A1060とは|JIS規格材の特徴と物性

2010年12月4日 2024年2月11日更新

A1060とはJIS規格材のひとつで、特に導体用の純アルミニウムとして使用される材料です。電気伝導性の高いタイプです。強度が低い為、構造材料としての利用には適していませんが、送配電用の材料、ブスバー(Bus bar)、導電用材料、放熱板、コンデンサ用箔などに利用されます。なお、A1060Pは導体用として使用する場合に限った材料です。アルミの純度は99.6%以上となります。

A1060の成分

1000番台の番号が付いているアルミは純アルミニウムでどれも純度は99%以上あります。純度の高さは耐食性や導電性、伝熱性、反射率につながる要素です。耐食性は成分のうち、SiやFeといった不純物が少ないほど高くなります。またアルマイト後の光沢性もこれら不純物が少ないと保持される傾向があります。

A1060(アルミニウム)の成分
合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ga, V, Ni, B, Zr等 Ti その他 Al
個々 合計
1060 0.25以下 0.35以下 0.05以下 0.03以下 0.03以下 - 0.05以下 V: 0.05以下 0.03以下 0.03以下 - 99.60以上

A1060の機械的性質(耐力、引張強さ、伸び、硬さ)

強度を目的にこの材料の選択を行うことはあまりないかと思いますが、下表の通り、調質を変えることで強度には幅を持たせることができます。電気導電性とともに強度もある程度必要な場合、一考に値します。引張強さ、耐力、硬度、せん断強さといった指標は調質で上げられますが、ヤング率は変わりません。

A1060の機械的性質
アルミ材料記号 調質 引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び率(板1.6mm厚) 伸び率(棒φ12.7mm) ブリネル硬さ(10/500) せん断強さ(N/mm2 疲れ強さ(N/mm2 縦弾性係数(×1000)(N/mm2
A1060 O 70 30 43 - 19 50 20 70
A1060 H12 85 75 16 - 23 55 30 70
A1060 H14 100 90 12 - 26 65 35 70
A1060 H16 110 105 8 - 30 70 45 70
A1060 H18 135 125 6 - 35 75 45 70

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