EUの関税の調べ方

2013年2月26日更新

EUは27カ国で構成されていますが、これらの国同士での輸出入では関税を課さないため、原則、EU圏内での貿易では関税を考慮する必要はありません。但し、税制まで各国で同じというわけではない為、関税以外の諸税については通関時にかかることがあります。これら付加価値税などの諸税は各国の規定に従い、支払う必要があります。

EUの国々とその域外との貿易については、EU側は対外的に共通の関税を設定しています。例えば、日本からはEU諸国のどの国へ輸出しても、同じ関税となります。もし日本とEUとの間でFTAやEPAといった関税の減免の為の協定が結ばれた場合は、EU域内のすべての国について同じように減免された税率となります。

こうしたEU共通関税率のことを、TARIC(Integrated Tariff of the European Communities)といい、日本語訳では欧州共同体統合関税率やEU統合関税率と訳されています。

EUの関税の調べ方とは、このTARICを調べることでもあります。簡単に調べる方法としては、以下の方法があります。

ただ、関税調査全般に言えることですが、WTO加盟国に共通して設定されているMFN税率(一般税率やWTO協定税率とも言われます)の他に、もしEUとの間で自由貿易協定などを結んでいる国からの輸出入で、こうした協定が適用可能であれば、より安い税率を適用できることがあります。

またEUにはGSP(一般特恵関税制度)もあります。これは開発途上国との間の貿易の際、EUへ輸出する物品の関税率に特別に安いGSP税率を適用するというものです。これが適用となる場合も通常のMFN税率とは異なります。

欧州議会が公開している公式サイトでTARICを確認する方法

EUの共通関税は、欧州議会のサイトで検索することが出来ます。製品のCNコード(HSコードと6ケタまでは同じなので、日本のHSコードを参考に入力できます)を入力し、仕向け国か原産国を選ぶと、該当するデータが表示されます。国の部分を空欄すると、各国のデータが一覧で見ることが出来ます。

Taric consultation(EUの共通関税率)
欧州議会が運営しているウェブサイトで、EUの共通関税であるTARICを調べることができます。TARICとは欧州共同体統合関税率のことで、正式名称をIntegrated Tariff of the European Communitiesといいます。

World Tariff(Fedex社運営)を利用する方法

Fedex社が運営するWorld Tariffを利用する場合、輸出入を行いたい物品のHSコードと仕向け国が分かれば他国の同様に、EU諸国と輸出入を行う場合の関税率を調べることが出来ます。

World Tariff(民間の関税率データベース)
Fedex社が運営する関税のデータベース。
JETRO経由のWorld Tariff申込みページ
なお、JETRO経由で申込みをすると無料で利用できます(2012年現在)。

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