納入頻度や回数が多いタイプの製品や異なる納入慣習を持つ業界ではこの稼働差対応を頻繁に行うことになります。

また生販稼働差や製販稼働差(読み方:せいはんかどうさ)といった場合は、製造から販売までにズレがあることを意味します。例えば3月決算の会社が、3月に工場でたくさん製品をつくり、それを期の変わった4月以降に販売するという場合に、コストがかかった月と売上になる月とにズレが生じますが、こうした場合に生販稼働差という用語で説明がなされることがあります。最も、これを故意に行うと当月に売れない在庫が一時的に増加するので、見掛け上、製造原価が一時的に下がるため(帳簿上の利益は増えるため)、行っている会社は割とありますが、その場しのぎのノルマ達成以上の効果はなく、会社全体で見ればたいして意味はありません。

稼働差が問題となるのは、上述の売上・利益が計上される月がずれる問題のほか、出荷日や納入日に大きな影響があるためです。これが顕著に出るのはゴールデンウィーク、お盆休み・夏休みや年末年始の休業といった長期休暇です。基本的にどの会社も稼働日や休業日というのは自社の主要顧客にあわせていることが多いですが、それでも各社どうしても固有の休みもあれば、いずれの客先も休みが違うというケースもあります。あるいは工場と営業所、倉庫でも稼働日に差を設けていることは珍しくありません。

したがって、この日に出荷しないと客先の納期に応えられないが、その日は非稼働日に設定されており、客先との間に稼働差がある、という事態はわりとよくあります。

こうした場合、自社での工場の稼働日が合わない場合は、稼働している他の日に前もって作っておき、デポなどの出荷に使用している倉庫に入れておきます。出荷担当の部署だけは休みにせずに稼働となる方法がよく使われます。あるいは、人数を絞って出勤して対応ということもあります。

稀に自社の休業の都合上、先行で納入させてほしいという交渉を客先と行い、出荷自体を止めることもありますがこれは納入慣習や客先との力関係に大きく依存します。対等な関係な取引先や、海外企業との取引の場合はわりとこうしたことは可能です。

自動車部品のように、ある一つだけ部品が不足すると生産ラインが止まり、車両組み立てのラインが止まるというような場合、定められた納入日と時間にあわせて部品を納入する必要があるため、自社の出荷場はすべて客先にあわせて稼働させる必要があります。

こうした場合に稼働差があると、客先から注文をもらってそこから逆算していつに出荷するという計算が狂ってしまいますので、システムに修正を入れるか、現場でイレギュラーな措置を行うことになります。

稼働差の例

図で示すと上表のようになります。図の上の段では、客先と自社に稼働差がなく、通常は客先の2稼働日前に出荷すれば間に合うというリードタイムとします。これが3日だけ自社が休みとなっていた場合、翌日の4日に出荷したのでは間に合いませんので、2日に出荷して中継地で調整して納期通りに客先へ納入するか、3日に実際には出荷するものの、2日中に出荷できるようすべての準備を整えておく、という対応が必要になります。

実務では、自社、客先、仕入先、倉庫と稼働日を考慮しないといけない先がさらに多く、それぞれに稼働日が異なっているため、それらを見ながら稼働日差の調整業務を行っていくことになります。

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