自動車業界における休みは少ないのか|自動車業界の休日カレンダー

2016年6月20日更新

自動車業界は、自動車部品などの製造業すべてを包含する裾野の非常に広い業界です。一説には、業界に関連する会社は20万社とも30万社とも言われます。その多くの企業は、納入先となる自動車メーカーのカレンダーにあわせて自社の休日や稼働日を組んでいます。よく知られているのは、トヨタの「トヨタカレンダー」と呼ばれるもので、多くの会社でも採用されています。これは4月から翌年の3月まで、1年間まとめて制定され、このカレンダーによっていっせいに工場稼働日や休日が決められていきます。このため、自動車業界の休日というのは、トヨタ殿を中心に、自動車メーカーが決めているといえます。

複数の自動車メーカーへ納入している部品メーカーは、各メーカーごとにカレンダーを取りまとめており、メーカーごとの各営業担当などは基本的にそのスケジュールにあわせ、工場のカレンダーは最も売り上げ比率の高い会社のカレンダーにあわせることが多く見受けられます。

一般的に、自動車業界の場合、職種にもよりますが、祝日は通常稼動となり、土日が確実に休みとなるケースが多いです。ただし、ゴールデンウィークと、お盆、年末年始はいっせいに工場をしめて長期の休みとなります。これは工場をいっせいにしめたほうがランニングコストの面でも有利になるからです。では休日をトータルで見るとどうなるか、といえば残念ながら自動車業界の休みというのはそれほど多くはありません。土日と祝日が確実に休みなり、GW、夏季休暇、年末年始に長期連休を取るタイプの大手企業などがもっとも休日が多くなり、そうした会社に比べると、年に3回連休をつくるものの、それ以外の祝日がすべて出勤日のため、合計では少なくなるケースが多いです。ただし、休みの少ない業界は他にもありますので、確実に長期休暇が決まっている点が羨ましいとされることもあります。年によっては10連休といったことも珍しくはありません。

工場勤務で現場に出る場合は、増産や生産遅延、トラブルなどに伴い休日出勤もわりと多く、これらは公出や休出と呼ばれ、半ば慣例化しています。生産能力が単に追いつかない場合も、金型などを増やしてすぐに能力を上げることができないため、こうした休日出勤で生産をつなぐことが多いです。確実に土日休める、というのは職種にもよります。また自動車関連の工場というのは、平日ほとんどが24時間稼動で、部品などを納入する物流網も、ほぼ24時間動いています。このため、夜勤に入る場合は、休日が不規則になってきます。というのも、夜勤ばかりというのは体に負担が多いため、定期的にシフト(1直、2直などとカウントします)を変えることが一般的だからです。

こうした慣例は、自動車メーカーのラインは絶対に止めてはならないという不文律と、部材の納入が基本的には毎日あるからです。生産量というのは内示である程度は事前に知らされていますが、実際には内示が大きく振れることもあり、ある車種の急な増産というのは突発的に発生します。さらに、自動車業界はカーメーカーに直接納入するティア1と呼ばれるメーカーの下に、ティア2、ティア3といった、二次下請け、三次下請けなど階層上の取引構造になっています。カーメーカーから遠くなるほどに情報が入ってくるのが遅くなり、かつ上流のほうでいったい何が起きているのかいまいち見えなくなってきますが、突発的な増産というのは有無を言わせず発生します。

もっとも、休日に出勤して納期を守りきったというようなケースのうち、自社の原因で休日出勤したわけではなく、急な増産などで対応した場合、休日出勤に伴う余分な費用は買い手が負担することもあります。休日出勤は基本、時給が異なり、さらに工場をそのためだけに稼動させる費用もかかります。

実際にはニュース等を賑わす事故や災害などでも特定の部品が入らないばかりに自動車の生産ラインが止まるというようなことはあります。ただし、ラインが止まるとすぐに数千万、数億円もの損失が発生します。これは自動車が2万以上もの部品から作られており、基本的には使う分を毎日納入する形で取引が成り立っているため、何かトラブルで納入の受入れができなくなると、多くの会社の売り上げが一時的にとまることになります。もちろん、もっとも高額となるが自動車そのものであるため、量産主力工場で1日止まれば、その分の生産金額は莫大なものとなります。大手の自動車部品メーカーなどは、カーメーカーとの間の契約などで1分ラインを止めたらいくら、1時間ラインを止めたらいくらといった損害賠償を支払う条件を定めています。

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