プラスチックの研磨について

2024年12月27日更新

プラスチックは、射出成形等で形をつくっていくため、削り出しの多い他の金属に比べると、研磨そのものが前提となっていない部品や製品がよく見られます。

では研磨は不要かと言われれば、そうでもなく、透明度を出すための研磨や形状の精度を出していくために、プラスチックの加工技術の中には「研磨」もちゃんとあります。

ただ、他の加工対象に比べるとプラスチックの研磨材についてはあまり確立されたものがあるわけではなく、加工する会社が自ら手掛けているケースも見受けられます。これはプラスチック(樹脂)に多種多様なものが存在することとも関係しています。同じように見える樹脂でも、物理的性質や、化学的性質などが異なるため、同じ研磨材を用いても、すべてのプラスチック素材で同じように狙った仕上げが得られるわけではありません。特に、プラスチックは着色が容易ということもあり、色のついたものを研磨した際に、他の部位に色がうつる点も懸念されます。

研磨とは物体の表面に細かい傷をつけていく加工でもあるわけですが、透明度をあげていくためには、この微細な傷をさらに微細なものにしていく必要があり、必然的に「切削」のような磨きでは限界があります。プラスチック用の研磨材には液体タイプのものがよくありますが、プラと研磨材との間で化学反応らしき現象が観察できることがあります。いわゆるプラスチック表面が、塑性流動のような現象を起こしつつ、化学反応により表面に溶解のような現象も起こし、微細な傷をさらに滑らかにしていると考えられます。

もともと透明度の高いプラスチックを研磨すると言う場合、ダイヤモンドバイトなどの非常に切れ味の優れた工具で、表面を剥がすように切削して透明度を出しつつ、寸法精度も出すということも行われています。

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