TC480Pdの成分、引張強さ、耐力、伸び、機械的性質、耐食性|チタン鋳物の特徴と規格

2014年4月7日更新

TC480Pdは鋳物チタン合金の一種で、JISでは13種に分類される材料となります。成分にパラジウムを添加した合金となり、耐食チタンとも呼ばれる通り、耐食性に優れたチタン合金で、なかでも特に耐すきま腐食性に優れています。

この「すきま腐食」とは、金属が何かに接地・触れる面で起きる腐食のことで、耐食性に優れた金属であっても、金属との密着部分やその隙間に発生する腐食は防げないことがあります。というのも、金属表面の隙間は濃淡電池となり、均一の腐食に比べて数十倍〜数百倍の速度で進行する為です。狭い部分での金属接地(金属同士だけでなく、金属対非金属も含む)や部品の設置部分等で錆びや腐食をよく目にするのはこれが原因です。

用途としては、化学装置、石油精製装置、パルプ製紙工業装置など頻繁に腐食があっては困るような部材で、かつそれなりの強度を求められるようなものがあります。

TC480Pdの成分、材質

TC480Pdの成分、材質(単位:%)
種類 H O N Fe C Pd Al V Ti その他の元素
個々 合計
TC480Pd(13種) 0.015以下 0.40以下 0.07以下 0.30以下 0.10以下 0.12から0.25 - - 残部 0.1以下 0.4以下

TC480Pd(13種)の機械的性質|引張強さ、耐力、降伏点、伸び、硬度

TC480Pd(13種)の機械的性質
種類 引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%) 硬さ(HBW10/3000またはHV30)
TC480Pd(13種) 480以上 345以上 12以上 150から235

JIS規格に定められている純チタン、チタン合金の種類

チタンの鋳物

チタンの展伸材

展伸材とは、スポンジチタン、チタンインゴットを経て、板材、条材、シームレスパイプ、管、棒材、線材などに加工された状態のチタン材料のことです。チタンの材料記号には下記のような法則があります。

TP 板、熱間圧延は末尾にH、冷間圧延は末尾にCがつきます。例:チタン1種の熱間圧延板はTP270H
TR
TTP、TAT、TATP 継目無管(シームレスパイプ、シームレス管)
TTH、TATH 熱交換器用チタン、熱交換器用チタン合金管
TB、TAB
TW、TAW

チタン合金別の特性

チタンの鍛造品

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